Netbookを完全に超えた? 「Aspire Timeline」を徹底チェック:ついに発売!(2/2 ページ)
前回に続き、Core 2 Duo+8時間駆動で実売8万円台を実現したモバイルノートPC「Aspire Timeline」をさまざまな角度から検証する。これはいいものだ……。
ベンチマークテストで性能を検証
Aspire Timelineの最大の特徴は圧倒的な価格対性能比だ。超低電圧版のCore 2 Duoを搭載し、薄型軽量のボディと標準約8時間のバッテリー駆動を実現しつつ、実売8万9800円という価格は、かつての高性能モバイルノートPCの基準を大きく塗り替える可能性を秘めている。ここでは前回と同じように、「Adamo(DESIRE)」と「MacBook Air(MB940J/A)」、「VAIO type P(VGN-P70H)」、「HP Pavilion Notebook PC dv2」を比較対象として取り上げ、定番のベンチマークテストを実施した。なお、Windows エクスペリエンス インデックスとPCMark05の結果、およびスペック比較表も再掲しておく。
今回比較したノートPCの主要スペック | |||||
---|---|---|---|---|---|
モデル名 | Aspire Timeline(AS3810T) | Adamo(DESIRE) | MacBook Air(MB940J/A) | VAIO type P(VGN-P70H/R) | HP Pavilion Notebook PC dv2 |
CPU | Core 2 Duo SU9400(1.4GHz) | Core 2 Duo SU9400(1.4GHz) | Core 2 Duo SL9400(1.86GHz) | Atom Z520(1.33GHz) | Athlon Neo MV-40(1.6GHz) |
メモリ | 2Gバイト(DDR3) | 4Gバイト(DDR3) | 2Gバイト(DDR3) | 2Gバイト(DDR2) | 2Gバイト(DDR2) |
チップセット | Intel GS45 Express | Intel GS45 Express | GeForce 9400M | Intel SCH US15W | ATI Radeon Xpress 1250 |
液晶ディスプレイ | 13.3型ワイド光沢 | 13.4型ワイド光沢 | 13.3型ワイド光沢 | 8型ワイド光沢 | 12.1型ワイド光沢 |
画面解像度 | 1366×768ドット | 1366×768ドット | 1280×800ドット | 1600×768ドット | 1280×800 |
ストレージ | 250GバイトHDD | 128GバイトSSD | 128GバイトSSD | 60GバイトHDD | 120GバイトHDD |
有線LAN | ギガビット対応 | ギガビット対応 | − | −(専用アダプタ経由) | 100BASE-TX/10BASE-T |
無線LAN | IEEE802.11b/g/n(nはドラフト準拠) | IEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト準拠) | IEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト準拠) | IEEE802.11b/g/n(nはドラフト準拠) | IEEE802.11b/g |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR | Bluetooth 2.1+EDR | Bluetooth 2.1+EDR | Bluetooth 2.1+EDR | − |
USB | USB 2.0×3 | USB 2.0×3(うち1基はeSATA兼用) | USB 2.0×1 | USB 2.0×2 | USB 2.0×3 |
外部出力 | HDMI、アナログRGB | DisplayPort×1(DVI変換アダプタ付き) | Mini DisplayPort×1 | −(専用アダプタ経由) | − |
Webカメラ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
バッテリー駆動時間 | 約8時間 | 約5時間 | 約4.5時間 | 約4.5時間 | 約3時間 |
ボディサイズ | 322(幅)×228(奥行き)×23.4〜28.9(高さ)ミリ | 331(幅)×242(奥行き)×16.4(厚さ)ミリ | 325(幅)×227(奥行き)×4〜19.4(厚さ)ミリ | 245(幅)×120(奥行き)×19.8(高さ)ミリ | 293(幅)×240(奥行き)×9〜30(厚さ)ミリ |
重量 | 約1.6キロ | 約1.81キロ | 約1.36キロ | 約0.634キロ | 約1.79キロ |
OS | Windows Vista Home Premium(SP1) | 64ビット版Windows Vista Home Premium(SP1) | Mac OS X 10.5 | Windows Vista Home Basic(SP1) | Windows Vista Home Basic(SP1) |
価格 | 8万9800円前後 | 27万6000円 | 29万8800円 | 10万円前後 | 6万円前後 |
ベンチマークテストの結果を見ると、ストレージの部分でSSDを採用するAdamoやMacBook Airに差をつけられているものの、それ以外の部分ではほぼ同等の性能を発揮しているのが分かる。実売8万9800円前後のモバイルノートPCとして考えると非常に満足できる結果だ。一方、グラフィックス性能はチップセット内蔵コア(GMA 4500MHD)に頼るため、負荷の高い3Dゲームなどを楽しむのはさすがに難しいだろう。ちなみに、今後オプションとして提供される予定のATI Mobility Radeon HD 4330は、同社によると「3倍以上の性能」を持つということだが、ちょうどMacBook Airがほぼ3倍のスコアをマークしており、同じくグラフィックス統合型チップセットながらGeForce 9400Mの性能の高さがうかがえる。
熱や騒音、バッテリー駆動時間をチェック
Aspire Timelineの特徴として、「Laminar Wall Jets Technology」と呼ばれる冷却技術(システムの熱源と底面の間に設けた空洞にエアフローを発生させて冷却を行う)を採用している点も挙げられる。ノートPCをひざに載せて利用しても不快な熱がないのは、モバイルノートPCとしては魅力的だ。そこで実際に複数のベンチマークプログラムを走らせ、システムに高い負荷をかけた状態で騒音やボディの発熱もチェックしてみた。
まず、アイドル状態では冷却ファンが低速で回転し、非常に静かで底面の熱も感じない。一方、システムに負荷をかけると徐々にファンの回転数が上がり、左側面の排気口から熱風がはき出され、深夜の静かな部屋ではファンノイズがはっきりと聞こえた。もっとも、オフィスや屋外などの騒々しい場所ではほとんど気にならないレベルだ。熱は、CPUとチップセットから排気口へつながるボディの左側全体が熱を持つ傾向で、ヒザの上に載せるとやはり暖かさを感じた(我慢できないほど熱くはないが)。ただし、キートップやパームレストなどの手が触れる部分はわずかに熱を持つ程度で、排熱設計は非常に優秀と言える。実際に非接触型温度計で熱を計測したところ、キーボードが左36度/右33度、パームレストが左32度/右30度、タッチパッドが36度、底面の最も熱い部分(ボディ中央からやや左寄り)が42度という結果になった。
最後にバッテリー駆動時間を計測する。AS3810Tは、インテルのDPST(Display Power Saving Technology)や、独自の省電力化機能によって、標準の6セルバッテリーで約8時間の長時間駆動をうたっている。ここでは「BBench 1.01」(海人氏作)を用いて、実際にバッテリー駆動時間をテストした。BBenchは、10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるWebサイト巡回(10サイト)を行う条件で、電源オプションは「バランス」、輝度は最高に設定した。
結果は6時間21分と公称値には届かなかったものの、標準バッテリーの駆動時間としては頭一つ抜け出ているのが分かる。また、今回は比較機種にあわせて電源オプションを「バランス」に変更し、画面の輝度を最大にしてテストしたが、通常はバッテリー駆動に移行すると「Acer PowerSmart Manager」が自動的に省電力設定に変更し、画面の輝度を調節するので、バッテリー駆動時間はさらに延びると思われる。これだけ持てば外出先でバッテリー残量を心配する必要はまずないだろう。
以上、Aspire Timeline AS3810Tを見てきたが、実売8万9800円という価格ながら、性能だけでなく、デザインや使い勝手の面でも、非常に満足できる1台だと感じた。難点を挙げるとすれば、約1.6キロの重量くらいだ(ACアダプタと一緒に常時携帯するのはやや重い)。このクラスの製品では、MSIの「X-Slim Series X340」やASUSの「U Seires/UX Series」など、Netbook市場を掘り起こしてきた台湾ベンダーが相次いで参入しており、CULV版CPU以外でもHPがYukonプラットフォームを採用した「HP Pavilion Notebook PC dv2」を投入している。“Netbookの次”を予感させるこの価格帯のスリムノートPCが2009年の主戦場になりそうだ。Aspire Timelineは本日(6月5日)から発売されているので、是非店頭でチェックしてみてほしい。
関連キーワード
Acer | Aspire Timeline | ノートPC | Windows 7 | Centrino 2 | ブランド戦略 | Core 2 Duo | Netbook | SSD | ワイヤレスWAN | Aspire one | モバイルWiMAX | eMachines | Packard Bell | LEDバックライト
関連記事
- 新モデルの情報を随時更新:ミニノート/Netbook/UMPCのすべて
新作が続々と登場するミニノートPC。人気のVAIO type Pはもちろん、東芝や富士通、シャープといった国内メーカー製の新型Netbookに注目だ!! - Netbookの次へ:価格破壊の第2波になる? 新世代モバイルPC「Timeline」を速攻で試す
日本エイサーが満を持して投入した「Aspire Timeline」は、Netbookに続きノートPC市場に低価格化の波を作り出すのか。さっそく13.3型ワイドの「AS3810T」をチェックした。 - Core 2 Duo+8時間+8万円台で「市場に革命を起こす」──エイサーの“本命”「Aspire Timeline」発表
日本エイサーは、Acerブランドの新シリーズ「Aspire Timeline」を発表。Core 2 Duoと8時間駆動、1キロ台、2Gバイトメモリ、1366×768ドットの13.3型ワイド液晶を搭載し、8万円台という低価格を実現した。6月5日に発売する。 - 「Aspire Timeline」はNetbookを超えるか
Acerが北京でプレスイベントを開催し、2009年に投入予定の新製品群を披露した。超低電圧版Core 2 Duoを搭載する8時間駆動の薄型2スピンドル機を“そんなに安く”売ってもいいのでしょうか。 - 第3世代「Aspire one」など新製品群を公開――日本エイサーの野望 in Tokyo
日本エイサーがこの夏に国内市場へ投入する新製品の発表会を実施した。まずは第3世代Aspire oneに位置付けられる「Aspire one D250」が登場する。 - エイサー、10.1型ワイド液晶装備の新「Aspire one」を発表
日本エイサーは、10.1型ワイド液晶を内蔵したミニノートPC「Aspire one」新モデル「D150」を発表した。 - 不況は“追い風”?――日本エイサーの野望2009
Aspire oneの成功によって日本市場での存在感を増すエイサーが2009年の事業戦略について説明した。2008年の本格参入から「5年以内に国内PC市場でトップ5へ」は実現するのか。 - エイサー、“eMachines”ブランドのAtom搭載スリムデスクトップPCなど計3モデル
日本エイサーは、“eMachines”ブランドモデルとなるスリムデスクトップPC「EL1600」「EL1300」「EL1800」を発表した。 - 2009年PC夏モデルが登場!!
夏モデルのキーワードは、フルHD対応とBlu-ray Discドライブの搭載、そして64ビット版Windows Vistaの採用だ。新モデルの情報がすべて分かる!!
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.