ゆとり記者が聞く
少年ジャンプ編集部、騒然 「スマホと指で描いた漫画」がルーキー賞 新人漫画家あつもりそうさんの素顔(3/4 ページ)
スマホ執筆が「相当きつかった」理由
きっかけは浪人生時代の夏、19歳のときに訪れた。週刊少年ジャンプ主催の「矢吹健太朗 漫画賞」「うすた京介 漫画賞」「松井優征 漫画賞」を見つけ、「これだと思った」(あつもりそうさん)。
「とにかく勉強が嫌だったので、漫画賞に応募しようと思った。母親にもそれとなく伝えたのですが、浪人生ということで堂々と漫画を描けなかったので、自室でスマホを使って描き始めた」
一度は挫折したスマホでの執筆。紙とペンという選択肢もあったはずだが、「前に挫折してから少し間も空いていたので、何か描けるような気がして、実際にやってみたら描けるぞと(笑)」。
応募期限までに費やせる時間は7月~9月の約2カ月。大手出版社の漫画賞に、初めてスマホで描く漫画を投稿するという挑戦が始まった。「ペンは買うほどのものとは思わなかった」から、タッチペンの代わりに指を使った。
「(期限通り完成しないかもしれないという)焦りなどは特になく、淡々と描いていた」――さらりとそう言うあつもりそうさんは、家でも予備校でも漫画を描いた。予備校では教室の机で堂々と漫画を描いていたそうだが、まさか周りの生徒たちも、スマホをいじる彼を見て「漫画を描いている」とは思わなかっただろう。
淡々と描いた……というが、その過程を実際に目の前で見ると、途方もない作業だった。
「今はもうスマホでは描いてないんですけどね」――そう言いながら、彼は無料漫画制作ソフト「メディバンペイント」(MediBang)のスマホアプリをインストールしたiPhone 6sを机に置き、キャンバスを開く。
真っ白なキャンバスに人さし指で素早く線を入れていく。作業工程は紙やペンタブなどと同じで、コマ割→人物のアタリを付ける→下書き→ペン入れといった具合だ。
「最初は何も考えずに描き始めたけれど、これではまとまらないなと思い、結局ネームは紙に描くようになった」。4.7インチの小さい画面では話の流れを把握しにくい。それだけでなく、実際に絵を描く際も「とにかく画面が小さいのが相当きつかった」という。
『あなたが恋と言うのなら』のあるページを選び、当時のペン入れを再現するあつもりそうさん。普段私たちがスマホで行うピンチイン/ピンチアウトの操作をものすごいスピードで手早く繰り返しては、何度も線を入れていく。
この作業、終わりはあるのだろうか。1コマにかける時間はどれほどのものなのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ゆとり記者が聞く
小学生の頃には携帯電話とインターネットが身近にあった「ゆとり世代」の記者が、いま気になる若手をインタビュー。一般的に「競争が苦手」「自主性がない」とされるゆとり世代の正反対をいく、活躍する若者の共通点とは? もうゆとりとは言わせないぞ。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
タイムズカー、会員の免許情報や本人確認書類が漏えいの可能性 不正アクセスで
-
2
OpenAI、最上位モデルのツール使用を伴う学習・評価・推論を全て停止したと発表
-
3
「スマホ注文なのに客用Wi-Fiがない」のはなぜか? 導入しない飲食店側の事情
-
4
「タイムズカー」会員情報約660万件漏えい 運転免許画像など 不正アクセスで
-
5
週89時間利用も……「AIキャラチャット」依存の10代たち 「やめたい」と思っても抜け出せないワケ
-
6
Ankerの回収対象モバイルバッテリーで発火事故 25年度も7件、消費者庁が注意喚起
-
7
「Meta VR Glasses」で見えてきた、コンピューターディスプレイの未来
-
8
国立大にまたサイバー攻撃 佐賀大でランサムウェア被害、NASのファイルが暗号化
-
9
ナッツを多く食べる人、認知テストで高成績の傾向 豪州チームが1700人以上を分析
-
10
京王グループにランサム攻撃、京王ストアの決済やホテル予約などに影響……鉄道は影響なし
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR