それは調和による進化――iOS7の魅力を引き出す“2つのiPhone”(2/3 ページ)
2013年はiOSとiPhoneのどちらもより洗練され、大きく進化した年だ。新しいiOSと新しいiPhoneから、どのような未来が見えてくるのか。「iPhone 5s」と「iPhone 5c」の発売に先立ち、じっくりと試す機会を得たので、両機種の魅力をリポートしたい。
iPhone 5cとiPhone 5s、実用性の差は?
今回のiPhone 5sとiPhone 5cは、4インチ RetinaディスプレイやLTEおよびWi-Fiの無線周りなど基本部分の性能は同じだ。違いが出るのは、CPUやグラフィックス周りの処理能力と、カメラ、そして「Touch ID」をはじめとするいくつかの新機能の部分になる。この違いは、どの程度あるのだろうか。
結論から言えば、メールやWebブラウザの利用、一般的なアプリ利用において、iPhone 5sとiPhone 5cで決定的な性能差を感じるシーンはなかった。
iPhone 5cが搭載するApple製「A6」チップはiPhone 5からのキャリーオーバーであり、基本部分で先代からスペックダウンしたところはひとつもない。あえて言えば、容量グレードが32Gバイトまでしかないくらいだ。そこでiOS7を日常的に使ってみて、不満を感じることはなかった。さまざまな操作、基本アプリの利用、タスク切り替えなどどれもスムーズだ。iOS7のポテンシャルは、きちんと引き出している。iPhone 5cは、ネット利用が主な一般的なユーザーが2年間、さほど不満なく使えるだけの性能は十分に備えている。
iPhone 5sとの性能差が明確に分かるのは、後述するカメラ撮影まわりと、「写真」機能で大量のカメラロールを処理する場合などだ。あと今回のテスト時には間に合わなかったが、iPhone 5sのA7チップの64bit処理に対応したゲームやフォトレタッチ、映像編集アプリなどが登場してくれば、iPhone 5sの処理能力の高さを実感することになるだろう。iOS7自体はA7チップにあわせて64bit動作になっており、今後はアプリ側の対応も進む。メールやブラウザ、LINE程度の利用であればiPhone 5cとの体感差はあまりないが、アプリ側ではA7チップの恩恵を感じることは増えてくるだろう。そのためアプリ利用の多いユーザーであれば、先を見越してiPhone 5sを選ぶのが得策と言えそうだ。
iPhone 5sはカメラが楽しい&便利
他方で、iPhone 5cとiPhone 5sで明確な差を感じるのがカメラだ。iPhone 5cのそれはiPhone 5と同等なので不満が出るわけではないが、iPhone 5sのカメラが凄すぎて、どうしても見劣りしてしまうのである。
iPhone 5sのiSightカメラは、8メガピクセルの画素数はiPhone 5と同じだが、1画素あたりのサイズが15%大きい1.5ミクロンとなったことで、集光面積がアップ。CMOSセンサーのサイズはiPhone 5から15%大きくなり、F値も2.4から2.2に。システム全体では感度が最大33%向上したという。
この効果は絶大で、日中屋外での撮影がきれいなのはもちろんだが、屋内や夜で撮れる写真がこれまでと別物のようにきれいになっている。今回はあえて薄暗い水族館でテストしたが、水槽の写真などを見れば、iPhone 5sの方が明るくくっきりした写真が撮れていることが分かるだろう。また日本のユーザーが得意(?)とするレストランでの料理写真も、iPhone 5sだと明るくきれいに撮れる。iPhone 5sではLEDを2基積んだ「True Toneフラッシュ」という新型フォトライトも用意されたが、あまりにレンズとイメージセンサーの感度がよくなったため、やや暗いレストランで料理撮影をしても“フラッシュいらず”だったくらいだ。
さらにiPhone 5s専用の機能となる「バースト撮影」や「スローモーション」ビデオ撮影も楽しい。
バースト撮影ではシャッターボタンを長押しすることで最大999枚の写真を高速撮影し、撮影後には自動画像解析により、手ブレが少なく、瞬きをしていない/笑顔の写真を優先的に選んでくれる。これは小さな子どものベストショットを撮るには最適な機能なので、子持ちの方にはぜひともチェックしてもらいたいものだ。
一方、スローモーションは720pのサイズで120fpsの映像が撮影できるというもの。今回は水族館イルカショーの撮影で使ってみたが、ダイナミックなイルカのジャンプをスローモーションで見たときの迫力はかなりのものだ。スローモーションの設定もiPhone 5s上で簡単に行えるので、旅行やイベント時などに活用すると楽しいだろう。
自宅にApple TVがあれば、iPhone 5sで撮影した写真や動画をテレビに映して楽しめる。なお、試用時はiPhone 5s発売前のため、スローモーション撮影した動画のApple TVでの再生はできなかった。しかしAppleのことなので早期のファームウェアアップデートで対応するだろう
このようにiPhone 5sのカメラは高性能で豊富な機能が、従来通り簡単に使えるようになっている。「シャッターボタンを押すだけできれいな写真が撮れる」というコンセプトはそのままに、写真や映像がより便利で楽しめるものになっているのだ。カメラ機能を特に重視するユーザーなら、iPhone 5sを選んでおいて損はないだろう。
関連記事
神尾寿のMobile+Views:ドコモ、iPhone参入のインパクト
iPhone 5s/5cが発表されてから、特に大きな話題を集めているのがドコモの参入だ。同社が発表する端末価格や料金体系、各種サービスの対応状況に人々の関心が集まっている。ドコモのiPhone参入はどのような意味を持つのか? あらためて考えてみたい。それは刷新という名の飛躍――iPhone 5が、“iPhoneの創りだした世界”を塗り替える
2年ぶりの前面刷新となった「iPhone 5」は、iPhone 4からデザインが大きく変わっただけでなく、機能面でも飛躍的な進化を遂げている。iPhone 5がどれだけ新たな価値を作りだしたのか、じっくりと紹介しよう。ドコモも販売:Apple、64bitプロセッサーと指紋センサー搭載の「iPhone 5s」を発表 9月20日発売
米Appleは9月10日(現地時間)、64bitプロセッサーと指紋センサーを搭載したiPhoneの新モデル「iPhone 5s」を発表した。国内ではドコモから発売されることも明らかになった。写真で解説する「iPhone 5s」の外観と新機能
Appleが9月11日、日本のメディア向けに新型iPhoneを紹介するプレスイベントを開催。短時間ながらiPhone 5sの実機に触れてきたので、見どころをお伝えしよう。カラフルのCか、チープのCか:アップル、価格を抑えた新デザイン「iPhone 5c」発表
Appleが発表したiPhone 5cは、199ドルからという低価格とともに、多彩なカラーバリエーションとポリカーボネートパネルによる新しいデザインテイストが特徴だ。写真で見る「iPhone 5c」
「廉価版なんて、誰が言ったんですか?」――。9月11日のプレスイベントで、Apple関係者から聞こえてきた言葉だ。iPhone 5sとの比較でiPhone 5cを廉価版とみる向きもあるが、実際に触ってみると、安っぽさは感じられない。ドコモ、iPhone 5s/5cの端末価格と料金プランを発表
ドコモがiPhone 5s/5cの端末価格と料金プラン、パケット定額サービスを発表。iPhone 5sの16GバイトモデルとiPhone 5cの16/32Gバイトモデルは実質0円となる。au/ソフトバンク版iPhoneの下取りプログラムも:ドコモ、iPhone 5s/5c購入者向けのキャンペーンを発表
NTTドコモが、iPhone 5s/5cやXiスマートフォン向けのキャンペーンを発表。他社のiPhoneから乗り替えた人向けに、最大2万ポイントを付与する「iPhoneを下取りプログラム」も実施する。spモードメールは10月1日から――iPhone 5s/5cで利用できるドコモサービス
ドコモが、iPhone 5s/5cで利用できる同社のサービスを案内。spモードメールは10月1日から提供するが、それまでに受信したメールは50Mバイトまでドコモのメールサーバに保存される。MMSには対応しない。重要なのは「料金プラン」じゃない:ダントツのLTEが頼り──KDDIのiPhone 5sとiPhone 5c
KDDIは、9月13日に説明会を行い、同じ「iPhone 5s」「iPhone 5c」でも、同社が整備する2.1GHz帯と800MHz帯のLTEとの組み合わせによる優位性を訴求した。一括5万2920円から:ソフトバンクモバイル、iPhone 5c/5sの販売価格を発表
ソフトバンクは、9月20日に発売する「iPhone 5c」「iPhone 5s」の端末価格を発表した。iPhone 5cとiPhone 5sの16Gバイトモデルはどちらも2年間の実質負担額が0円からで、5cには1万円の購入サポートが付く。新規またはMNP:KDDI、「iPhone 5c」購入で1万円をキャッシュバック
KDDIは、「iPhone 5c」購入者に最大1万円のキャッシュバックを行なうと発表した。一括5万2920円から:ソフトバンクモバイル、iPhone 5c/5sの販売価格を発表
ソフトバンクは、9月20日に発売する「iPhone 5c」「iPhone 5s」の端末価格を発表した。iPhone 5cとiPhone 5sの16Gバイトモデルはどちらも2年間の実質負担額が0円からで、5cには1万円の購入サポートが付く。残債無料や家族割など:ソフトバンク、iPhone 5s/5c購入者向けキャンペーンを9月20日スタート
ソフトバンクは、iPhone 5s/5cの購入者向けキャンペーンを発表した。iPhone 4/4Sの残った機種代金を実質無料にする特典や、スマホを家族へ譲渡した場合の割引対象にiPhone 5s/5cを追加する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.