「VAIO Z」のLTE内蔵モデルで“Xi”を試す:高級モバイルノート×LTEの実力は?(2/2 ページ)
ハイエンドな13.1型モバイルノートPC「VAIO Z」は、NTTドコモのLTEデータ通信サービス「Xi」に対応した無線WANモジュールを内蔵できる。実際、どこまで高速体験ができるのか、テストした。
新宿西口地下街では下り最大13Mbpsを記録
新宿にLTE搭載VAIO Zを持ち出し、まずは新宿駅西口地下街「小田急エース」内の「カフェ・アマティ」でXiを試してみた。
公式スポットとして明記されている西口交番前にそこそこ近いこと、店に入る前に近くに事前測定をできる場所があったこと、中の様子が外から見えるため、ノートPCを開いて作業しても平気そうだったことが、この店を選んだ理由だ。新宿のスポットは結構多いように見えるが、13.1型液晶搭載のモバイルノートPCを広げて作業するには少々厳しいところが多く、意外と選択肢は少ない。
さて、落ち着いた雰囲気の店内は、ヨーロッパの家庭風な内装が印象的で、人が慌ただしく行き交う店外の騒がしさから離れてまったりとしたひとときが過ごせる。買物帰り(あるいは途中)の奥様方やお姉様方のほかにビジネスマンの方もちらほら見え、想定としては悪くないだろう。
笑顔のかわいいウェイトレスさんに案内された席は広くはないが、この辺りとしては狭くもなく、コーヒーを飲みながらノートPCで作業するくらいは余裕だ。まぁ、ランチセットを頼んでしまったのでテーブルが一杯一杯になってしまったが、食べるかPCかはどっちかにすれば問題ないだろう。
段々何を書いているのか分からなくなってきたが、気を取り直して回線速度を測定したところ、ここでは下り10Mbps以上の速度をコンスタントに記録した。前回の渋谷より好結果で、ひと安心だ。
もっとも、筆者の用途では6Mbpsでできなくて、10Mbpsでできることって何だ……というものもなく、いつものように1.5Mbpsくらいのストリーミング動画を視聴するくらいしか思いつかないのだが、データのやり取りなど、速度に余裕があることはいいことだ。ここではPocket WiFiルータ経由のイー・モバイルの利用でも下り3.9Mbpsが出たのだが、Webブラウズの動作でそれとの違いは体感できた。
ついでといっては何だが、西口のマクドナルド(新宿西口店)でも試してみた。ヨドバシカメラのすぐそば、客席フロアは3階だ。普段、筆者が新宿に買物などに来てひと息つくのはこのあたりが多い。ここでは下り約6.1Mbpsだが、上りは500Kbps以下とずいぶん極端な数字だ。WiMAXも下り7Mbps、上り817Kbpsと上りが遅かった。なお、Xiの対応状況はここでも3Gになったり4Gになったりという現象が発生した。さらに、笹塚駅前で試してみたところ、下り5.6Mbps、上り3.6Mbpsだった。
エリア拡大を待つのが吉か、すぐに導入するか
というわけで、VAIO Zを持ち歩いてXiを体験してみた。特別速い速度が期待できるというわけではないが、エリアマップ内ではだいたいWiMAXと同等くらいの速度は出ているうえに、指定スポット近くではそれ以上の速度も確認できたし、そう悪くない結果だろう。ただし、対応エリアはWiMAXの初期のころ以上に狭い印象だ。
対応スポット、エリアマップを見ても都心の人口密集地中心、駅などが中心で、何か慌ただしい場所が多い。正直にいって、東京23区内でも比較的人の少ない落ち着ける場所でじっくりPCを使いたい筆者とはエリアの相性があまりよくないと感じた。逆に人の多いところをバリバリとアクティブに動き回って使う方には合っているだろう。
FOMAハイスピードのつもりで使い、高速エリアならラッキーというくらいの認識で使うのも悪くないだろうが、それくらいの認識で使えるかどうかのカギは価格面だ。
プランの中からお得そうなものを探してみると、契約期間2年単位で更新する「Xiデータプランにねんフラット」というものがある。これは月額固定5985円で、Xiスタートキャンペーン料金適用後で4410円。これ以外にプロバイダ料金(Mopera Uならば月額525円)もかかるが、これくらいなら同一契約でFOMAの安心感と高速データ通信を両立できるメリットもあり、十分に検討の価値があると感じる(Xiスタートキャンペーンは2012年4月30日で終了)。
ちなみにソニーストアでは、VAIO Zを購入してXiの回線契約を行うことで、3万5000円のキャッシュバックが受けられるキャンペーンも実施中だ(2012年3月30日15時までにLTE搭載VAIO Zを購入し、翌3月31日24時までに回線申し込みをしたユーザーが対象)。
改めて感じるVAIO ZのモバイルノートPCとしての優秀さ
いずれにしても、高速データ通信の選択肢が増えたのは歓迎すべきことで、いちはやくXiに対応し、WiMAX、無線LAN(モバイルルータ)での接続手段も選べる点、それらを簡単に切り替えて使える点は、VAIO Zの大きなアドバンテージといえる。
また、実際に持ち歩いて改めて感じたのは、サスペンド状態からの復帰の速さ、ブラウザのキビキビ感だ。いちいち周囲に人がいる路上や狭い場所でノートPCを開く作業はおっくうではあるし、回線速度の計測にも時間がかかるので、その待ち時間もそれなりにストレスだったのだが、システムの挙動に関してはほとんどストレスフリーで、かなり苦痛を軽減してくれた。
また、VAIO Zで作業するためにバッテリー駆動時間を優先したいとき、ほかの用事のついでに持ち運ぶために軽さを優先したいとき、どちらもあったため、フルフラットなフォルムを保ったまま拡張バッテリーで駆動時間を延長できるバッテリーシステムもありがたかった。VAIO ZのモバイルノートPCとしての質の高さ、完成度の高さを改めて感じた次第だ。
・前回記事→最強の座、揺るぎなしか:「VAIO Z」の最新ハイエンド構成をテストする
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