ユーザーインタフェースの変遷から考えるWindows 7:元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)
Windowsのユーザーインタフェースは時代とともに変化している。最新のWindows 7ではどのようになったのか。その変化の歴史を振り返ってみた。
腹が立たないOSになったWindows 7
Windows Vistaの一般発売は2007年1月だが、企業向けの提供は2006年11月にスタートしている。そのわずか半年前にリリースされたチップセット以降でないと完全対応できないのでは、ユーザーが満足の行くアップグレードは不可能に等しい。マイクロソフトとインテルの連携が不足していたと指摘されてもしょうがないだろう。
今回のWindows 7でマイクロソフトは、ハードウェアの要求をWindows Vistaから据え置いた。Windows 7のリリースに対しては3年半前のチップセットとなるIntel 945チップセットで、Windows 7のAeroは動く。つまりNetbookの主流となっているIntel 945GSE ExpressとAtomで、Windows 7のAeroは利用可能だ。メモリもNetbook標準の1Gバイトでまず問題ないし、ストレージスペースも16Gバイト以上と、初期のNetbookを除けば十分クリアできる。ここでも3年の月日が問題を解決したと考えられる。
逆に問題なのはマイクロソフトがNetbook向けにライセンスするWindows 7 StarterにAeroのサポートがないことかもしれない。Anytime Upgradeのような措置でStarterからHome Premiumへアップグレードすることは可能になる見込みだが、その価格については今のところ明らかにされていない。また、本来はNetbook向けではない、Atom Zシリーズ対応チップセットの内蔵グラフィックスでのAeroのパフォーマンスも問題になるかもしれないが、市場の大半を占めるハードウェアでWindows 7は快適に動作するはずだ。
残る4こそが、残された最大の課題であり、筆者がWindows Vistaを捨てた最大の理由でもある。が、もちろんマイクロソフトがこれを認識していなかったわけではないようだ。マイクロソフトはWindows 7のデスクトップ/UIの設計目標として、
- いつも使うものは身近なところに
- 分かりやすく確実なウィンドウ管理
- 決めるのはユーザー
- スッキリかつ軽量に
の4点を挙げている。特に、「決めるのはユーザー」の項には、どんな通知をいつ受けるかを決めるのもユーザー、と書かれている。つまり積極的にOSから通知するのではなく、ユーザーがどんな通知を受けるのか決める、と変わったわけだ。これはWindows XPからWindows Vistaへと受け継がれてきた哲学からの別離を示している。
2008年11月のPDCで配布されたPreview版以来、1月のβ版、5月のRC版と、筆者はWindows 7をかれこれ半年あまり使っている。その体験を一言で表せば、「腹が立たない」ということに尽きる。Windows Vistaに1年と耐えられなかった筆者が、Windows 7については普通に使えている。
次回はどのあたりがよくなったのか、少し考えてみたいと思う。
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