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クリエイター守らねば産業伸びない 自民・山田太郎氏語る日本のコンテンツ戦略 AI時代の権利保護にも言及<後編>(1/2 ページ)

» 2026年06月22日 10時42分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 <前編>で自民党の山田太郎参院議員は、力強い日本を作るには「成長戦略、知財戦略、国際標準戦略の3つが欠かせない」と訴えた。では、漫画、アニメ、ゲームなど日本発コンテンツを世界で稼ぐ資産に変えるには何が必要なのか。6月9日に開かれた一般社団法人「知財・無形資産ガバナンス協会」(菊地修理事長)の設立1周年記念式典での記念講演から、AI時代の権利保護、海賊版対策、正規版流通、クリエイター支援の課題を読み解く。

photo 「知財・無形資産ガバナンス協会」設立1周年記念式典で講演する自民党の山田太郎参院議員=2026年6月9日、東京都千代田区(高橋天地撮影)

海外人気をどう収益に変えるか

 山田氏が講演の後半で大きく取り上げたのが、コンテンツ戦略である。漫画、アニメ、ゲーム、日本食、日本酒、ファッションなど、日本発のコンテンツや文化資産は海外で高く評価されている。山田氏は「これらが海外の若者にとって日本を知る入り口になっている」と説明した。

 ただ、山田氏の問題意識は、単に「日本文化は人気がある」という話にとどまらない。むしろ、「日本発コンテンツは世界で愛されているのに、その価値を日本側が十分に収益化できていない」という点にあった。

 日本の漫画やアニメ、ゲームは海外で強い存在感を持つ。一方で、配信プラットフォームの多くは海外勢が握っている。作品の配信や2次利用、関連グッズなどの収益が、必ずしも日本側に十分戻ってこない構造がある。「日本IPは強い。しかし、稼ぐ仕組みが弱い」。山田氏の講演は、この課題を正面から捉えるものだった。

 山田氏は、漫画やアニメだけでなく、実写化による展開にも触れた。IPを実写ドラマや映画に広げれば、俳優、ファッション、観光、舞台、音楽など周辺領域にも波及する。「作品を単体で売るだけでなく、IPを起点に複数の市場へ広げる発想が必要になる」

 そのためには、制作現場の体制も変わらなければならない。AIやVFXなどのデジタル制作技術が進む中で、監督やプロデューサーに求められる能力も変化している。山田氏は、「昔ながらの制作慣行だけでは、世界市場で戦う映像コンテンツを作ることは難しい」との認識を示した。制作人材の育成や、スタジオ機能の強化も、コンテンツ戦略の重要な課題になる。

 ここで問われているのは、「日本発コンテンツを文化発信にとどめるのか、それとも世界で収益を生む知財・無形資産として育てるのかという点」である。山田氏の講演は、コンテンツを「好きな人が楽しむもの」から、「国家成長を支える産業」へと位置づけ直すものでもあった。

クリエイターを守らねば産業は伸びない

 日本のコンテンツ産業の強さは、大企業だけで作られているわけではない。山田氏は、同人文化や個人クリエイターを含む分厚い創作の裾野にも言及した。

 コミックマーケットなどには、世界中から多くの人が集まる。日本には、プロになる前から絵を描き、物語を作り、キャラクターを生み出す人たちが数多くいる。こうした層の厚さこそが、日本のコンテンツを支えるエコシステムになっている。

 山田氏は、現場のクリエイターについて、「この人たち、この子たち、この方々を、やっぱり我々は愛さなきゃいけない」と語った。これは情緒的な表現であると同時に、政策的にも重要な視点である。コンテンツ産業を伸ばすなら、その源泉であるクリエイターを守らなければならないからだ。

 制作現場には、なお課題が残る。契約書がないまま仕事が進む。昔ながらの慣行で対価が十分に支払われない。フリーランスやデザイナーが不安定な立場に置かれる。こうした環境のままでは、若い才能が安心して創作を続けることは難しい。

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