「落ち込んだ時にネコと触れ合う」は逆効果? ネガティブな感情を増幅する可能性 オランダの研究者ら調査:Innovative Tech
オランダのオープン大学などに所属する研究者らが学術誌「Frontiers in Psychology」で発表した論文「Human-animal interaction: understanding the role of dog and cat interactions in emotional wellbeing」は、犬や猫とのふれあいが飼い主の感情やストレスにどのような影響を与えるかを調査した研究報告だ。
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
オランダのオープン大学などに所属する研究者らが学術誌「Frontiers in Psychology」で発表した論文「Human-animal interaction: understanding the role of dog and cat interactions in emotional wellbeing」は、犬や猫とのふれあいが飼い主の感情やストレスにどのような影響を与えるかを調査した研究報告だ。
犬や猫といったペットは、人間の精神的な健康を向上させると信じられている。しかし、本当にストレスを和らげる効果があるのかについては、これまでの研究でも結果が分かれていた。
今回は、日常生活における犬や猫とのふれあいが、飼い主の感情やストレスにどのような影響を与えるかを詳しく調査した。
調査には、188人の犬および猫の飼い主が参加。後から思い出すことによる記憶の歪みを防ぐため、参加者は5日間にわたり、スマートフォンの通知に合わせて、その瞬間の気分やストレスレベル、ペットとの関わりの有無を1日に何度もリアルタイムで記録。主に、ペットと触れ合った直後は気分が良くなっているか、ペットとの触れ合いはストレスのダメージを和らげる働きをしているかを検証した。
分析した結果、犬であれ猫であれ、ペットと触れ合った瞬間にはポジティブな感情が高まり、ネガティブな感情が低下することが確認された。この気分を改善する効果に犬と猫で大きな違いはなく、どちらの動物も飼い主の日常的な幸福感に等しく貢献していることがわかった。
しかし、ペットがストレスの悪影響を直接和らげてくれるという、ストレス緩衝効果については、それを裏付ける証拠は見つからなかった。日常の嫌な出来事から生じるストレスに直面している最中にペットと触れ合っても、ネガティブな感情の増加を食い止める働きは確認されなかったというわけだ。
もしストレス緩衝効果があるとしたら、それは触れ合いの多さではなく、ペットがそこにいること自体から来ている可能性が示唆された。
さらに猫の飼い主においては、ストレスを感じる出来事が起きた際に猫と交流すると、ネガティブな感情が和らぐどころか、逆に増幅された。
増幅された理由として、猫は受動的で静かに寄り添うことが多い動物であるため、飼い主が強いストレスを抱えている場面では、そのマイペースな交流スタイルが飼い主の求める癒やしと一致せず、かえってネガティブな感情を際立たせてしまう可能性があると推測している。一方、散歩や遊びなど活動的な関わりが多い犬では、このような感情の増幅は確認されなかった。
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