レビュー

「VAIO L」2011年夏モデルを試す(後編)――強力無比なテレビ機能と独特のタッチ操作にハマるPCの地デジ移行はしましたか?(4/4 ページ)

「PCのテレビ機能なんてオマケでしょ?」と思っているなら、あまりにもったいない。VAIO Lのテレビ&レコーダー機能は“PCだからできること”を徹底追求しているのだ。

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Sandy Bridge+外部GPUによるハイレベルなパフォーマンス

 今回入手した機材は、標準仕様モデルの最上位機(VPCL229FJ/B)ということで、基本スペックが高く、ベンチマークテストの結果も気になるところだ。

 参考として、以前にレビューした2011年春モデルの標準仕様モデル上位機(VPC219FJ/W)のテスト結果も掲載している。CPUは同じだが、メモリ容量、HDD容量が倍増しているほか、GPUがNVIDIA GeForce 315M(512Mバイト)からGeForce GT 540M(1Gバイト)へと強化されている点が主な違いだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 Windowsエクスペリエンスインデックスの結果は右の画面の通りだ。データストレージがSSDではなくHDDのため、プライマリハードディスクのサブスコアこそ5.9にとどまるが、プロセッサは7.4、メモリ7.6、グラフィックスでも6.7と、ハイレベルなスコアをマークした。

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 先代機ではグラフィックスのサブスコアが5.1、ゲーム用グラフィックス5.9だったので、グラフィックス性能の強化が数字ではっきりと現れている(ほかのスコアは同じ)。いずれにしても、Windows 7を快適に楽しめる基本性能を持っていることが分かる。

 PCMark Vantage、PCMark05といった総合的な性能を見るテストでも優秀なスコアをマークした。メモリ容量やGPUの強化の効果で、おおむね先代機を上回るスコアとなっている。ただ、HDDは容量が倍増した一方で回転速度が7200rpmから5400rpmへと変更されているため、PCMark Vantageでは必ずしも高速になっていない項目もある。

 先代機に比べてはっきり性能が向上しているのが、3D描画性能だ。3DMark06では2倍以上のスコアとなった。今回のモデルでは、バイオハザード5ベンチマーク(DirectX 10モード)とストリートファイターIVくらいの比較的描画負荷の低いゲームであれば、高画質オプションを有効にする余裕もある。

 なお、VPCL229FJ/BはNVIDIA 3D Visionにも対応しており、3Dゲームを3D立体視でプレイすることも可能だ。3D Vision利用時はフレームレートが半分弱に低下することが知られており、VPCL229FJ/Bの3D描画性能では快適にプレイできるゲームは多くはないが、グラフィックスの迫力は確実に増すので、それを体験してみるのもよいだろう。

PCMark05のスコア(グラフ=左)、PCMark Vantage x64(1024×768)のスコア(グラフ=中央)、3DMark06(1280×1024)のスコア(グラフ=右)
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア(グラフ=左)、CINEBENCH R11.5/CPUのスコア(グラフ=中央)、ストリートファイターIVベンチマークのスコア(グラフ=右)。ちなみにバイオハザード5(DX10)/ベンチマークテストBのスコアは、1280×720ドット(AAオフ、モーションブラーオフ、品質すべて高)の設定で49.2(ランクB)だった
騒音テストの結果

 室温26度、環境騒音32デシベルの室内にて、画面から前方20センチの距離で動作時の騒音レベルを測定したところ、静音性はなかなか優秀だった。

 アイドル時や低負荷時は静かな部屋で利用すれば、動作音が聞こえるという程度。空調などが動作している一般家庭ではほとんど分からない。高負荷時はファンノイズがそれなりに大きくなるが、動画のエンコードなどCPUの4つのコアに集中して負荷がかからない限りは、気になるような騒音にはならなかった。

 先代機は早期サンプルで評価した関係もあり、単純に比較することはできないが、静音性に関しては評価時点での先代機よりもVPCL229FJ/Bのほうが全般に向上している。

1台3役を兼ねるエンターテインメントPCがさらにパワーアップ

 高画質な液晶ディスプレイに高音質な内蔵スピーカー、使い勝手のよいテレビ機能、タッチパネル対応、豊富な入力端子と、PC、テレビ、デジタルレコーダーの1台3役を真に兼ねることができる実力は健在だ。3D立体視の画質も良好で、3D映像の入力にも対応したことで、さらに“全部入り”感が高まった。HDD容量が2Tバイトに倍増したことで、テレビ録画に使えるストレージ容量が増えたことも見逃せない。

 アナログ放送の停波(2011年7月24日)がもう目前に迫っている。テレビの買い換えを考えると同時に、テレビを兼ねる1台3役のエンターテインメントマシンとしてテレビ機能を搭載した液晶一体型PCの導入も視野に入れて検討しているユーザーが少なからずいると思われる。正直にいって、そういう目的におすすめできる液晶一体型PCは少ないが、このVAIO Lなら自信を持っておすすめできる。量販店での実売価格は25万円前後だ。価格だけを見ると、安いとはいえないが、基本性能の高さや機能の充実ぶりを考えれば、高いということもない。

 ちなみに、ソニーでは、2011年6月7日から9月30日まで、3D立体視対応モデルの購入者(期間中の新規製品登録および応募が必須)に対して、Blu-ray 3Dタイトル「トロン:レガシー」(トロン:レガシー3Dスーパー・セットの中のBlu-ray 3Dディスクのみ)を先着5万名にプレゼントするというキャンペーンを行なっている(3D対応VAIO F、3D対応BRAVIA、3D対応プロジェクターも対象製品)。

 限定とはいえ、ほとんど応募者全員プレゼントに近い数量が用意されており、VAIO Lを購入予定のユーザーにとっては、セールスポイントの高画質な3D立体視機能を市販のBlu-ray 3Dソフトで体感できるいい機会といえる。

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