最新15インチMacBook Proの“Windowsマシン”としての性能は?:Airも検証
15インチMacBook ProとMacBook Airに、Boot CampでWindows XPを導入し、13インチモデルと比較してみた。GeForce 9600M GTと9400Mの性能差や新型バッテリーの駆動時間をチェック。
WWDC 2009でラインアップを刷新したMacBookファミリーのうち、最も安い13インチモデル(MB990J/A)の詳細レビュー(「史上最安の「MacBook Pro」は本当に“Pro”か? 」「新型「13インチMacBook Pro」の“Pro度”を検証する」)に続き、15インチMacBook ProとMacBook Airを見てきた(「新型15インチMacBook ProとMacBook Airを試した」。今回はもう少し踏み込んで、実際のバッテリー駆動時間や、Windows XP環境下でのシステムパフォーマンスを検証していく。
なお、各種ベンチマークテストでは、ここで取り上げた15インチMacBook Pro(MB985J/A)とMacBook AirのHDD搭載モデル(MB233J/A)に加え、比較対象として13インチMacBook Pro(MB990J/A)の最安モデルを取り上げている。各モデルに搭載されるGPUの性能差が分かるはずだ。
Windows XP環境下でベンチマークテストを実行
まずはじめに、Windows XP環境下でのシステム性能を見ていこう。ここでは評価機にWindows XP Home Edition(SP3)をインストールして定番のベンチマークテストを実施した。Windows用のドライバはパッケージに同梱される「Mac OS X Install DVD」(Boot Campフォルダ)に入っているものを使用している。
新型の15インチMacBook Proは、SDメモリーカードスロットの搭載や本体一体型内蔵バッテリーの採用などが目を引くものの、基本システムだけを見れば従来のアーキテクチャを引き継ぐマイナーバージョンアップだ。ただし、13インチMacBook Proと比較すると、液晶パネルのサイズや解像度だけでなく、上位モデルに外付けGPUの選択肢があるという点で大きな違いがある。これがどの程度システム性能の差に現れるだろうか。
PCMark05の結果を見ると、全体的に15インチMacBook Proのスコアが高い傾向にあるが、特にGraphicsで13インチMacBook Proの約2倍、MacBook Airの約3倍にあたる6467と大きく引き離した。このグラフィックス性能の差は、3DMark06の結果でより際立っており、13インチモデルの2.7倍と非常に高いスコアをマークしている。ちなみに、GPUが同じ(GeForce 9400Mチップセット内蔵)を13インチMacBook ProとMacBook Airでもスコアに開きがあるが、これはコアクロックの差が出たためだろう(前者が450MHz、後者が300MHz)。
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3の結果も、Highで8359、Lowでは1万の大台を超えており、FINAL FANTASY XIのようなライトな3Dゲームタイトルならば、高解像度でも十分楽しめる性能を持っていることが分かる。
なお、ここで比較した15インチMacBook Proと13インチMacBook ProのCPUは、前者のクロックが2.6GHz、後者が2.26GHzだが、グラフィックス性能の差に比べればCPUの性能差はそれほど大きくはない。13インチ/15インチMacBook Proにラインアップされる5モデルからどれを選ぶかは、携帯して利用するかどうか、広いデスクトップ領域が必要かどうか、そしてより高いグラフィックス性能を要求する用途かどうかで絞ることになるだろう(もちろん価格もだが)。排熱設計上の理由だと思われるが、13インチMacBook Proのオプションに外付けGPUがないのはやはり悔やまれるところだ。
バッテリー性能を検証
新型MacBook Proは、17インチモデルで初めて採用された本体一体型の内蔵バッテリーを搭載する。容量アップにともなう駆動時間の延長に加えて、バッテリー寿命が一般的なノートPCの約3倍(1000回充電可能)になったのが特徴だ。そこで実際に、Mac OS XとWindows XPの両環境下でバッテリー駆動時間を計測してみた。
Mac OS Xでは、画面輝度を最高に設定し、キーボードバックライトの明るさを最大、1分間のQuickTimeファイルを全画面で連続再生するという方法と、画面輝度を中間にし、キーボードバックライトをオフにして、同じく1分間のQuickTimeファイルを全画面で連続再生するという方法の2種類を試した。また、15インチMacBook Proでは、前者がパフォーマンス優先(GeForce 9600M GT動作)、後者がバッテリー寿命優先(GeForce 9400M動作)で計測している。
一方、Windows XPでは、海人氏作の「BBench 1.01」を利用して、画面輝度を最高、キーボードバックライトは最低、電源設定は「ポータブル/ラップトップ」で、10秒おきにキーボードを押下、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11n)によるインターネット巡回(10サイト)を行う設定でテストした。
実際のバッテリー駆動時間は、15インチMacBook Proで3時間25分(画面輝度最大、パフォーマンス優先)/4時間38分(画面輝度中間、バッテリー寿命優先)、MacBook AirのHDDモデルで2時間36分(画面輝度最大)/3時間18分(画面輝度中間)と、公称駆動時間には及ばなかったものの、いずれも動画再生をループしたテストであることを考えればまずまずの結果だ。
一方BBenchの結果は、外付けGPUの影響からか、13インチMacBook Proの4時間1分に対して、15インチMacBook Proは2時間43分とかなり短くなった。もっとも、15インチMacBook Proの本体サイズと重量を考えると、常時携帯して利用するというよりも、オフィス内での移動やホームモバイルなどが中心になるため、バッテリー駆動時間が問題になることはほとんどないだろう。また、単純にWebサイトの閲覧やテキスト入力といった用途であれば、細かく輝度などを調整することでもう少し駆動時間を延ばすことができるはずだ。
最後に、試用中に気になった点を付け加えておこう。アルミユニボディを採用するMacBook ProとMacBook Airだが、動作中はともにボディ左側全体が熱を帯びやすい傾向にある。特にMacBook Airはベンチマークテストプログラムを実行しているあいだ、ボディ全体が熱を発し、キーボードやパームレストでもはっきりと熱を感じた(背面の排気口は危険を感じるくらい熱くなる)。モバイルPCはひざの上で使うことも多いが、長時間使用する場合は注意したほうがよさそうだ。あるいは、これから迎える夏に向けてノートPC冷却台などを用意しておくのもいいかもしれない。
関連記事
性能は? バッテリー駆動時間は?:新型「13インチMacBook Pro」の“Pro度”を検証する
MacBook Pro史上、最も安い13インチモデル「MB990J/A」。前回は旧MacBookと比較しながら、液晶ディスプレイなどの違いを中心に見てきたが、今回はシステム性能やSDメモリーカードのリード/ライト速度、バッテリー駆動時間などを検証していく。この液晶は違う!:史上最安の「MacBook Pro」は本当に“Pro”か?
13インチMacBook ProとアルミユニボディのMacBookを比較しながら、広色域の新型液晶ディスプレイの品質をはじめ、スペック表では分からない部分を見ていく。MacBook Air Trilogy III:SSD/HDD版MacBook AirでVistaをねじ伏せた
MacBook AirをMac OS X Leopard、Windows XPで動かしてきたが、3部作の完結編では、Windows Vistaを導入してテストを実施した。MacBook Air Trilogy II:MacBook AirのSSD/HDD版でWindows XPを走らせた
プラットフォームをGeForce 9400Mに一新した新型MacBook Air。このSSDモデルとHDDモデルにWindows XPを導入し、性能を比べてみた。WWDC 2009現地リポート:Macを未来へと前進させる低価格化戦略
WWDC 2009の基調講演の様子を、直後に行われたインタビューの内容を交えながら振り返ってみる。まずは新型「MacBook Pro」と次期Mac OS X「Snow Leopard」編だ。iPhone 3G Sに触った! 日本語音声コントロールのレスポンスに感動
基調講演直後に行われたiPhone 3G S担当者との合同インタビューで、幸運にもiPhone 3G Sに触れる機会を得た。音声操作は日本語に対応、そのレスポンスは?WWDC 2009現地リポート:何がいつから手に入る? 入手可能順で振り返るWWDC 2009基調講演
内容が盛りだくさんだったWWDC 2009の基調講演。ここでは現地リポートの速報として、講演で示されたスライドとともに、発表された内容を入手可能な順に時系列で振り返っていく。新iPhone、新型Macは出るのか?:「1年後。数光年先」――WWDC 2009開幕直前リポート
いよいよWorldwide Developers Conference 2009が開幕する。Moscone Centerから前日リポートをお届けしよう。今年は何が発表されるのか?アルミユニボディの新型MacBook Proファミリー、気になるお値段は?
アップルがMacBook Proファミリーを一新。MacBook Proは13インチ“Pro”の追加や進化版バッテリー、SDスロット搭載など、15インチ・17インチ含めて仕様の底上げと値下げが行われた。MacBookから衣替え:13インチMacBook Proが登場、SDスロットがついて7時間駆動に
WWDC 2009の基調講演で発表された13インチMacBook Proは、アルミユニボディのMacBookを引き継ぐ新モデルだ。価格は13万4800円から。バッテリー駆動が最長7時間に:アルミユニボディの15インチMacBook Proが一新、17インチモデルも値下げ
アップルがユニボディデザインを採用したアルミボディの15インチMacBook Proをアップデート。バッテリー駆動時間が最長で約7時間に延び、価格が引き下げられた。低価格戦略でOSアップデートを促進:「Mac OS X Snow Leopard」はアップグレード価格29ドルで、9月に発売
アップルはMac用次期OS「Mac OS X Snow Leopard」を2009年9月に発売すると発表した。アップグレード価格は29ドルと低価格に設定されている。SSD搭載でも20万円切り:MacBook AirのCPUが高速化し、16万円台に値下がり
アップルはMacBook Airの新モデルを発売した。CPUを高速化し、価格を下げている。HDD搭載の下位機が16万8800円、SSD搭載の上位機が19万8800円から。ひっそりと10万8800円:「MacBook White」がCPUとHDDを強化し、さらに安く
アップルがMacBookシリーズで唯一ポリカーボネートボディを採用する「MacBook White」の仕様をアップデートした。これは安い。999ドルMacBook:いつの間にかモデルチェンジした「MacBook White」は安すぎる?
たいした告知もなくひっそりとアップデートしたMacBookの最下位モデル「13インチMacBook White」は、実は強力な新生活向けマシンに生まれ変わっていた、というお話。新型MacBookでWindows XPを走らせた
アルミ削りだしの“ユニボディ”に身を包んだ新型MacBook。早速、新モデルのパフォーマンスを計測した。ただしWindows XPで。新型MacBookの圧倒的な性能を見せつけられた夜
初代MacBookユーザーの中には、このフルモデルチェンジを機に新型への乗り換えを検討している人も少なくないはず。筆者もその1人なのだ。で、グラフィックスが5倍高速って本当なの?新型MacBookを触って、気付いたこと、感じたこと
新しいMacBookファミリーが発表され、日本国内でもプレス向けの製品説明会が開催された。注目はやはりMacBook。実際に1台借りることができたので、説明会の模様とともに、実機を試した第1印象をリポートしよう。新型MacBookの“ピカピカ液晶”を非光沢に変えてみた
ユニボディデザインを採用したアルミのMacBookは、iMacに似た黒い額縁の“ツルピカ”液晶を搭載する。この映り込み、どうにかならない? ということでアンチグレアフィルムを試してみた。現地リポート:MacBookファミリーの新製品群を一挙公開――アップルスペシャルイベント
米カリフォルニア州クパチーノの本社で開かれたアップルのイベントで、MacBookファミリーなどの新製品群が披露された。新製品は4つだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.