低価格ミニノートPCの名機、再び――「Aspire one D150」に迫る(後編):テストで分かった真の実力(2/2 ページ)
液晶の大型化とともにボディデザインを一新した新世代Aspire one“D150”は買いなのか!? 後編は、パフォーマンス、発熱、騒音、バッテリー駆動時間を検証する。
改善された静音性
ボディの発熱と密接に関係する静音性についてもテストした。テストは、本体を樹脂製のデスクに置き、一定の距離から騒音レベルを計測するというものだ。騒音計のマイクは、ユーザーの耳の位置を想定し、ボディ中央から約30センチ離し、設置面から約50センチの高さに固定した。環境騒音は約28dB(A)で、耳をすますと窓外の音がかすかに聞こえる程度の静かな部屋だ。
計測結果は8.9型ワイド液晶搭載の既存モデルと比べて、D150が静かだった。いずれもボディの中ほどに空冷用のファンを1基搭載しており、左側面に通風口を設けているが、静音性の印象はだいぶ違う。既存モデルはアイドル時でもファンが回転している風切り音が聞こえるが、D150はファンノイズが気にならない。通風口に耳を近づけると、ファンが低速で回っているのが分かる程度だ。
高い負荷をかけ続けた状態では、D150もさすがに騒音レベルが上がるが、それでも既存モデルのアイドル時とほとんど変わらず、ファンノイズに不快な音が混じることもないため、図書館など静かな場所でも問題なく扱えた。D150は、ファンを内蔵したNetbookとしてはかなり静粛性が優秀といえる。しかも、従来機より発熱しにくくなっている点は特筆できる。
バッテリー駆動時間にも違いが見られる
最後に、携帯利用で重視されるバッテリー駆動時間のテストを行った。まずは無線LANでインターネットを利用するシーンを想定し、「BBench 1.01」(海人氏作)を用いて10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるインターネット巡回(10サイト)を行う設定でテストした。次に動画コンテンツの視聴を想定し、ビットレート約3Mbps/解像度640×480ドットのWMVファイル(CPU負荷率は30~40%程度)を全画面で再生し続けた。
液晶ディスプレイの輝度は上限まで上げ、音量は最大値の半分(ヘッドフォン接続)とし、満充電の状態からバッテリーの残量が完全になくなりシャットダウンするまでの時間を計測している。Aspire oneシリーズは特別な省電力機能を備えていないため、輝度と音量以外はデフォルトの状態でテストした。
テスト結果は、D150のほうが25分ほど長く駆動できた。BBench 1.01ではD150が2時間26分、既存モデルが2時間1分、動画の連続再生ではD150が1時間58分、既存モデルが1時間32分という結果だ。D150は外出先で2時間近くバッテリーで使える印象だが、日帰り出張などで長時間バッテリー駆動させるのは厳しい。オプションで用意されている6セルタイプの大容量バッテリーを使えば、駆動時間を2倍程度に延ばせるため、状況に応じて使い分けるのも手だ。
革新的な変化はないが、着実に前進したAspire one
以上、2回に渡ってAspire one D150の実力をチェックした。一見、液晶ディスプレイが大きくなっただけのマイナーチェンジに思えるかもしれないが、実際に試用してみると、その認識が間違いであることに気付かされる。
ボディの静音性や発熱、タッチパッドの使いやすさが改善されており、メーカー保証対象外の行為とはいえ、メモリやHDDへのアクセスが容易になるなど、従来機の弱点がしっかりカバーされているのだ。バッテリー駆動時間はそれほど長くないものの、純正の大容量バッテリーが用意されているので、多少の重量増をがまんすれば長時間駆動も十分行える。
ライバルの「Eee PC」が大胆な進化を遂げていることに比べると、地味な印象ではあるが、これは確かに新世代のAspire oneといっていい。家電量販店での実売価格は5万円前後におさまっており、Aspire oneらしいコストパフォーマンスの高さは健在だ。やや大振りのボディサイズが許容できるならば、使い勝手のいい低価格ミニノートPCとして満足度の高い1台といえる。
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