インターネットバンキングの不正送金やクレジットカードの不正使用被害が2023年に過去最多を更新したことが、警察庁や業界団体のまとめで分かった。偽サイトに誘導しIDやパスワードを盗み取るフィッシング詐欺が主な要因とみられ、SNS上で「詐欺ツール」が売買され、手軽に犯行が可能になっているとの指摘もある。犯人グループは得た犯罪収益を暗号資産に換えて追及を逃れているとみられ、警察当局は対策に乗り出している。
「なかなか歯止めがかからない」。ある警察幹部は、被害の急増にこうため息をつく。
警察庁によると、ネットバンキングの不正送金被害は2023年中に5578件が確認され、被害額は87.3億円に上った。22年からは件数、被害額ともに5倍前後という急増ぶりだ。
また、日本クレジット協会のまとめでは、カード不正使用の被害額も23年に540.9億円で22年から約1.2倍に増加。カードの偽造による被害は0.6%に過ぎず、フィッシング詐欺などによりカード番号が盗まれたことによるものが93.3%を占めている。
フィッシング詐欺の主な手口は、金融機関やAmazon、楽天などのショッピングサイト、運送会社をかたってメールやショートメッセージを送り、本物そっくりの偽サイトに誘導した上でIDやパスワードを入力させる、というものだ。
盗まれた個人情報をもとに、ネットバンキングの口座から金が引き出されたり、不正な買い物をされたりするなどの被害が相次いでいる。
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