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中国独自規格「CBHD」でHD DVDが復活する……のか?山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/3 ページ)

東芝がBDドライブ搭載ノートPCを発表した2009年秋に、HD DVDをベースに開発したCBHDプレーヤーが中国で登場。国慶節に速攻で購入して“しまった”そうな。

CBHDプレーヤーの値下げ条件は「販売店を通さない」こと

 そういうわけで、思いのほか静かな蘇寧電器でCBHDを探す。1モデルだけあったソニー製Blu-ray Discプレーヤーが最も目立つ場所で異彩を放っているほかは、1000元(約1万3500円)程度のDVDプレーヤー(レコーダーではない)が最も多く並んでいる。中国期待のCBHDプレーヤーは1台だけがひっそりと売り場の片隅に展示されていた。それが、新科(Shinco)という中国メーカーのCBHDプレーヤー「CBHD-9100」で、価格は2598元(約3万5000円)と高い。大手オンラインショッピングサイトの淘宝網(TAOBAO)では、いくつかのCBHDプレーヤーが中国大手メーカーのTCLから販売されているが、店頭で新科以外の製品を見ることはなかった。

蘇寧電器で販売されているのは1000元のDVDプレーヤーが主流だ(写真=左)。唯一あったBlu-ray Discプレーヤーはソニー製(写真=右)

 新科といえば、筆者が以前購入したEVDプレーヤーも同じメーカーの製品だった。もしやと思ってCBHDプレーヤーが展示されている下の棚を見ると、なんと、絶滅したはずのEVDプレーヤーがいまだに販売されていた。そういえば、新科広報の陳長峰氏はCBHDが発表されたときに「VCDからDVDまでは中国企業は開発していてもリーダーではなかった。外国の規格だからだ。中国独自のCBHDはこの局面を変える」というコメントを残している。言っていることは間違っていないが、過去に失敗したEVDに言及してないあたり、CBHDの将来に不安を感じる。

なんとなく、「新発売なのに在庫処分品的雰囲気」を醸し出している「新科の中国独自規格採用製品」とはいえ、買うと決めたからには、中国家電のお買い物では当たり前の「値引き」「お土産」を(メーカー派遣の)販売員から引き出さねばならぬ。「土産は何をくれるのか」「その土産がなかったら、どれくらい安くなるのか」などと小一時間交渉した結果、販売員は「蘇寧電器を通さない」(当然蘇寧の国慶節キャンペーンは利用できない)、「領収書を発行しない」、「土産はCBHDコンテンツを多数」、「価格は2250元でどうだ」という実にグレーな妥協案を提示した。かくして数時間後、筆者が滞在する家にメーカーの社員がCBHDの箱を抱えてやってきてセッティングをしてくれた。

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店頭で唯一存在が確認できたCBHDプレーヤーは新科の「CBHD-9100」だった。店頭価格は2598元(写真=左)。小一時間の交渉の末に購入が決まった。販売スタッフは下の棚から“お土産”を出してきた。“メーカーダイレクト”の交渉価格は2250元+お土産多数(写真=右)

ワーナー・ブラザーズの映画が見られるCBHD

 購入した「CBHD-9100」は、ピアノブラック塗装が施され、以前購入した同社のEVDプレーヤーより高級な感じだ。本体前面には再生用の各種ボタンとUSBポートがある。最近の中国製AV機器にはUSBポートがついているのが普通で、これを利用してデジカメで撮った画像などを見ることが多い。ただ、そうしたポートの初期化処理のために、起動時間は日本製AV機器だけでなく、中国製のEVDプレーヤーと比べても長い。背面には、コンポーネント端子やHDMI5.1chサラウンド用オーディオ端子などを備える。

「お土産」で獲得したCBHDコンテンツは全部で25枚になった。この手のおまけはEVDプレーヤーにもついていたが、CBHDはHD DVDの系統だけあって、中国人でさえ聞いたことのない国産映画ばかりのEVDコンテンツより豪華だ。25枚のディスクのうち、15枚がワーナー・ブラザーズの映画だった。ちなみに、説明書ではリージョンコードが6(中国本土のみ)に設定されているようだが、日本のDVD-Videoも問題なく再生できてしまった。

購入した本体と多数の“お土産”。下に見える謎のキャラクターは「喜羊羊与灰太狼」という最近人気が出てきた中国の子供向けアニメに登場する(写真=左)。メーカーのスタッフが家まで来て設定してくれた(写真=右)
お土産で付いてきたCBHDコンテンツは25タイトル。そのうち15タイトルはワーナー・ブラザーズの映画だ(写真=左)。ワーナー・ブラザーズのタイトルにもCBHDのロゴがついていた(写真=右)

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