規模は縮小したけれどMacworld Expoは大盛況:Macworld Conference&Expo 2010(2/2 ページ)
“アップル不在”の心配をよそに、Macworld Expoの展示会場は今年も熱気であふれていた。まずは「BEST OF SHOW」で紹介された新製品と、会場の注目ブースを紹介していこう。
iPhone関連の展示が大盛況
Macworld Expoの展示会場は、ある程度テーマにあわせて展示の並び順が決まっているが、今回、圧倒的存在感を放っていたのが「Mobile Application Showcase」、要するにiPhone/iPod touch用アプリケーションの展示コーナーだ。コーナーいっぱいにカウンターテーブルが並べられており、1テーブル当たり4社の開発者が展示を行っていた。常に人だかりが絶えず、なかなか近寄って話を聞くこともできない展示も多い。
一方、奥にはメインステージが用意され、Eye-Fiなど注目のベンダーが話題の製品を紹介している。その近くにはMac用のアプリを開発する小規模開発者がブースを構えるインディー・デベロッパーパビリオンや、決済や会計などのB2B系アプリの開発者が軒を連ねるスペシャル・インタレスト・パビリオンが用意されていた。モバイルアプリケーションショーケースを中心とした展示の詳細リポートは追って行うが、ここでも気になった展示を4社だけ紹介しよう。
まず1社目はHyperMac社。Macworld Expoの入り口の目の前に大きなブースを構え、かなり目立っている。同社はMacBookシリーズの携帯型外部バッテリー「HyperMac」シリーズで有名な会社で、最大でMacBook Proの内蔵バッテリーの6倍の駆動時間を達成してくれる。容量にあわせて、60ワット時のMBP-060、100ワット時のMBP-100、150ワット時のMBP-150、222ワット時のMBP-222の4種類の製品がある。その中でも、重量730グラムでMacBookの2倍の駆動時間を実現し、iPhoneを23.5回充電できるMBP-100が一番人気だという。
HyperMacシリーズには、Macを充電するためのMagSafeケーブルが付属するほか、iPhone/iPod touch充電用のUSBポートも備えている。ちなみにMagSafeケーブルは、アップルからのライセンスを得られないため、アップルのACアダプタからコード部分だけを切り取る形で作られているようだ。なかなか、荒削りな商品の印象もある一方で、非常にきめ細かな心配りもある。アップルのACアダプタは、MacBook ProシリーズとMacBook Airシリーズでは実は微妙に電圧が異なっており、MacBook Pro用の電源アダプタをMacBook Airにつなぐとバッテリー故障の原因になることが分かってきた。これに対してHyperMacは、接続したMacがどのMacBookかを自動的に認識し、正しい電圧で給電してくれる。
そのHyperMac社が、今回のMacworld Expoにあわせて発表した新製品がiPod nanoとほぼ同サイズの「HyperMac nano」と「HyperMac Micro」、そして「HyperMac mini」だ。いずれもiPod nanoと同じ10色のカラーバリエーションを用意している。iPod nanoだけでなくiPhoneの充電にも対応し、1800mAhのnanoはiPhoneを1.5回充電、3600mAhのMicroは3回、7200mAhのMiniは6回充電できる。
続いて目を引いたのがXSKN社のiPhone用キーボードだ。といっても、ただApple Wireless Keyboardにアプリ起動用のシールを張っただけの製品。「すでに発売しているのか?」と聞いてみると「iPadでBluetoothのワイヤレスキーボードが利用可能になったので、それにあわせてiPhone OSでもBluetoothキーボードが使えるようになるはず。そうなったら発売をする」という回答だった。
3つ目はLiveScribe。昨年のMacworld Expoにも登場していたが、Canson社のPaper Showと同じBluetoothペン(Anote Pen)の技術に基づいた製品だ。会話を録音しながらメモを書き、後でメモをペンでタップすると、それを書いていた時間に録音していた内容を再生してくれる、といった自動頭出しICレコーダー機能のほか、紙にピアノの鍵盤の絵を描いて、ペンで鍵盤を叩いて演奏する、といった楽器機能など、多彩な機能を搭載している。
実は同社では、このペンの利用方法に関するAPIを公開しており、昨年から非常に多くのペン用アプリが開発されているのだと言う。その中には日本語レッスンや中国語レッスンも用意されており、ペンに内蔵されたLCDにアルファベッドだけでなく漢字も表示できることを紹介していた。今のところ英語に最適化された作りになっており、日本での発売予定はないというが、遠くない未来に日本語対応してくれるかもしれない。
4つ目は、毎年神戸からMacworld Expoに出展しているレコソフトウェア社だ。同社は長いあいだ「PDF2Office」というアプリケーションを発売してきた。PDF書類をドラッグ&ドロップすると、それをOfficeの書類に変換してくれるアプリケーションで、例えば表組の履歴書のPDFをドラッグ&ドロップしたところ、ちゃんと見た目そのままのExcelの表に変換してくれた。同様にWordやPowerPointの書類に変換することもできる。
同社は今回のExpoにあわせて、リクエストが多かったPDF2OfficeのiWork版「PDF2Office for iWork」を開発。iWorkユーザーにあわせて、従来の製品より操作を簡単にし、価格も下げる予定だ。なお、表計算ソフトのNumbersには対応せず、PagesとKeynoteのみに対応するという。レコソフトのポール・チャダさんは頭にターバンを巻いた生粋のインド人に見えるが、実は神戸育ちで神戸の学校に通った日本人。筆者にも日本語で日本向けの書類を使って製品をデモしてくれた。
続く会場リポートでは、iPhone用アプリが多数並ぶMobile Application Showcaseを紹介したい。今回のExpoは、実際にはこちらのコーナーや、そのほかのiPhoneアクセサリの展示が圧倒的に目立っており、Macworld ExpoというよりはiPhone World Expoの様相を呈していた(機材協力:Nikonnext.com)。
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