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Windows 10Xと「Surface Neo」「Suface Duo」の疑問を整理するWindowsフロントライン(1/3 ページ)

Microsoftがニューヨークで発表会を開催し、Surfaceシリーズのラインアップを一新。新たなモデルも投入するなど、アグレッシブな姿勢を示した。そこに浮かび上がる疑問を整理してみた。

 Microsoftは10月2日(米国時間)、ニューヨーク市内で開催された発表イベントにてSurface新製品群を発表した。Surface Laptop 3やSurface Pro 7といったPC製品のに加え、新顔となるSurface Pro X、Surface Earbudsといったラインアップが新たに追加されている。Surface Pro Xと、そこに内蔵されたQualcommと共同開発のSoC「SQ1」の解説は後ほどフォローするとして、今回は本連載中でも何度も取り上げてきた「2画面Surface」と、それを実現する新OS「Windows 10X」に注目し、ここで感じる素朴な3つの疑問を読み解きたい。


Microsoftが新たに発表したSurfaceファミリー

Windows 10Xが登場した背景

 疑問の1つ目は、「なぜWindows 10ではないOSが必要なのか」という点だ。この疑問に対する回答はシンプルで、「ハードウェアのフォームファクターに適したOSが必要」という理由による。

 現在、Microsoftのエンドユーザー向けデバイスのOSとしては、PC向けの「Windows 10」とXbox One向けの「Xbox One OS」の2種類がある。「Windows 10 Mobile」なき今、基本的にはPC向けのWindowsを全ての製品フォームファクター(ゲーム機を除く)に適用している状態だ。ただ、どんなにOS本体をスリム化して高速化しても、「Windowsは(ファットな)リッチOS」であるという事実は覆しがたく、「One size fits all」のようなことにはならない。

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 これは本体リソースの限られた小型デバイスや薄型デバイス、あるいは“従来なかったような”デザインのデバイスを開発するにあたっては特に不利に働くため、「フォームファクターに適したOS」の存在が重要になる。用途に応じて構成を変更できる産業向けの「Windows 10 IoT」という特殊なOSも存在するが、「Windows 10X」というOSはどちらかといえばそのポジションに近い。


Windows 10Xのイメージ画像

 Windows 10Xを読み解くキーワードは、以前のレポートにもあった「Windows Lite」「Centaurus」「Santorini」といった開発コード群だ。

 かつては「Andromeda」というキーワードもあったが、基本的には「Windows Core OS(WCOS)」と呼ばれる軽量高速なWindowsの“コア”となるエンジン部分に、「Composable Shell(CShell)」と呼ばれるインタフェースやプレゼンテーションにあたる層が付与される形で1つのWindowsとして機能する。

 つまり、WCOSは全てのフォームファクターに共通で、“上もの”を入れ替えることによってファームファクターに適した形で動作させようというのがそのアイデアだ。Windows Liteについては「Chrome OS対抗」という話もあったが、機能を絞って最小限のハードウェアで動作するようにカスタマイズすればそのように機能するし、あるいは今回の2画面デバイスに適した仕組みを付与すれば、そのように動作する。Windows 10 Mobileがあくまで“携帯電話”としての機能を主眼にソフトウェアが構成されているのに対し、Windows 10Xは「それ以外のすべて」をカバーするような仕組みになっているのだと考える。

 もっとも、現段階でWindows 10Xに関して公開されている文章はこれだけで、WCOSを含む関連情報はリーク情報や推測による部分が多く、今後の追加情報が必要となる。

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