かなりカオスだった、Second Lifeビジネスコンテスト授賞式:Second Life支局だより
Second Life内で初めて、企業から招かれて授賞式を取材することになった。堅い雰囲気になると思いきや、明らかに人間でないアバターが登場したり、社長がトイレットペーパーをほうり投げ始めたりと、かなりカオスな場になった。
「Second Lifeビジネス・デザインコンテストの授賞式を、Second Life内でやります」――paperboy&co.(ペパボ)から3月12日、こんな案内が届いた。Second Life内での公式な取材依頼は初。ITmedia Second Life支局長として張り切って出かけた。
企業が主催する表彰式なので、堅い雰囲気になるだろう思っていたのだが、実際は違った。受賞者もスタッフも個性的なアバターで、明らかに人間でないアバターの人も。雪だるま風の自作アバター「ぺろたん」で登場したペパボ社長が、突然踊ったり歌い出したりするなど、何でもアリのカオスだった。
コンテストは、同社とGMO Venture Partnersが共同で開いた、クリエイターを支援するための企画。新ビジネスなどを募集し、優秀作にリンデンドルで賞金を贈るというもので、2月14日から28日までの募集期間中、35の応募があったという(関連記事参照)。
午後7時から開かれる授賞式を前に、島には続々と人(アバター)が集まってきた。公式イベントらしく、スーツを着ている人もいるが、まともな格好をしている人は少数。忍者風スタイルの人や、アマゾネスのようなセクシー衣装に黒い羽を付けた人、頭から耳が生えている人、パンダに乗り物を引かせ、頭から炎を発している人――あまりにも個性的なスタイルの人ばかりで、どうしていいか分からなくなる。
記者もいつもの自分に似せたアバターで訪れたのだが、普通の格好でいるのが恥ずかしくなり、ペパボの家入一真社長が作った、落書き風の顔が付いた雪だるまのようなアバター「ぺろたん」(10リンデンドル=約4円)を購入して着ることにした。
授賞式開始まで数分。みんなで集まってなんとなく待っていたのだが、どうも居心地が悪い。ほぼ全員が初対面で、誰に声をかけ、何を話していいやら分からないためだ。その居心地の悪さも、初対面の人ばかりの本物のプレスイベントに参加している時のようにリアルに感じる。
午後7時すぎに、コンテスト審査委員長の家入社長が登場。社長らしくスーツで来るかと思いきや、真っ赤なぺろたんのアバターでやってきて、登場するなりブレイクダンスを始め、周囲は呆然。「3倍速いぺろたんですか?」などと話しかけられていた。社長の赤いぺろたんには小さなぺろたん(子ども?)がひっついていて、白いノーマルぺろたんを着た記者はちょっとうらやましくなった。
家入社長は、しばらく踊ったりはねたり走り回ったり、トイレットペーパーを取り出して投げて回ったりした後、ぺろたんの色をブルーに変えた(「マリンブルーぺろたん」らしい)。そして「15万リンデンドル」と書かれた大きな賞金パネルをおもむろに取り出し、「てーんてーててーん」と、授賞式風ソングをテキストで歌いながら受賞者に授与した。
その後、アマゾネス風アバターの担当者から正式発表の日時などが伝えられ、授賞式は終了。しばらくすると、「落ちまーす」などと言って徐々に人が減っていった。記者が“落ちる”タイミングを逃してなんとなくふらふらしていると、マシンガン風にすいかが飛び出すという弱そうな武器を持った家入社長に追われ、しばらく追いかけっこを楽しんでしまった。
国内企業がSecond Life内で記者会見を行ったという例はあまり聞かないが、米国では各社が何度も行ってきた。その1つ、Sun Microsystemsの会見の様子を見てみると、Sun側の参加者は地味でまじめなアバターだが、集まった記者(?)の格好はばらばら。明らかに人間でない格好の人もいて、なかなシュールだ。そういえばmixiの採用オフィスに行った際も、真面目な雰囲気を期待して中に入ると、羽付きの悪魔風アバターなど不思議な格好の人にたくさん出会って驚いた。
今回のイベントは、ペパボらしい自由な雰囲気で、社長が率先して妙なことをしていたので、参加者の不思議な格好はそれほど気にならなかった。だがSecond Lifeでお堅い記者会見を行いたい、と思っている企業は「どんな人がどんなアバターでやってくるか分からない」ということに留意しておいたほうがよさそうだ。
また、ある大学の仮想キャンパスでは、聴講者が突然銃を乱射し始めて授業をかく乱する、ということもあったそう。Second Life内で会見する際は、それなりのリスク――というか、“カオス状態”への覚悟が必要になるだろう。
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