ワークマン、実は画像生成AIを導入していた 間に合わない商品撮影を代替 アプリ通知開封も1.5倍(1/2 ページ)

 作業用品の専門店として広く知られるワークマン。近年は高機能・低価格な製品群を武器に、アウトドアやスポーツ、日常アパレル製品へとビジネス領域を広げつつある。一方、そんな同社を悩ます課題があった──数ある商品の魅力を発信するコンテンツ制作だ。全国1000店舗以上を500人以下の社員で支えていることもあり、その作業負荷は現場にとって少なからず負担になっていたという。

 「ECサイトなどで商品の機能を効果的に伝えるには、その商品が実際に使われるシーンを想起させるコンテンツが求められる。例えば特定の防水機能や防寒機能を持つウェアを紹介する場合、雨天などその機能が最大限に生かせる環境下での撮影が必要になる。そのためには、ロケ地の選定からカメラマンやモデル、アシスタントなどのアサインとチーム編成、さらには撮影スケジュールの調整など、実に多くの手間と時間がかかる」

 こう語るのは、同社の萩原勇太さん(営業企画部 マーケティング戦略グループ マネジャー)。事業領域の拡大に伴い商品の種類や数がどんどん増えていく中、その全てで理想的な利用シーンのビジュアルを用意するための業務負荷は、年々重く圧し掛かっていた 。

 こうしたリソースの限界を克服するために同社が着目したのが、参考画像やプロンプトでAIに指示を送るだけで、画像・動画コンテンツを作成できる生成AI技術だ。2025年に画像生成AIを導入して以降、ECサイトや公式スマホアプリなどでの活用を進めているという同社。その成果を萩原さんや小雀杏実さん(広報部)に聞いた。

萩原勇太さん(左)、小雀杏実さん(右)

“撮れない”とき、NanoBananaをスポット利用

 同社が活用するのは、Google Cloudの画像生成AI「Gemini 2.5 Flash Image(NanoBanana)」と、動画生成AI「Veo」だ。社内のデータ分析基盤としてGoogle Cloudの「BigQuery」を導入しており、Google Cloudのサービスをセキュアに利用できる環境が既に整っていたことも後押しした。

 主な用途の一つは、ECサイトに掲載する商品イメージだ。同社のECサイトでは商品画像としていわゆる“物撮り”と、その商品に合ったシチュエーションでの使用イメージ(防水シューズを雨天に使う様子など)の両方を掲載しており、うち後者に画像生成AIを活用している。

 ただしあらゆる商品に使っているわけではない。ロケやモデルが必要な従来の制作プロセスが何らかの原因で滞ってしまった場合に、急きょ生成AIによる制作で代替しているという。これにより、スケジュール遅延を最小限に抑えられるようになったと萩原さんは話す。

生成AIを使ったイメージ画像の例(ワークマン提供、以下同)
AI生成した着用イメージ(ワークマン提供、以下同)

 いままではロケなどの都合がつかない場合、仕方なく社内やオフィス近辺で社員による着用イメージを撮影して対応していたが、そうしたケースでも商品に合ったシチュエーションの画像を用意できるようにもなった。

 「生成AIを導入したからといって、これまで行ってきた人手の撮影作業をすべて代替できるようになったわけではない。実際に今でも、人手による撮影は大量に行われている。しかし何らかのトラブルで撮影作業を予定通りこなせなくなってしまっても、代わりに生成AIを使ってコンテンツを制作することで、これまでなら諦めてしまっていたケースをかなり救えるようになった」(萩原さん)

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