大型連休はミニノートPCで中国人と親密になる:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)
デジカメで撮影した画像を現地の人に見せて感激、なんて「ば、ばかにするなぁー」と一喝される時代錯誤。イマドキの中国旅行はミニノートPCで盛り上がるのだ。
日本の“流行”情報で友好を深める
自分が声をかけた日本人がPCに詳しいと分かれば、ほとんどの中国人は次に「日本でいま人気の製品は?」と聞いてくる。中国では「日本で一流の製品が売られ、欧米で二流の製品が売られ、中国で三流の製品が売られる」と考えている人が多く、そんな一流の製品ばかりが流通している日本で最も人気のある製品なら、世界で一番人気のある製品のはず、と考えるらしい。
筆者も同じ質問を何度となく中国人から聞かれ、そのたびに日本の大手メーカーを教えてあげているが、そのたびに、聞いてきた中国人は、とても役に立つ情報を入手できたためか、教えたこちらもうれしくなるような満足な表情をしてくれる。
日本の大手PCメーカーのいくつかは、中国でまだまだ知られていない。そういうメーカーのミニノートPCを使っていると、中国人はソニーやHP、デルの製品より明らかに反応が熱くなる。そういうわけで、例えば富士通のモバイルノートPCを中国に持っていけば、現地でのPC談義がいっそう盛り上がるだろう。分かりやすいところでは、富士通のFMV-BIBLOシリーズ、それも最新のNetbook「FMV-BIBLO LOOX M」よりは、従来シリーズながらサイズは一番小さい「FMV-BIBLO LOOX U」が中国では圧倒的に受けるはずだ。
中国のIT系メディア(このあたりの事情については、こちらの「中国IT系ニュースWebサイト事情」を参考にしていただきたい)では、中国で発売するしないにかかわらず、日本で発表された新製品をすぐに紹介する。日本で注目されている新製品の情報は中国人もリアルタイムで知っているわけで、カネにモノを言わせることができる中国人は、淘宝網(この中国最大のオンラインショッピングサイトについては、こちらの「値切り」ができちゃう中華オンラインショッピング事情を参照のこと)などを利用して、個人輸入で日本から取り寄せる。
しかし、モノを言わす金がない大多数の中国人は「新製品が登場したは知っているけれど実物を見ることはできないんだよなー」ということになる。先日、発表会が行われた光センサー液晶を搭載したMebiusが日本で報じられると、まだ発売するか決まっていない中国でも多くのメディアが一斉に速報を掲載している。もし、このMebiusを中国で使っていることが中国人の目に止まったら、人気俳優並みの注目を集めることもできるだろう……、って、これは5月下旬から出荷開始なのね。
そんなこんなで、ミニノートPCを持ち歩く日本人旅行者がPC好きな中国人と話す機会に恵まれて、ともに日本と中国におけるPCの将来を熱く語り合ってもらえることを願っている。
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