米軍調達基準を満たすタフな14型Ultrabook――「HP EliteBook Folio 9470m」に迫る:薄いだけじゃ満足できぬ(3/3 ページ)
薄くて頑丈で信頼できるノートPCが欲しい。それなら、個人でもビジネス向けモデルをチェックしてみては? この「HP EliteBook Folio 9470m」は実用重視の14型Ultrabookだ。
容易に着脱できるバッテリーを搭載、発熱/騒音も問題なし
HP EliteBook Folio 9470mが搭載するバッテリーは4セル式のリチウムイオンで、本体裏面のロックレバーを外すと簡単に取り外せる。容量は52ワットアワーで、動作時間は約7時間30分としている。また、バッテリーを外した後にネジで固定されたカバーを開ければ、メモリやストレージにもアクセス可能だ。
Ultrabookは薄いボディを実現するために、ユーザーによるバッテリー交換ができない構造となっているモデルがほとんどだ。その点、本機はバッテリーだけでなくメモリやストレージに楽にアクセスできる点はうれしい。メモリスロットは1基空いているので、メモリを増設することもできる。ビジネス向け製品ならではの特長として評価したい。
バッテリー動作時間は、BBench 1.01(海人氏・作)を利用した。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 9を指定し、タブブラウズはオフに設定、本体は無線LAN常時接続、Bluetoothオン、電源プランは「バランス」で、バッテリー動作時のディスプレイの輝度は40%に設定した。
この条件で、バッテリー満充電の状態から残量5%で休止状態に移行するまで6時間50分だった。公称値の約7時間30分には及ばないものの、会社や家の中で持ち歩いて作業をするという用途では満足のいく動作時間を備えている。ちょっとした外出程度ならば、ACアダプタなしでも安心して使えるはずだ。外出先での使用が多いなら、交換用のバッテリーや拡張バッテリーを用意するといいだろう。価格はそれぞれ4セルタイプが9450円(税込み、以下同)、6セルの拡張バッテリーが1万5750円だ。
ボディの発熱については、しばらく使っていても熱くなる感覚はなく、ほとんど気にならない。ペンチマークテスト実行中など、高い負荷がかかると温かくなるものの、室温22度の環境でパームレストは約27度だった。キーボードの「Y」キーあたりが最も温度が高くなったが、それでも約34度だ。
排気は左側面にある排気口から吹き出すが、その騒音は高負荷時でも42デシベル程度(環境騒音30デシベルでPCMark 7実行中に測定、本体手前5センチの位置で計測)とうるさいとは感じなかった。
実用重視で高いコストパフォーマンスを備えるUltrabook
低価格モデル(Core i3モデル)となる本構成での直販価格は7万9800円だ。SSDとHDDのハイブリッドストレージを搭載するUltrabookとしては標準的な価格だが、セキュリティ機能や米軍調達基準を満たす堅牢性などの付加価値がある。HPらしいコストパフォーマンスの高さは健在だ。
14型のビジネス向けノートPCとしては比較的薄いボディに、十分なバッテリー動作時間を備え、HDD+SSDのハイブリッドストレージでレスポンスにも不満はない。作業しやすい広めの14型ワイド液晶ディスプレイ、入力しやすいバックライト付きキーボードに、タッチパッドとスティックのデュアルポインティングデバイスを採用するなど、実用重視で手堅い作りといえる。
もちろん、魅力的な個人向けUltrabookは多数あるが、ビジネス作業用PCとして使うならば、ビジネス向け製品に目を向けるのもいい。堅牢性や価格、作業に特化した仕様など個人向け製品よりもビジネス向け製品が有利な点は多い。そういった点で、HPやデルといったメーカーの直販サイトは、個人でも気軽にビジネス向けモデルを購入できるので便利だ。
エンターテインメント要素をあまり必要とせず、仕事に使う作業用のPCを探しているならば、HP Elitebook Folio 9470mは魅力的な1台となるだろう。
関連キーワード
日本HP Ultrabook「HP ENVY14 SPECTRE/HP Folio 13」など | HP | ビジネス | PC | Ultrabook | HP EliteBook | 指紋認証 | BYOD(Bring Your Own Device) | vPro
関連記事
- Ultrabook特集
Ultrabookってそもそも何? どんなモデルがある? 何ができる? 話題の新PCカテゴリ「Ultrabook」の最新ニュース/人気モデルレビューを随時更新! 日本HP、ビジネス向けのWindows 8タブレット「HP ElitePad 900」
日本HPがビジネス向けのWindows 8タブレットやUltrabookを発表。豊富なセキュリティ機能や、米軍調達基準をクリアする堅牢性を特徴とする。タッチ対応で、Windows 8時代のスタンダードマシンに進化――「HP ENVY TouchSmart Ultrabook 4」を試す
Windows 8が出た今、これからノートPCを買うなら、家用のマシンもタッチ操作ができると快適だ。HPのタッチ対応Ultrabookは、使いやすさとコストパフォーマンスを高いレベルで両立しており、“初めてのPC”として勧められるマシンに仕上がっている。スペック、デザイン、価格――3拍子そろったUltrabook「HP ENVY SPECTRE XT 13-2000」を検証する
HPの13.3型Ultrabook「HP ENVY SPECTRE XT 13-2000」が日本に上陸した。HPらしい手堅い作りの中に、音質やデザイン、質感へのこだわりが感じられるマシンだ。これぞ新世代のスタンダードノートか?――「HP ENVY6-1000」にUltrabook普及のカギを見た
日本HPが発表した15.6型Ultrabook「HP ENVY6-1000」は、今後メインストリーム向けPCのスタンダードになると同社はアピールする。その理由は何か? 実際に使って確かめてみた。「PC+プリンタの出荷台数、1秒あたり4台のペースに」――中国市場、Ultrabookに注力するHP
米Hewlett-Packardが5月9日から5月10日の2日間にわたり、中国上海で開催したイベント「Global Influencer Summit 2012」では中国市場、そしてUltrabookへの注力が繰り返し語られた。日本市場向け製品の投入はあるのだろうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.