レビュー

「Eee PC VX6」実力診断――ランボルギーニの世界観を表現したミニノートもはやNetbookとはほど遠い!?(4/5 ページ)

“元祖Netbook”こと、初代Eee PCの登場からはや3年。ランボルーニとコラボした高級志向のモデルが出るまでに進化したのは感慨深い。こんなに大きくなっちゃって。

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電源オフから約8秒で起動する「ASUS Express Gate Cloud」も用意

タスクトレイには独自の電力管理機能として「Super Hybrid Engine(SHE)」が常駐している

 キーボードの奥の両サイドに用意されているボタンは、右が電源ボタン、左がワンタッチボタンとなっている。ワンタッチボタンは、Windows 7起動中はASUS独自の電力管理機能である「Super Hybrid Engine」(SHE)のモード切り替えに対応する一方、電源オフ時にはWindows 7と別のインスタント機能「ASUS Express Gate Cloud」の起動ボタンとして機能する。

 ASUS Express Gate Cloudは電源オフの状態から約8秒で起動し、Webブラウズだけでなく、オンラインチャット、写真なども楽しめる。もっとも、多機能化したぶん、起動後もアプリケーションの読み込みに数秒待たされることがあり、またシングルタスクのため操作性も快適とまではいかない。緊急時の備えとしては悪くないが、スリープ中心でWindows 7を使ったほうがモバイルシーンなどでもストレスなく使えるだろう。

 Super Hybrid Engine(SHE)はEee PCシリーズとしてはおなじみのもので、Super Performance、High Performance、Power Saving、Autoの4種類の動作モードが用意されている。High Performanceはごく普通の動作モードで、Super Performanceモードではわずかにオーバークロックして性能を引き上げ、Power Savingでは動作クロックを低く抑えることで電力消費を抑える。デフォルトのAutoモードでは、ACアダプタ駆動時にHigh Performance、バッテリー駆動時にPower Savingで動作する。

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標準的なNetbook製品群とは一線を画す性能

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 Eee PC VX6はデュアルコアのAtom D525(1.8GHz)、NVIDIA Optimus対応のION 2を搭載するということで、性能やバッテリー駆動時間などが気になるところだ。Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは3.2と、Aeroを含むWindows 7の多くの機能を基本レベルで実行できる水準に達している。Atom N450(1.66GHz)搭載機では2.3前後が相場なので、それに比べればかなりよい。

 ほかの性能テストについては、参考として以前にレビューしたAtom N475(1.83GHz)搭載の「Eee PC 1018P」、Celeron SU2300(1.2GHz)搭載のCULV級ノートPCである「UL20A」のスコアも一緒に掲載した。Eee PC VX6でのNVIDIA Optimusの設定はすべてION 2(ハイパフォーマンスNVIDIAグラフィックス)を利用する設定としている。

 PCMark05の総合スコアは2300で、Eee PC 1018Pの1528に比べて50%以上とはっきりしたスコアアップを見せている。CPUスコアは2033で、こちらも1018Pに比べると約30%アップしているが、UL20Aの3096にはまだ遠くおよばない。一方、ION 2を搭載しているだけにGraphicsではUL20Aをもしのいでおり、Eee PC 1018Pには274%という大きな差を付けた。


PCMark05のスコア。UL20Aは64ビット版Windows 7搭載なので、総合スコアが算出できない

3DMark06(1280×768)のスコア

FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア

 3DMark06の総合スコアは2688と、Eee PC 1018Pの約17倍、UL20Aの約3.7倍という高いスコアをマークしている。本格的な3Dゲームのプレイは無理だが、息抜きに楽しむちょっとしたゲームを快適に楽しめるかどうかの差はある。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアもプレイできるレベルだ。

動画再生のパフォーマンスも良好

 動画再生時のCPU使用率も調べてみた。Atom N450搭載の一般的なNetbook(2010年春モデル)と比較してみたが、明らかな違いが見られる。

 Eee PC VX6はYouTube動画でもAVCHDでもスムーズに低いCPU負荷で再生でき、ほかの作業をする余裕もあったのに対し、一般的なNetbookではAVCHDをまともに再生できず、YouTube再生時も62%前後と高めのCPU使用率だった。ちょっとしたメニュー操作など、ほかのタスクが重なると100%近くになり、動画がカクついたり、音が途切れたりすることもあった。

動画再生時のCPU使用率
テスト機 Eee PC VX6(Atom D525+NVIDIA ION 2) Atom N450+Intel GMA 3150
YouTube(360p) 25% 62%
AVCHD(1280×720p/60fps/約16Mbps) 18% 100%

 体感的に、一般的なNetbookとCULVクラスのノートPC、どちらに近いかといわれれば、日常操作では前者、動画再生時は後者といったところだろうか。デュアルコアCPUになっても日常操作で多用されるシングルスレッドの処理は高速にならないため、Atom搭載機で特有のわずかなテンポのゆっくりさは変わらない。

 ただ、一般的なNetbookでは少し操作を焦って処理が重なると、ウェイティングマークが長く表示されたり、明らかに反応が遅くなるようなことがあるが、Eee PC VX6でそういったことはなかった。

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