連載

失礼な! 電気は通っていますよ!!──チベットの“大都市”でIT事情を探る山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/3 ページ)

日本では「ヒマラヤ!」の印象が強いチベット。情勢不安定で入域が難しく、生活する人の姿が見えてこない。PCやケータイを串、いや、駆使する人はいるのか?

チベットの“都市”で電脳街を散策する

 ラサにはPCメーカーの代理店が集中する“電脳街”がある。中国の小さな都市にも必ずあるレノボやヒューレット・パッカードの代理店やショップブランドPCを販売するパーツショップ、そして、デジタルカメラ専門ショップはもちろん、ラサの電脳街ではソニーやキヤノンの代理店も確認できた。チベットでもPCを購入しようと思えば、安価な自作PCからステータスシンボルといわれるThinkPad、VAIOのノートPCまで選べるようだ。

ラサの電脳街にあったヒューレット・パッカードの代理店(写真=左)に大規模携帯電話ショップ(写真=中央)。ラサの電脳街は、専門店の入った平屋が沿道に長く延びている(写真=右)

 電脳関連の販売拠点としては、ほかにもハイアール(海爾、Haier)や、「蘇寧」「国美」といった中国の大規模家電量販店では販売していない「スカイワース」(創維、Skyworth)という中堅の中国家電メーカーを扱う代理店が集中する電気街、ノンブランドの低価格テレビとDVDプレーヤーがそろう“市場”がある。ここでは、WiiやPSPといったコンソールゲームデバイスを販売するショップもあるという。このような、庶民向けの市場でも、生活家電やAV家電は一通りそろう。

シガツェにある家電量販店にはハイアールの看板が掲げられ(写真=左)、ラサにはスカイワースの販売代理店がある(写真=中央)。庶民向けの家電販売店で主力商品はブラウン管テレビだ(写真=右)

 ラサをはじめとしたチベットの都市と、この連載で以前紹介したモンゴルの首都ウランバートルは雰囲気がよく似ているが、デジタルガジェットを含めて、ショッピング事情はラサがより充実しているようだ。

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旧市街の聖地で見かけたデジタルガジェット

 一方で旧市街は、古くからの雰囲気を残したままだ。中国の青海省とチベット自治区のラサをつなぐ青蔵鉄道の開通により、以前より多くの観光客が訪れるようになったが、観光地化が著しく進んでしまった中国の世界遺産と異なり、ラサの旧市街は筆者が訪ねた10年前と同じように生活の場として利用され、多くのチベット人が旧市街の聖地を巡り、寺の前で五体倒地をして祈っている。

 チベットの聖地を訪れる観光客は漢民族や外国人だけでない。チベット人にとっても“大都会”のラサは一度は行きたいあこがれの場所であるので、地方からたくさんのチベット人がやってくる。旧市街と新市街には多数の宿泊施設があるが、「チベット人が落ち着けるチベット人部屋」と「漢民族が落ち着ける漢民族部屋」それぞれを用意するホテルもある。ちなみに一部のホテルでは、「インターネット接続可能」「液晶テレビの設置」をアピールする広告を掲げている。

「電脳上網」とインターネット利用可能をアピールするラサのホテル(写真=左)。ホテルでインターネットが使えなくても、ラサの町にはネットカフェがある(写真=中央)。長距離通話にはIP電話(IP電話超市)も利用できる(写真=右)
チベットの携帯電話は中国電信(写真=左)や中国聯通(写真=右)など、中国の事業者を利用することになる

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