京都大防災研究所などのチームが大規模被害が想定される南海トラフ巨大地震の津波に備え、避難訓練の参加者のデータを蓄積・分析し、効果的な避難計画の策定を支援するシステムを開発した。津波の浸水想定エリアと訓練参加者の避難行動の全体像を地図上に可視化して比較できることが特徴。開発チームは、自治体や企業、学校などで、より適切な避難方法を検討するのに役立ててほしいと期待する。
同研究所や九州大などでつくる開発チームはこれまでに、南海トラフ巨大地震を想定した津波の避難訓練用のスマートフォンアプリ「逃げトレ」を公開。リアルタイムでスマホの位置情報と津波の浸水想定を地図上に表すことで、参加者それぞれが避難の成否や危険度を確認することができる。宮崎県や高知県など津波被害が想定される地域を中心に防災学習などで活用が進んでいる。
今回開発したのは、このアプリから得られる情報を活用する分析システム「逃げトレView」だ。開発を後押ししたのは2024年8月の「南海トラフ地震臨時情報」。宮崎県・日向灘沖で発生した地震に伴い、南海トラフ巨大地震の想定震源域では大規模地震の発生可能性が平時に比べて相対的に高まったとされ、国は初めて臨時情報を発表したが、各地の自治体や企業などが具体的にどう対応すべきか判断に迷うケースが散見された。
このため開発チームでは、アプリを使った避難訓練で蓄積されるデータを活用。臨時情報が発表された地域で事前避難をすべきかどうかや、海辺での施設営業・イベント開催を見送るべきかといった判断のための情報提供ツールとしてシステムを開発した。
システムでは避難訓練参加者のアプリから得た行動情報をビッグデータとして分析。それぞれの地域で頻繁に利用される避難ルートや人流を把握することができるようにした。津波の規模や避難開始までの時間など、条件を変更しシミュレーションした結果を比較・分析する機能も搭載。こうしたデータに基づき、地震や臨時情報に備えた避難計画の検証・見直しに役立てることができるとしている。
開発チームは、広く活用してもらうための窓口となるNPO法人の設立を進め、4月以降にアプリとシステムを使ったサービスの提供を予定している。京大防災研究所の矢守克也教授は「避難訓練を漫然と行うのではなく、結果を科学的に検証し避難のレベルを上げるツールとして活用してほしい」と話している。(杉侑里香)
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