Windows 7世代の“欲張り”オールインワンノート――新生「VAIO C」に魅了される:デザインよし、性能よし、価格よし(3/3 ページ)
デザイン重視のノートPC「VAIO C」が、Windows 7発売とともにフルモデルチェンジ。性能もコストパフォーマンスも兼ね備え、見た目も中身も「実力派」に進化した。
無理がなく使いやすい入力環境
液晶ディスプレイは前述の通り、1366×768ドット表示の14型ワイド液晶パネルを採用する。ディスプレイのタイプはソニーが「VAIOディスプレイ」と呼称するスタンダードなもので、アスペクト比16:9の光沢パネル、高コントラスト、ハードコーティング処理が特徴だ。上位シリーズの液晶ディスプレイが備える広視野角、低反射、広色域、高輝度といった特性はない。
実際の見た目についてだが、画面サイズと解像度のバランスが保たれているため、デフォルトの状態でアイコンや文字の視認性は良好だ。1366×768ドットの解像度は10〜13型ワイド液晶を搭載したノートPCでもよく見られるが、こうした製品より画面の細かさが気にならず、かといって表示が粗すぎると感じることもなく、ちょうどいい。
画面への映り込みは多少気になるものの、輝度やコントラストは十分確保されており、映像コンテンツの視聴も特に不満は感じなかった。高画質をウリとするVAIOノートのラインアップでは下に位置するディスプレイ環境だが、この価格帯のノートPCとしては納得できるクオリティといえる。
キーボードはネイルが長い女性でもタイピングしやすい、「アイソレーションキーボード」が引き続き採用されている。キーピッチは約19ミリと広い一方、キーストロークは約2ミリとやや浅いが、押し心地は悪くない。プチプチとしたタッチのキーはぐらつきやたわみも少なく、さらにカーソルキーがほかのキーから一段下がった独立レイアウトになっていて、不自然に小さいキーがないなど、使い心地は良好だ。
キーボードの上部には電源ボタンのほか、「WEB」「DISPLAY OFF」「VAIO」の3つのワンタッチボタンを配置している。電源オフの状態で「WEB」ボタンを押すと、DeviceVMの組み込み向けOS「Splashtop」を利用した高速起動のWEBブラウズモード「Quick Web Access」が起動し、Windows 7を起動することなく、FirefoxによるWebブラウズが行える。VAIO Cはモバイルノートではないため、こうした高速起動モードの重要性はあまり高くないだろうが、急いでちょっとした調べ物をしたい場合などには役立つ。「DISPLAY OFF」ボタンは、音楽再生時などにディスプレイの電源をオフにして、省電力化を図る機能だ。「VAIO」ボタンを押すと、前述のMedia Galleryが起動する。
ポインティングデバイスは2ボタンタイプのタッチパッドで、しっかりとしたクリック感があるボタンとゆったりと大きいパッド面はとても使いやすい。また、シナプティクス製の多機能ドライバが導入されており、2本の指を使ったジェスチャー機能にも対応している。旧機種から実装済みのサークルスクロールのほか、指2本の開閉によるズーム動作と、指2本のスライドによる送り/戻り動作が利用できるようになった。
スタンダードノートPCとしては高性能な仕上がり
それでは、実際にVAIO Cのパフォーマンスを見てみよう。今回はVAIOオーナーメードモデル「VPCCW1AFJ」の試作機でベンチマークテストを実施した。Core 2 Duo T9600(2.8GHz)、4Gバイトメモリ、500GバイトHDD、DVDスーパーマルチドライブ、GeForce GT 230M、64ビット版Windows 7 Home Premium、オフィススイート非搭載、英字配列キーボードといったハイスペック寄りの構成だ。
結果はBTOオプションのCore 2 Duo T9600とVAIOオーナーメードモデル固定仕様のGeForce GT 230Mが抜群の効果を示し、すべてのテスト結果で旧VAIO type Cのみならず、チップセット内蔵グラフィックスを利用した標準的なノートPCと比較してもワンランク上のスコアが得られた。昨今は低価格でパフォーマンスもまずまずなCULVノートPCが注目されているが、VAIO Cの性能はこれらを大きく上回る。
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアも良好だ。基本スコアは「5.9」で、プライマリハードディスクが最も低いサブスコアを示した。そのほかのコンポーネントのサブスコアはすべて「6.3」から「6.4」で、一般的な用途ならばパフォーマンスに不満を感じることはまずない。64ビット版Windows 7の動作は軽快だ。
ちなみに、Windows 7ではWindowsエクスペリエンスインデックスの仕様が変更され、最高点がWindows Vistaの「5.9」から「7.9」へ引き上げられた。そのため、Windows Vista搭載PCとスコアを横並びで比較することはできないので、注意してほしい。
PCMark05、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でも標準的な家庭向けオールインワンノートの枠を越えたスコアをたたき出している。予想通り3Dグラフィックス性能はかなり高く、DirectX 9.0c世代の3D描画性能を測定する3DMark06のスコアは「5627」(1366×768ドット)となかなかの成績、DirectX 8.1世代のFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは高負荷なHigh設定でも「7162」と優秀だった。
さすがに高負荷の3Dゲームを快適にプレイするには荷が重く、OSが64ビット版Windows 7なのでゲームタイトルの対応状況にも現状では注意が必要だが、幅広いジャンルのゲームに対応できるだけの実力は秘めている。
フルモデルチェンジで完成度が高まった「VAIO C」
VAIOオーナーメードモデルの今回試用した構成での価格は13万9800円だ。2009年11月4日現在、大手量販店における標準仕様モデル(DVDスーパーマルチモデル)の実売価格は15万円前後、激安店では11万円台半ばで売られている。昨今はNetbookやCULVノートが台頭してきたことで、「PCは安くて当たり前」と思うようになった人も少なくないかもしれないが、この出来栄えでこの価格はコストパフォーマンスが十分に高いといえる。
従来からデザインには定評があったVAIO Cだが、より幅広いユーザー層に訴求できる外装の変更、外部GPUの全面採用をはじめとする基本スペックの底上げ、そして戦略的な価格設定により、その魅力は大きくアップした。
「この冬購入するならば、絶対にWindows 7搭載の最新ノートPC」と決めているが、デザイン、パフォーマンス、ユーザビリティ、プライスとすべての面で妥協は許せないというユーザーにとって、VAIO Cは「鉄板」の選択肢になりうる。VAIOの2009年秋冬モデルは薄型軽量モバイルノートPCの「VAIO X」ばかりが目立っている印象だが、このVAIO Cもソニーの本気度が見て取れる製品だ。
「VAIO C」をSonyStyleで購入する
ブルーとブラックはオーナーメードモデル。価格は9万9800円から。
「VAIO Cアクセサリ」をSonyStyleで購入する
ボディカラーにマッチしたキャリングケースやBluetoothレーザーマウスが揃う。
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