iPadは本当に“安い”のか?――Appleスペシャルイベントを振り返る:Appleイベント現地リポートまとめ(前編)(3/3 ページ)
ここまで写真や動画で速報してきた「iPad」だが、現地リポートのまとめとしてAppleのスペシャルイベントを詳しく振り返りながら、改めてiPadが登場した意味を考察していこう。
iPadは果たして高いのか、それとも安いのか?
冒頭で触れたように、事前リーク情報で1000ドルという想定価格があってこその499ドル表明での驚きだが、改めて考えてこの値段は安いのだろうか? それは、ユーザーがiPadに何を求めるかによって変わってくる。
高機能なiPhoneやiPod touchと考えた場合、前述のように動作は高速で非常にスムーズであり、バッテリー駆動時間も長い。おそらく期待を裏切らないはずだ。だが、MacBookのような“パソコン”と考えると機能不足だし、iPhoneやiPodのように気軽に持ち出すタイプのデバイスでもない。ユーザーがiPadを新しいカテゴリの製品だと考えられるかどうかがポイントになるだろう。もしニーズにフィットしたのならば、499ドルという値段は確かに“安い”。
むしろ問題は、3Gに対する考え方と、まだまだ未知数な「iBookstore」の存在だ。頻繁に持ち出すタイプのデバイスでないと考えた場合、3Gをサポートする必然性は低い。自宅ならWi-Fiがあるからだ。すでにいくつか指摘されているように、月額14.49ドルで使える250Mバイトという容量はその気になればあっという間に消費してしまう。3Gの使い方としては、たまにWebブラウズやメールチェックをするといった運用になりそうだ。iPadは、MacまたはPCと同期がある程度前提になっているため、「すべてを3Gで……」という使い方をすることは少ないだろう。むしろ29.99ドルでデータ通信無制限というのがオマケ的なもので、本来はWi-Fiオンリー、または補助的に上限つきの14.99ドルという使い方が一般的だと思う。
ちなみに米AT&Tの場合、スマートフォンに容量無制限のデータ通信機能を付与しようと思ったとき、基本料金に15ドル(iPhoneの場合は専用プラン選択のうえで20ドル)を足すだけでいい。スマートフォンとはいえ、そこまでガリガリとデータを消費するわけではないため、実際の通信量は前述のような数百Mバイト程度で収まることが多い(米国の3Gはそこまでパフォーマンスが出ないという理由もあるが)。このため、データ通信の価格設定も適切なレベルといえそうだ。
以上、前編ではAppleのスペシャルイベントを写真で振り返りつつ、iPadの機能紹介やその完成度、そして価格に対するちょっとした考察をまとめてみた。後編では新サービスの「iBookstore」に焦点を絞り、iPadとiBookstoreが出版業界や教育市場に与える影響など、ビジネス的な視点から話を進めてみよう。Appleは苦境に立つ出版業界の救世主になることができるのだろうか?(後編へ続く:ぼくらは“未完成”の「iPad」に期待しすぎていたのだろうか)。
関連キーワード
Mac | MacBook | Apple | アップルストア | iMac | マルチタッチ | Core 2 Duo | デザイン | MacBook Air | マウス | AirMac | デスクトップ | Lynnfield | MacBook Pro | Mac mini | 新製品 | Time Capsule | コンパクトPC | ポリカーボネート | 値下げ | Snow Leopard | Core i5 | DisplayPort | 液晶一体型PC | Mac OS X | ユニボディ | モデルチェンジ | ノートPC | 薄型ノートPC
関連記事
Appleイベント現地リポート(2):ぬるぬる動くぜ「iPad」、展示ブースから動画でチェック!
Appleがスペシャルイベントで発表したタブレット端末の「iPad」。写真による速報に続いて、気になる実際の動作を動画で紹介していく。iPadは“でかいiPod touch”なのか、あるいは……
さまざまな憶測を呼んだAppleの「iPad」が、ついに発表された。この“薄い板”を前にして、まず筆者が連想したものは……。Appleイベント現地リポート:Appleの「iPad」を展示ブースでねっとりと眺める
1月27日(現地時間)にサンフランシスコで行われたAppleのスペシャルイベントでは、ウワサのタブレット製品「iPad」が登場した。現地の実機展示ブースから写真で紹介していこう。価格は499ドルから:Appleのタブレット端末は「iPad」――9.7型IPSパネル搭載でWi-Fi/3G対応の6モデル
Appleが9.7型液晶を搭載するマルチタッチ対応デバイス「iPad」を発表した。ウワサされていた通りの製品だが、価格は予想を下回る499ドルから。「iPad」から夢想する“次期iPhone”の姿
Appleが1月27日に発表したタブレット型の新デバイス「iPad」。日本での販売方法など、まだ分からないことがいろいろあるが、現時点で分かっている情報を基に、あれこれと勝手に想像してみた。Appleイベント現地リポート:タブレット? iPhone OS 4.0? iLife 2010?――気になるウワサをひとまとめ
さまざまな新製品のウワサが飛び交うApple主催のスペシャルイベントがいよいよ開催される。現地の様子を交えながら気になる話題をまとめてみた。Macworld Conference & Expo 2009:アップル創業者が黒いタブレットMacを発表
Macworld Expoの初日、展示会場はアップル創業者のスティーブによる新しいタブレット型Macの発表で沸き立った。日本語対応の手書き文字認識も搭載。Magic Mouseは“使える”の?:「Boot Camp 3.1」で64ビット版Windows 7を試してみた
ようやくアップルが公開したWindows 7正式対応の「Boot Camp 3.1」は、32ビット/64ビット版の両方が用意されている。注目はMagic Mouseのサポートだ。早速試してみた。これは安い:性能も機能も“Pro”並みの「MacBook White」を試す
ノート型Macで初めて10万円を切った新型MacBook Whiteを評価していく。バッテリー駆動時間の実測やWindows 7環境下でのベンチマークテストも実施。これが“冬ボ”の使い道:画面が大きく鮮やかになった新型「iMac」を徹底比較
物欲が加速する年末のこの時期、新型iMacの中で最も安い21.5型モデルと、Core i5を搭載する27型モデルを比較してみた。Windows 7環境での性能評価も。Magic MouseをWindowsで:アップル、Windows 7対応の「Boot Camp 3.1」を公開
アップルがWindows 7に正式対応する「Boot Camp 3.1」をリリースした。最新iMacへWindows 7をインストールするためのドライバも公開。アップル上級副社長に聞く:「デジタルライフスタイルの未来はiPhoneにある」――フィル・シラー
スティーブ・ジョブズCEOに続くアップルの顔、最近ではMacworldやWWDCといったイベントで基調講演も行っているフィル・シラー氏が来日し、MacやiPod、iPhoneの最新状況について語った。iMac製品担当者に聞く:「不要なものがない、世界で最も優れたコンシューマー向けデスクトップPC」
アップルがクリスマス商戦向けに投入した新製品について、MacBook担当者に続き、デスクトップ製品担当者のグレッグ・スメルツァ氏に話を聞いた。MacBook担当者インタビュー:10万円を切る価格で“Pro”の特徴を持つ新型「MacBook」
アップルが2009年のクリスマス商戦に向けて製品ラインアップを一新した。新製品の背後にある設計思想やデザインの秘密は何か。米Appleのノートブック製品担当者であるセリーナ・チェン氏に聞いた。Magic Mouseを試そう:アップルストア銀座で新しい「iMac」と「MacBook」が出荷開始
アップルストア銀座店ではすでに新型の「iMac」や「MacBook」、「Mac mini」などが店頭に並び、一部のモデルを除いて出荷が開始されている。平日にも関わらず展示機周辺は人だかりができるほどの盛況ぶりだ。これぞ、アップルマジック!:Lynnfield搭載iMacと新デザインMacBook、Magicなマウスで奇襲をかけるアップル
アップルは、コンシューマー向け本体ラインアップで新製品を発表した。周辺機器ではマルチタッチに“世界で初めて”対応するマウスも登場する。ユニボディ採用の新型「MacBook」登場、9万8800円から
13.3型ディスプレイを搭載する「MacBook」がリニューアル。デザインを一新したポリカーボネートのユニボディや7時間駆動の一体型バッテリーを採用し、NVIDIAプラットフォームと2.26GHz駆動のCore 2 Duoを搭載する。価格は9万8800円。CPUやメモリ容量を強化した小型デスクトップPC――「Mac mini」
液晶ディスプレイを省いた小型デスクトップPC「Mac mini」がモデルチェンジし、CPUやメモリを強化した2モデルのほか、サーバモデルも登場した。画面が広く、大きく、鮮やかに――クアッドコアCPU搭載iMacも登場
アップルが21.5型/27型の高解像度液晶ディスプレイを採用したiMacの新モデルを発表した。最上位モデルには最新クアッドコアCPU「Core i5」搭載モデルもラインアップされる。アップル、世界初をうたうマルチタッチ対応マウス「Magic Mouse」
アップルはマルチタッチ対応のBluetoothマウス「Magic Mouse」を発表した。新型iMac全モデルに標準添付されるほか、単体でも購入できる。価格は6800円だ。MacBook Airが値下がりし、14万円台から購入可能に
アップルのスリムノート「MacBook Air」が、スペックはそのままに値下げされた。HDDモデルが14万8800円、SSDモデルが17万8800円から購入できる。アップル、「Boot Camp」の対応OSにWindows 7を追加すると発表――2009年中予定
米Appleは、Mac用デュアルブート機能「Boot Camp」の対応OSにWindows 7を追加すると発表した。何が出るかな:Appleスペシャルイベントの目玉は?――“気になるウワサ”をひとまとめ
スティーブ・ジョブズCEOの登場に期待が高まるAppleスペシャルイベントがいよいよ開催される(日本時間9月10日2時)。サンフランシスコの会場には3日前にして巨大広告が出現しているが、いったい何が発表される?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.