Googleの「Nexus One」Web直販の狙いとは(2/2 ページ)
「Nexus One」の発表における最大のニュースは、Google自身が携帯端末市場に参入したことだ。だが同社のビジネスモデルを「Amazonの猿まね」と評するアナリストも。
米調査会社Forrester Researchのアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏は、Googleの新しいWebストアをめぐる大騒ぎについて、ほかのアナリストとは異なる見方をしている。
小売り販売という視点から見れば、彼らの発表は特に興味深いものではない。今日、キャリア自身が運営しているものや、Amazon、Best Buy Mobileなど、携帯電話を購入できるオンライン小売店は数多く存在し、そこで契約期間なしの全額負担で端末を購入するか、もしくは価格補助を受けた端末を選ぶことができる。
これは大きな変化ではない。彼らの唯一の差別化要素は、高い人気が予想される端末の独占販売権を持っているということだ。しかしこれは、iPhoneをAppleから直接購入する場合にApple Storeに行くのと少しも変わらないのではないだろうか。
現時点では、米国、英国、香港、シンガポールのユーザーがGoogleからNexus Oneを購入し、T-Mobileのサービスを利用することができる。Googleではこの春、Nexus OneをサポートするキャリアとしてVerizon WirelessとVodafoneを追加する予定だ。
将来、Googleが数種類のAndroid端末を販売し、世界のほとんどのキャリアのサービスをユーザーが選択できるようになるという状況は容易に想像できる。
しかしゴルビン氏は、GoogleはあらゆるAndroid端末をWebストアに並べるようなことはしないと考えている。「これは、Androidの魅力を最もよく示す製品だけが置かれるフラッグシップストアになる」と同氏は指摘する。
「アプリケーションがAppleのApp Storeの特選リストの上位20に入った場合と同様、GoogleのOEMパートナーの端末がWebストアという主要な販促サイトに登録されれば、彼らはそのサイトへのトラフィックを大量に購入するようになるだろう」とゴルビン氏は語る。
この指摘もやはり、Googleのすべての道は広告に通じるというデュレイニー氏の見解に近い。GoogleとパートナーがGoogleのWebストアをどのように利用するのか興味深いところだが、そのインパクトがはっきりするまでには、もう少し時間がかかりそうだ。
マスコミに対して技術を前面に打ち出すという従来の姿勢を踏襲し、GoogleはこのWebストアの収益面を強調しなかった。Androidの技術担当副社長アンディ・ルービン氏によると、GoogleはNexus One本体の販売で多少のマージンを確保するかもしれないが、利益を上げることが主要な目標ではないという。
Collins Stewartのアナリスト、サンディープ・アガーワル氏によると、Nexus OneとWebストアの目的は、「急成長中のモバイルインターネット市場に向けた自社製品の普及率を拡大することにより、モバイルインターネット分野でもネット広告を支配することだ」という。
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