大田区、NECに賠償金480万円を請求 10月のシステム障害巡り SSD3台の同時故障想定できず
大田区は、2023年10月に発生したシステム障害の検証結果を発表した。システムの運用・保守を担っていたNECからの情報共有が不十分だったことなどが原因にあるとし、同社に対して損害賠償金486万8437円を請求した。
大田区は4月17日、2023年10月に発生したシステム障害の検証結果を公開し、システムの運用・保守を担っていたNECに対し損害賠償金486万8437円を請求すると発表した。障害の原因はNECによる情報共有の不足と結論付けている。同社も結果や損害賠償に同意しているという。
障害が発生したのは、23年10月9日から10日未明にかけて。システムを構成していたSSD3台がほぼ同時に故障し、データが全損して使用できない状態になった。これにより、大田区の住民記録システムや国保年金システム、税務システムなどが影響を受け、18日の完全復旧まで、区の業務に支障をきたした。
大田区は障害の原因について、SSD3台の同時故障を想定していないシステム構成にあったと説明。「システム基盤は19年に構築し、構築当時からSSDの故障について2本までは耐えうる構成をとっていたが、今回はその想定を大幅に上回る障害が発生したため、データの全損が発生した」としている。
さらに「この障害において発生したSSDの故障は、特定バージョンの製品にのみ発生する障害だった。製品のバージョンアップなどの修正情報について事業者製造部門から事業者運用保守部門へ案内があったにもかかわらず、区に対しての情報提供がなく、アップデートなどの対応ができていなかった」と説明している。
今回の障害では、区の業務のうち「証明書類等の発行の保留」(8209件)、「届け出などのデータの反映の保留」(5435件)、「その他(システム連携の遅延の影響など)」(934件)に影響が生じた。大田区は、障害によって職員の超過勤務費用として461万7157円分、証明書の郵送費として25万1280円、計486万8437円の損失が発生したと算出。同額を賠償金としてNECに請求するという。
大田区は再発防止策として、故障したものと同じバージョンのSSDを全数交換。さらに保守拠点にも交換用SSDを複数確保したという。また、各部局で事業継続性の見直しや職員研修などで専門的知見の向上などに努める他、システム基盤のクラウド移行を進めている。
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