ワークマン、実は画像生成AIを導入していた 間に合わない商品撮影を代替 アプリ通知開封も1.5倍(2/2 ページ)

アプリ通知の画像もAIで 開封率1.5倍の例も

 同社公式スマホアプリで提供する画像コンテンツにおいても、画像生成AIを積極的に活用している。例えばユーザーへのプッシュ通知用の画像をAIで制作することで、タイムリーなマーケティングにつなげていると荻原さんは話す。

 一部のプッシュ通知では開封率の向上も見られた。制作プロセスの滞りによって商品に合ったイメージ画像を用意できず、物撮りの画像を使う場合に比べ、生成AIで制作した画像の方が開封率が1.5倍ほど高いという。

 さらに同社では、社内の企画会議や店舗レイアウトの検討といった社内コミュニケーションの領域においても画像生成AIを積極的に活用している。

 小雀さんは「展示会ブースや販促物のレイアウトを社内で議論する際、これまでは言葉や断片的な画像イメージに頼っており、関係者間でイメージのズレが生じることもあった。しかし現在では画像生成AIを使って具体的なビジュアルを瞬時に作成・共有できる。抽象的な言葉によるコミュニケーションから脱却して、関係者間の認識合わせがよりスムーズに運ぶようになった」と話す。

「実物と違うリスク」はあるが……

 とはいえ、AI画像を商品イメージに使うと、実物と違う画像になってしまう懸念もある。実際、シンプルな見た目の商品は簡単に生成できる一方で、ディテールが複雑な製品は商品イメージとして使える画像がすぐに生成できず、工数がかさんでしまうという。

 「ワークマンの商品は機能性を売りにした変則的な商品が多く、中には生成AIとの相性が悪いものもある。例えば冷感ベスト『ウィンドコアアイス×ヒーターペルチェベストプロ3』のような新しい機構やデザインを備えた商品は、生成AIがまだ十分に学習できていないせいかディテールを正確に再現するのが苦手で、パーツの数や位置がずれたりロゴの形が違ったりといった現象が起きることもある」(荻原さん)

生成しにくいという冷感ベスト

 そのためワークマンではECサイトなどで活用するAI画像は全て人によるクオリティーチェックを通すという。ただ、同社ではこれまでも「実物とディテールが異なるサンプル品の画像を掲載してしまっていないか」といった問題をチェックするプロセスが存在していたといい、実務的には従来と変わりないとしている。

 また、画像の全てをAIに置き換えているわけではなく、モデルとの関係維持も依然重要なため、コンプライアンスや肖像権に関するリスクに対処するための社内ルールで定めている。

 「AIで生成した人物画像を使用する際は、実在のモデルの肖像権を侵害しないよう、実在する人物の顔が生成されないよう配慮している。またお客さまに対して誠実であるために、AIによって生成されたイメージ画像であることをサイト上で明記するルールも定めている」(荻原さん)

「画像生成AIには歩留まりがある」

 こうした生成AIならではの手間について、荻原さんは独自の捉え方をする。「画像生成AIには歩留まりがある」という考え方だ。

 「生成AIを活用する上で重要になってくるのが『歩留まり』の概念。何度試しても思い通りの画像が生成されない場合、そのまま試行を繰り返すのか、それともある時点で諦めて人の手でレタッチを加えるのか、どちらがトータルで見た場合に効率的でかつ品質を担保できそうか。この辺りの見極めが非常に重要になる」

 一方で、動画生成AIについてはまだ活用が進み切っていないと荻原さん。レタッチでの修正などがしにくく、歩留まりが悪くなりがちという。画像生成AIについてはさらに利用を拡大していく方針で、今後は紙の冊子など後からの修正が効かない媒体での活用も検討し、工数削減を加速したい考えだ。

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