2013年のタブレットを冷静に振り返る:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)
昨年はタブレットのサイズバリエーションが広がった1年だったが、今年はWindows PCがタブレットにより近づく動きが目立った。タブレット市場のトレントを振り返りつつ、個人的に印象深い製品を挙げていこう。
個人的なチョイスをいくつか
さて、今回のテーマは「今年の振り返り」ということなので、筆者の個人的な視点でいくつか印象深い製品を挙げておきたい。「タブレット・オブ・ザ・イヤー2013」の投票もあったが、ノミネート製品や投票点数の振り分けなどもあって、なかなか正確な意図を反映できなかった面もある。
まず言うまでもなくiPad Air。10型クラスのタブレットが、機能・性能を落とさずに薄く軽くなることで、どこまで適応範囲が広がるかを体現している製品だ。あとほんの少し軽くなれば、また世界観が変化してくると思う。ただし個人的な用途を考えると、iPad AirよりもiPad mini Retinaディスプレイモデルのほうがフィットするため、自分自身ではminiを選択している。
もう1つは「VAIO Tap 11」だ。タブレット・オブ・ザ・イヤー2013のノミネート作品を決める審査会でこの製品について言及したところ「これはPCじゃないか。キーボードもある」という意見があった。確かにワイヤレスキーボードが標準で添付されており、内蔵プロセッサもIntel Coreアーキテクチャの第4世代Core Yシリーズ(開発コード名:Haswell)である。しかし、タブレット的な使い方に加え、Windows PCとして何も諦めずに済むだけの十分に高い性能を備えていることに注目した。
Bay Trail-T搭載の8型Windowsタブレットも今年の話題だったが、現時点のWindows 8.1(と対応アプリの状況)ではデスクトップでの操作が必須で、8型では使いにくい面もある。レノボ・ジャパンの超軽量モデル「Miix 2 8」などはコストパフォーマンスが高いが、現実には10~11型クラスのほうがWindows 8.1を使いやすい。こうした視点では、前述した富士通のARROWS Tab QH55/Mがなかなかの仕上がりだ。
一般的な概念におけるタブレットを求めているならば、iPadの優位性はまだ崩れそうにないと感じている。しかしPC的な生産性を求めるならば話は別で、そこにWindowsタブレットが入り込む余地がある。企業で利用する場合、デスクトップ管理ツールによる制御などが行いやすい点も評価できるだろう。
一方、Kindle Fireの進化にも注目している。コンテンツプレーヤーとしての性格が強いことを考えると、7型より8.9型の「Kindle Fire HDX 8.9」(Amazon)を個人的には推したい。
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