iPad/iPhoneアプリ開発の成功に必要なもの:iPad開発者会議リポート(後編)(1/3 ページ)
App Storeが“第2のゴールドラッシュ”というのは本当だろうか。「iPad Summit」リポートの後編では、実際にiPad/iPhoneアプリ開発で商業的な成功を手に入れたデベロッパーの視点を紹介していく。
米サンフランシスコで開催されたiPad開発者会議リポートの前編では、ゲームプラットフォームとしてのiPad/iPhoneと、それらにまつわる誤解や実情について、業界関係者やアナリスト、現場スタッフらによる報告を紹介してきた。後編ではさらに踏み込み、実際にiPadでローンチタイトルを開発したアプリメーカーや、iOS向けアプリで成功しているデベロッパーらの実例を紹介しつつ、このiPad/iPhoneプラットフォームを使っていかに商業ベースでの成功を実現していくのか、関係者らの意見を紹介していこう。
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iPadのローンチタイトルとなったゲームアプリ
今回の開発者会議では、2つの実例が紹介されている。まずはiPadのローンチタイトルとして「Diner Dash: Grilling Green」(iTunes Store)をリリースした米Playfirstの話から紹介していこう。
最初に登場した米Playfirstのモバイル&コンソール担当ディレクターChris Williams氏は、まず同社の紹介を行っている。Playfirstは、いわゆるカジュアルゲームの開発を行う2004年設立の新興メーカーだ。WindowsやMacのほか、Facebook、そして今回のiPhone/iPadのように、マルチプラットフォーム展開を行っている点で特徴がある。
今回話題となるDashシリーズは3種類のアプリが用意されており、2.99~4.99ドルの価格で提供されている(Lite版もあり)。600万本以上がダウンロードされており、2010年内のセッション数が現時点で4500万に到達するという。iPhoneアプリとしては人気の部類だ。
今回、iPadが発売されるにあたって、同社ではDashシリーズのiPadへの展開を計画したが、まず問題となったのがスケジュールだった。iPadが発表されたのが1月末、iPad発売とiPadアプリがApp Storeで一斉公開されるのが4月3日(当初は3月以内とみられていた)、AppleがiPadローンチのタイミングでアプリを公開する際に設定した登録申請締め切りが3月27日だったため、iPad発表からアプリ完成までの期限が実質2カ月ない状態だった。ところが2月初旬にiPadアプリ開発を決定してから、プロトタイプ、最初のプレイ可能なサンプルを作成するまで1カ月かからなかったという。その後α版、β版を経て、最終的に締め切り前にApp Storeへの登録申請を完了している。Williams氏によれば、実質42日間というスピード開発だったという。
当時はまだiPadエミュレータしか公開されていない状態だったわけで、こうした中で手探り状態での開発はいろいろ苦労が多かったはずだ。だがPlayfirstでは単なる移植にとどめず、iPad向けにマルチタッチやマルチプレイヤー要素を盛り込んで、iPad向けに完全にアレンジした状態でゲームを完成させている。リードデザイナーのDana Nelson氏は、ゲーム内でのタッチ操作によるジェスチャーの設定など、こうしたゲーム環境をストレスなく楽しめる部分に工夫を行ったと説明しており、これが差別化の成功につながったと考えているようだ。
Nelson氏が語る成功するゲームアプリ制作のポイントとしては、まずファーストインプレッションを重視し、ユーザーの目にとまらせること。また複数のメディアにアプリが紹介されたことで、ダウンロードの増加にもつながったという。Appleが用意するランキングなどを含め、こうした機械的に自然に用意されている“露出”の仕組みをうまく活用することで、アプリのアピール力がかなり異なってくるというのだ。
人知れず埋もれて消えていくアプリが多いなか、こうした取り組みはApp Storeで非常に重要になる。また前述のようなiPhoneからのベタ移植ではなく、あくまでiPadならではのアレンジを加えられるかどうかが、特にiPad向けアプリ開発におけるポイントになるだろうとも説明する。
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