ソニーが挑んだ家庭用PCの再創造――「VAIO Tap 20」特大レビュー:いよいよ12月8日発売(2/7 ページ)
「VAIO Tap 20」は「テーブルトップPC」を名乗る新スタイルのPCだ。Windows 8の採用とともに、家庭向けPCで一体どのような新世界を見せてくれるのだろうか。
タブレットによる画面の共有と同じユーザー体験をPCへ
iPadやAndroidタブレットなどを人前で使ったことのある人なら、理解してもらえると思うが、向かい側の席に座っている人と同じ画面を共有するとき、従来型のノートPCには致命的ともいうべき弱点がある。操作者がPCに正対して使うと、起こした液晶ディスプレイが2人の間の“壁”となってしまうのだ。そのままでは相手に画面を見せられないだけでなく、仮にセカンドディスプレイの追加で相手と画面を共有できたとしても、壁の存在自体が2人の心理的な距離を大きくしてしまう。
一方、タブレットの画面を相手に見せるときは、デバイスをテーブルの上にぺたんと寝かせて置くことが大半だろう。これなら、画面を相手に簡単に見せられるだけでなく、2人の間に物理的な壁が存在しなくなるので、相手とよりコミュニケーションをとりやすいというメリットもある。もちろん、タッチ対応のUIによって、誰もが直観的に画面を触って操作できることも、円滑なコミュニケーションを図るうえで見逃せない要素だ。
こうした「タブレットによる画面の共有と同じユーザー体験を、PCの利用シーンでも実現できないか」というアイデアが、VAIO Tap 20では具現化されているのだ。コンセプトモデルとしては以前からありそうなアイデアだが、一足先にタブレットデバイスが実現してしまったこと、そして遅ればせながら、Windows 8でもタッチ操作による直観的な操作感を得たことが、一気に具現化までこぎつける大きな力になったのだろう。
Windows 8ではマウスやキーボードがなくても、マルチタッチの操作でWebブラウザやWindowsストアアプリを問題なく扱えるため、このデザインやスタンド機構が成立する。仮にWindows 7搭載のPCで同じデザインを採用しても、本体とともにマウスやキーボードも持ち運ばないと、まともに使えないため、タブレットとはほど遠い操作感になってしまい、画面を寝かせられても実用性は低かったに違いない。
つまり、VAIO Tap 20はタッチ操作に注力したWindows 8を快適に使えるようにするため、近年のタブレットやスマートフォンと共通のデザインイメージと使用感を積極的に採り入れているのだ。極めてシンプル、かつメカニカルな要素を感じさせない点では、ファミリー層向けのPCにふさわしく「人懐こいデザイン」ともいえる。
さらに2つの利用スタイルを提案
さらに、タブレットデバイスと同様の状態だけでなく、従来のデスクトップPCのようなスタイルで利用することもできる。画面を垂直近くまで立てた状態は「デスクトップスタイル」と呼ばれ、付属のキーボードとマウスを組み合わせることで、通常のデスクトップPCと同じ感覚で使うことが可能だ。Windows 8のデスクトップUIで既存のアプリを使うのに重宝するだろう。
この場合、本体サイズは504(幅)×187(奥行き)×304(高さ)ミリと、省スペースな液晶一体型PCと同じような専有面積になる。
また、このスタンドは、任意の角度で簡単にかつしっかりと保持できるため、デスクトップスタイルとテーブルトップスタイルの中間程度の角度で設置して使ってもいい。こちらは、肘をテーブルに置いたリラックスした姿勢でのタッチ操作に適していることから「タッチ快適スタイル」と名付けられている。
このように、ユーザーが家庭内の「どこで」「誰と」「どんなふうに」使うかという利用シーンの違いによって、形状自体が柔軟に変化するPC。これがVAIO Tap 20の持つ魅力であり、従来のPCとは一線を画するポイントだ。
関連キーワード
VAIO | PC | VAIO Tap | nasne | Windows 8 | デスクトップ | ソニー | 液晶一体型PC | ユーザーインタフェース | タブレットPC | NFC(Near Field Communication) | ソニーストア | タッチパネル | 直販限定モデル | モバイルBRAVIAエンジン
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.