監視カメラからiTunesまで――“最強NAS”をホームサーバとして使う:“真・最強NAS”活用術 第4回(3/4 ページ)
QNAPのNAS製品が「最強」といわれる理由は、1つがCPUやメモリなどのハードウェア設計からもたらされる性能の高さ、そしてもう1つが機能の豊富さだ。パフォーマンスについて検証した連載第2回に続き、今回はQNAPの“家庭的な一面”を見ていこう。
監視ステーション――Qrecordingsフォルダ
監視ステーションは、ネットワークカメラを制御し、指定されたスケジュールに従って自動録画を行う。その保存先に使用されるのがQrecordingsフォルダだ。だが、いくらTS-639Proに大容量HDDを搭載しても、録画し続ければいずれディスクいっぱいになってしまう。監視ステーションでは録り貯めた録画ファイルをどう保存するか、どう削除するかを制御できる。
TS-639Proには4台までのネットワークカメラを同時に制御できるので、個人経営のお店などで防犯用として使用するには十分すぎる性能だろう。また、夜間など動きがない時間がほとんどを占める場合には、モーション検出対応カメラを使用して動きを検出したときだけ録画するといったこともできる。その際、動きが起きる何秒前から何秒間録画する、といった録画時間の設定が可能だ。
このモーション検出はディスク使用量を軽減するのに役立つだけでなく、録画ファイルを目視確認する際にも重宝する機能だ。監視ステーションでは曜日ごとに1時間単位で通常録画とモーション検出録画をスケジューリングすることができるので、営業時間内と夜間で切り替えるだけでなく、営業日と定休日でも切り替えられる。
監視ステーションの使い方は防犯用だけではない。自宅においてきたペットの様子を会社から眺めたり、フレームレートを低く設定してアサガオの開花やセミの羽化などを通常録画し、動画変換ソフトを使ってタイプラプス動画(早送り画像)を作成することもできる。
ダウンロードステーション――Qdownloadフォルダ
通信回線の高速化にともない、インターネットで配布されるファイルの容量はますます大きくなっている。いまや数百Mバイトはあたりまえ、動画やISOイメージファイル、ゲームの体験版やパッチでは数Gバイトに及ぶこともある。容量の大きなファイルの場合はダウンロードが完了するまでに数時間かかることもめずらしくない。P2PプロトコルのBitTorrentに至ってはノードの状態によっては数週間~数カ月かかることすらある。その間、ずっとPCを立ち上げておくのは非効率だ。特にレジュームに対応していないプロトコルの場合は中断することもできない。Windows Updateによる自動再起動などがかかってしまったときには目も当てられない。
ダウンロードステーションは、HTTPやFTP、BitTorrentなどを利用したダウンロード処理をTS-639Pro自らが単体で行う機能だ。TS-639Proは省電力、大容量(搭載ディスク構成による)なので、こういった処理には最適なアプライアンスと言える。PCを立ち上げておく必要がなく、バックグラウンドで黙々と処理を進めるため、気がついたらダウンロードが完了している。
ダウンロードステーションの使い方は簡単だ。まず、クライアントPCにアプリケーションQGetをインストールする。QGetはアイコンとして表示されているので、ダウンロードしたいURLをその上にドロップしたり、URLをコピーした状態でアイコンをクリックしてダウンロードタスクを追加する。BitTorrentの場合は.torrentファイルに関連付けられるので、そのまま開けばよい。あとは自動的にTS-639Proがダウンロードを行ってくれる。
実行中のダウンロードタスクがあるときはQGetのアイコンは転送状況表示に変わる。QGetが行う処理はダウンロードタスクへの追加・削除・編集とダウンロード状況の取得のみで実際のダウンロード処理はTS-639Proが行う。そのため、ダウンロードの途中でPCをシャットダウンしてもダウンロードが中断されることはない。もちろん、PCにはダウンロード状況を表示する以外の負荷もかからない。
ダウンロードしたファイルはQdownloadフォルダに保存される。そこからQmultimediaやPublicなど、TS-639Pro上のほかのフォルダに移動させるときにはエクスプローラから行うよりもWeb File Managerを使うと非常に高速だ。
USBワンタッチコピー――Qusbフォルダ
QusbはTS-639Pro前面のUSBポートに接続したマスストレージクラスのデバイス(フラッシュメモリや外付けHDDなど)のワンタッチコピーを行う際のコピー元/コピー先フォルダとして用意されている。もっとも、Qusbフォルダはあくまでデフォルトフォルダであり、簡単にほかのフォルダに変更することができる。
また、バックアップの方法としてディレクトリを新規作成してその下にコピーする「ディレクトリの追加」、上書きコピーを行う「コピー」、コピー元に存在しないファイル・フォルダは削除、そのほか上書きコピーを行って双方を同じ状態に保つ「同期」が選べる。デジカメなどのデータバックアップには「ディレクトリの追加」、外付けHDDのバックアップには「コピー」や「同期」を使うなど、用途に応じたバックアップが可能だ。
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