連載
「限りなく透明に近い日本」がITで貢献する:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)
この連載で4回にわたって「キルギス」と「ウズベキスタン」のIT事情を取り上げた。動乱に揺れる両国で実感じた“日本の存在感”とは。
日本の存在感を誇示する「National IT Center」
このように、日本に対する認識が甚だ低いキルギスとウズベキスタンだが、そういう国でがんばっている日本人も少なからずいる。そのなかで、最も大規模な組織が「JICA」の関連団体だ。例えば、タシケントとブハラで実施中のJICAプロジェクトである「ウズベキスタン・日本人材開発センター」(日本センター、略称UJC)では、日本語教育をはじめとする各種活動を行っている。
また、JICAの支援でキルギスの首都ビシュケクに設立されたNational IT Centerでは、それまでビシュケクでは不可能だった、CiscoやORACLEの資格が取得できるエンタープライズ分野スペシャリストの育成に取り組んでいる。ほかにも、障害者にPCを利用してもらい、社会参加や自立の可能性に気が付いてもらう施設「Resource Center of KG」もJICAの支援で運営されている。
ビシュケクのNational IT Centerではオラクルやシスコなどの技術者試験の受験会場としても利用されている。これが中央アジア唯一の試験会場となるらしく、近隣諸国からもIT技術者の将来を託して受験にくるという(写真=左)。JICAは、IT関連技術を利用して障害を持つ人たちの自立を援助する「Resource Center of KG」も支援している(写真=右)
一連の中央アジア関連記事において、ロシア語が話せない筆者がキルギスとウズベキスタンで多くの人々を取材できたのは、キルギスのJICA青年海外協力隊と、ウズベキスタンのJICA日本センターで募集した日本語が話せるボランティア有志の助力のおかげだ。この場を借りて彼らに感謝したい。ありがとう。
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