「パケットARPU拡大が最重要」 ドコモ山田社長、電子書籍にも意欲
ドコモがパケットARPU拡大に向けた戦略を着々と進めている。山田社長は「iPad」や「Kindle」にも言及。「新たな風にチャレンジしたい」と意欲的だ。
「パケットARPUの拡大が最重点項目だ」――NTTドコモの山田隆持社長は1月29日の決算会見でこう述べ、パケット定額制の普及やコンテンツサービス拡大の進ちょくを報告した。「iPad」「Kindle」人気にも言及し、「環境は変化している。新たな風にチャレンジしたい」と意欲を示した(ドコモ山田社長「iPad、前向きに取り組みたい」)。
2007年1〜3月期に4440円だった音声ARPU(加入者1人当たりの売上高)は、相次ぐ割引サービス投入などで減少を続け、09年10〜12月期は3030円まで落ち込んだ。一方、パケットARPUは徐々に増えており、07年1〜3月期に2120円だったのが、09年10〜12月期は2440円に伸びている。
音声ARPU回復が期待できない中、パケットARPUの拡大は急務だ。昨年8月にはパケット定額プラン「パケ・ホーダイ ダブル」の下限を390円に値下げするなど、パケットのヘビーユーザーでなくても定額制を利用しやすい環境の整備を進めた結果、iモード契約者に占めるパケ・ホーダイ契約率は12月時点で55%に伸びた。
端末販売数の推移。1〜12月期で約1300万台販売した。デザイン性を重視した「STYLE」、高機能な「PRIME」、ビジネスパーソン向けスリム型「SMART」、スマートフォン「PRO」のうちSTYLEが一番の売れ筋で6割を占め、PROは3%程度
コンテンツサービスにも力を入れている。月額315円の動画サービス「BeeTV」の会員数は12月時点で86万人に。エージェントサービス「iコンシェル」では、ごみ収集日のお知らせやスーパーの特売情報など「生活に密着した、地に足のついた」コンテンツを提供し、パケット通信に縁が薄かったライトユーザーの取り込みを進めている。
Androidベースのスマートフォン「Xperia」も4月に投入。ITリテラシーの高いこれまでのスマートフォンユーザーではなく、携帯にエンタメ機能を求める一般層を開拓する狙いだ。スマートフォンは2010年度に5機種前後出したい考え。PCデータ通信サービスも積極的に拡販していく。
電子書籍や「iPad」など、「新たな風にチャレンジしたい」
「iPadが発表されるなど、環境はダイナミックに動いている。どう迅速に対応できるかが課題」――iPadへの3G回線提供についてにも前向きに取り組みたい考えだ。
米国ではAmazon.comの電子書籍端末「Kindle」が好調だ。「(ドコモは)電子書籍端末を作るところまではいっていないが、電子書籍を含め、新たな風にチャレンジしたい」と意欲を示した。
同日発表した2009年4〜12月期連結決算(米国会計基準)は、売上高に当たる営業収益が前年同期比4%減の3兆2424億円、営業利益が同5.9%減の7027億円、純利益が同4.2%減の4193億円。進ちょくはほぼ想定通りで「利益計画達成に自信を持っている」と山田社長は話している。
同期の端末販売数は約1301万台と前年同期比12.0%減、通期目標(1820万台)に対する進捗率は71%。「端末販売数は業界全体で下げ止まってきた」という。
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