ミドルレンジGPUシリーズ開幕! 「Radeon HD 7790」が走る!:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
AMDがRadeon HD 7790をリリースした。NVIDIAの“TITAN”に続く新GPUの登場だが、Radeon陣営は、7850と7770の間となるミドルレンジ層を拡充するモデルとなる。
低解像度であれば、高負荷なゲームもいけるでしょう
AMDとしては、Radeon HD 7790の仮想敵としてGeForce GTX 650 Tiを挙げているが、この評価報告では、速報としてGeForce GTX 650との比較を行う。一方で、GeForce GTX 650は、3DMark 11に関していえば、Radeon HD 7770と競うスコアを出す傾向にあるため、ここでは、従来モデルのRadeon HD 7770に相当するGPUとしてもみることができる。
3DMark 11で、Radeon HD 7790はP6037 3DMarksを記録した。6000ポイント台に乗せてきた点は評価できるだろう。ただ、今回用いたのがオーバークロックモデルであるため、定格モデルでは6000ポイントをわずかに下回るのではないかと思われる。Radeon HD 7770はローエンドに近い性能とラインアップポジションにあったが、Radeon HD 7790は、3Dゲームがある程度楽しめるGPUとなりそうだ。
3DMarkも、GeForce GTX 650を上回る。各テストで傾向が異なるが、Fire StrikeのExtremeでは、2倍以上の開きが生じている。より負荷の高い状況で高いスコアを記録できた点は評価できるだろう。この傾向は、Combined Testの結果でより明確となる。Unigine Heaven 4.0によるテッセレーション性能も、GeForce GTX 650と比べると大幅に高い。
PCゲームを用いたベンチマークテストでは、バトルフィールド3の最高画質で行ったテストで、1280×720ドット(720p)に関しては60fpsを超えている。Just Cause 2では、1920×1080ドットでも60fpsを超えた。このクラスのグラフィックスカードを購入するユーザーが主に動かすだろうと思われるDirectX 9系のPCゲームでは、バイオハザード6の1920×1080ドットでゲームが快適に動作するスコアが出ている。Skyrimに関しても1920×1080ドットで30fpsを超える。
ただし、ドライバの調整が間に合っていないのか、Skyrimの1680×1050ドット設定で極端にフレームレートが落ちる症状が出ていることに加え、1280×720ドットでも、表示する画質に難があった。1920×1080ドットに関しては検証中、問題は生じなかったが、実際のプレイでどうなるかは分からない。
また、テストを通じて、Catalyst Control Centerが頻繁に落ちる症状も出ている。評価用のグラフィックスカードと同時にAMDが配布したβ版ドライバに起因する問題と思われるが、製品発売前には改善を望みたい。
消費電力に関しては、アイドル時がシステム全体で57.1ワット、高負荷時が同じく139ワットとなった。140ワット程度であれば、十分にミドルレンジGPUの範囲ではないだろうか。なお、今回から、消費電力の高負荷時の計測を3DMarkのCloud GateにおけるGT1、GT2実行中の最大値としている。
ミドルレンジの空白地帯にスポっと収まる7790
Radeon HD 7790は、720pなど、比較的低解像度でゲームを楽しむには十分なパフォーマンスがある。現在、Radeon HD 7770の実売価格が1万円強、Radeon HD 7850が2万円弱ととなっているが、Radeon HD 7790の実売価格が1万5000円前後に収まれば、ちょうどよい選択肢となるだろう。ただ、Radeon HD 7770に関しては、ゲームのためのGPUとしてはやや力不足なので、Radeon HD 7790がRadeon HD 7770のシェアを食う、という状況も考えられそうだ。
なお、今回の評価で使ったSapphireのRadeon HD 7790搭載モデルのように、このクラスのGPUは、オリジナルクーラーユニットやオリジナル基板、オーバークロックモデルなどが、GPUの発表当初から登場してくるだろう。
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