大解説! 次期CPUに対応する新世代“冷却”事情:巨大PCケースの時代が再来するのか?(3/3 ページ)
“Devil's Canyon”“Broadwell”では、従来の冷却機構が対応できないという。次期CPUに向けたクーラーユニット、PCケース、電源ユニットの動きを解説する。
電源ユニットはデジタルでないと
電源ユニットでは、CorsairとThermaltakeが、電力効率90%以上を実現した「80 Plus Titanium」認証取得モデルの市場投入が話題となっている。その一方で、主要電源ユニットベンダーは、より低価格な80 Plus Platinum/Gold電源や、第2世代のデジタル電源ユニットの開発にシフトしている。
老舗の電源ユニットベンダーFSPは、デジタル電源ユニットの「DYNA」を開発した。80 Plus Platinumに対応するとともに、電圧などの監視やファンコントロールに加え、デジタルコントローラを搭載して、リップルノイズの低減なども重視している。その最初のモデルとなるのは最大出力600ワットのシングル12ボルトレール版となるが、より高出力のモデルも計画中だ。
High-Powerも、新世代のデジタル電源ユニット「Astro PT」を開発した。同製品も、デジタルコントローラの搭載で、より高精度な電圧制御を実現するとともに、低負荷時にはファンの動作を停止するなどのファンコントロールも可能だ。Astro PTは、80 Plus Platinum認証を取得し、シングル12Vレール構成で最大700ワットを出力する。
デジタル電源ユニットが登場した当初は、ユーザーが電圧を変更できることなど機能的な面をアピールしていたが、電源ユニットメーカーとしては「80 Plus Platinumや80 Plus Gold電源ユニットでは、内部の12ボルト出力からDC-DCコンバータで3.3ボルトや5ボルトを生成するデザインが主流で、大元となる12ボルトをユーザーが変更すると、その先につながる3.3ボルト系統や5ボルト系統の供給電圧にも影響が生じ、これがシステムが不安定になる要因にもなった」と指摘している。
このため、新世代のデジタル電源ユニットでは、デジタル制御のメリットを電圧の安定性として、ユーザーによる電圧調整は行なわせないというスタンスを採るところが多い。しかし、電源ユニットの関係者は「ただし、これはあくまでも、われわれ電源ユニットベンダーとしてのスタンスであり、OEM先が電圧変更機能を望むのであれば、提供せざるをえないのも事実だ」と、複雑な事情を明かしている。
こうしたなか、老舗の独電源ユニットメーカーBeQuiet!が日本市場に再参入することになった。BeQuiet!は、独ハンブルグに本社を置くListanのPCパーツブランドで、独国内では、ブランド、マーケットシェア(コンシューマ市場製品)の両面でトップを維持している。電源効率の追究よりも安定性や静音性を重視し、独自設計のファン「SilentWingsシリーズ」まで設計するほどだ。このオリジナル開発のファンは、ファンブレードに空気の流れを最適化する溝を加えるとともに、ファンノイズの原因となるマウント部にシリコン素材の防振加工を施すことで、静音化を図っている。
その技術を生かした最新モデル「Straight Power 10」では、最新の静音ファン「SilentWings 3」を採用するとともに、ファンの取り付け部分を8角形のダクト形状にすることで、低速回転でもエアプレッシャーを高める工夫を施している。また、5ボルトや3.3ボルトを生成するDC-DC回路や電圧制御フィルタの改良で、より安定した電圧供給を実現したと説明する。StraightPower 10は、400~700ワットのケーブル直付けタイプと、ケーブルマネジメントに対応した500~800ワットでラインアップを構成する予定で、9月には欧米の市場に投入する。
BeQuiet!は、「Silent Wings 2」を採用したCPUクーラーユニットも展開するとともに、9月には同社で初となるPCケースの販売も計画中だ。いずれの製品も、静音性能を重視した設計となっている。
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