「VAIO Duo 11」徹底検証(後編)――変形ボディに秘められた真の実力とは?:いよいよエントリー販売開始(6/6 ページ)
直販モデルのエントリー販売が始まり、一般先行予約の販売開始を明日に控えた「VAIO Duo 11」。独特のスライド式ボディに注目が集まるが、やはりUltrabookとしての基礎体力も気になるところ。レビュー後編は各種テストでその実体に迫る。
Windows 8に最適化したボディ+αの魅力が光る新世代モバイルPC
以上、3回に渡りVAIO Duo 11をじっくりとレビューしてきた。VAIO Duo 11最大のウリは、何といってもタブレットモードとキーボードモードをワンアクションで手軽に切り替えられるSurf Sliderデザインだ。
Windows 8ではタッチ操作を重視した新スタイルのUIと既存のデスクトップUIが共存しており、両方を行き来しながら操作することになるが、VAIO Duo 11はこの2つのUIを素早くチェンジしながら利用するのに最適なデザインに違いない。
また、10点同時のマルチタッチに対応した静電容量式タッチパネルや、高精度なペン入力が可能な筆圧検知対応のデジタイザスタイラスを利用するうえで、キーボードと画面の距離が近く、ペンでの手書き入力がしやすい角度に画面が固定される設計は、理にかなっている。今回しばらく使ってみて、既存のクラムシェル型ノートPCにタッチパネルやデジタイザを載せた製品とは、明らかに違った快適さを実感できた。
これまで、タブレットスタイルとノートPCスタイルを切り替えて利用できるさまざまな形のコンバーチブル型PCが世に出てきたが、Windows 8の2つのUIとペン入力を効率よく扱うのに、VAIO Duo 11は非常に完成度の高いデザインを実現したといえる。最初は取っつきにくく感じるかもしれないが、使い込んでいくと、キーボード、タッチ、ペン入力の絶妙な融合にハマっていき、ほかのモバイルPCでは物足りなくなってくるほどだ。
もちろん、それ以外にも魅力は多い。ざっと挙げるだけでも、広視野角なIPS方式の11.6型フルHD液晶ディスプレイをはじめ、薄型ながら安定して入力できるキーボード、デジタルノイズキャンセリングヘッドフォンと高音質化技術であるS-Masterのサポート、タブレットモードでの利用に配慮した内蔵センサー類と2つのカメラ、そしてUltrabookとして高いパフォーマンスを提供する基本仕様と、薄型ボディに高性能と多機能が凝縮されているのだ。
これほどのスペックと秀逸なスライド式の変形機構を採用しながら、本体厚が17.85ミリとスリムに仕上がっている点にも、改めて注目したい。液晶ディスプレイにタッチパネルと特殊なヒンジ機構を装備すると、どうしても厚みが出てしまうため、インテルはタッチパネル搭載機において、厚さが2ミリ増えてもUltrabookの要件を満たすことにしているが、VAIO Duo 11はこの要件緩和に甘んじず、タッチパネルがないUltrabookの要件(14型未満は厚さ18ミリ以下)をしっかりクリアしているのは見事だ。
Windows 8がリリースされた後は、このような新スタイルのPCが増えていき、形も徐々に洗練されていくだろうが、Windows 8発売のタイミングでここまでハイレベルなハイブリッド型モバイルPCを仕上げてきたことは称賛に値する。
こうした先進的な形状のモバイルPCは、どちらかというと、ガジェット好きな一部のユーザー層向けと思われがちだが、Windows 8の世代ではこうした認識が古くなっていくかもしれない。Windows 8のフル機能を存分に活用するには、もはや既存のデスクトップPCやクラムシェル型ノートPCでは不十分になってしまったのだから。
やはりVAIO Duo 11は、Windows 8+αの魅力が備わったモバイルPCを検討しているならば、筆頭候補に挙げられる1台だ。店頭モデルで実売15万円前後、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルで9万9800円からという価格は、単にUltrabookとして見ると割高に思えるかもしれないが、VAIO Duo 11でしか味わえない体験を考慮すると、決して高くないと断言できる。
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