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「Surface」はどうなる? バルマーCEO「One Microsoft」戦略の意図鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1」

2013年後半のリリースが予定されるWindows 8.1とともに、Microsoft謹製のモバイル機器「Surface」の次期モデルについての噂もちらほら聞こえてきた。まずはバルマーCEOが述べた「One Microsoft」戦略の意図を再確認する。

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新型SurfaceとWindows 8.1と「One Microsoft」戦略

photo 2013年6月、Surface RTは1万円値下げする期間限定のキャンペーンを、キャンペーンを終えた7月には正式に価格改定された

 2013年6月末に「BUILD 2013」カンファレンスで発表されたWindowsの次期バージョン「Windows 8.1」だが、あれから約1カ月を経て、新たな追加情報も出始めている。Microsoft自身もまた同バージョンの正式リリースに向けた体制を整えつつある。2013年秋のWindows 8.1リリースを見据えた同社の最新情報を改めて追っていこう。

 最近のMicrosoft関連ニュースで興味深いトピックとして「Surface RTの在庫調整のために9億ドル(約900億円)の損失計上」というものがあった。

 これは、同社が2013年7月18日(米国時間)に発表した同社2013年度第4四半期(2013年4〜6月期)の決算での特記事項によるもので、それだけSurface RTの在庫が積み上がっていることを示している。日本法人の日本マイクロソフトも「Surface RT、期間限定で1万円引き」とするキャンペーンを2013年7月14日まで行ったのち、結局、販売価格を「1万円値下げ。3万9800円から」と価格改定し、かつ「iPadからの乗り換えで最大1万円キャッシュバック」とする施策を実施することが記憶に新しく、教育機関や同社パートナー/開発者向けにSurface RTを「約2万円で提供」する施策も行う。

 このほか他国では、Surface RTだけでなくSurface Proも100米ドル引きでの提供──が始まった。こちらは米国、カナダ、中国、香港、台湾で2013年8月のみの限定キャンペーンとする扱いだが、日本での値下げ攻勢を見る限り、状況次第では“Pro”もキャンペーン価格の実施や価格改定──となるまで加速する可能性はありそうだ。

photo Microsoft CEOのスティーブ・バルマー氏

 ただ、前述した決算報告より判断する限り、Surface RTの値引きは販売/シェア獲得を加速する施策というより、在庫処分の意味合いが強い。もちろんMicrosoft自身は現時点でSurfaceの販売状況が芳しくなかったとしてもハードウェア機器の販売からすぐに撤退する意図はなく、むしろ今後も継続して製品を投入してくると想定する。

 理由の1つとして、2013年7月11日にスティーブ・バルマーCEOが発表した「One Microsoft」戦略がある。これまでWindowsやOfficeなど製品ごとに分かれていた事業部を1つにまとめ、「デバイスとサービス」を中心としたビジネス展開のための大規模な組織改編を行う計画である。これまで同社は事業部間の横連携が弱く、特にWindowsやOfficeなどコア製品を持つ事業部同士の仲が悪かった──と言われている。これを事業部大再編で見直し、“ポストPC”時代を生き抜く事業体制を確保するのが上記宣言の狙いだ。

 業界を制したという経緯から、伝統的にソフトウェア事業部の発言力が強かったMicrosoft。ただ今後は、よりバックエンドのサービスやユーザーが直接手にするデバイスの影響力が強まっていくというのが「One Microsoft」戦略におけるキモのはず。ゆえに厳しい状況にあるとしても、今後も業界の中心に居続けるためにSurfaceやXboxといったデバイス事業を諦めるわけにはいかない。今回の一連のSurface RT/Proの値下げについても撤退を目的にしたネガティブなものではなく、状況はどうあれ次世代製品の投入に向けた足慣らしとポジティブにとらえているはずと考えたい。

 次回は、「では、次期Surfaceはどうなるか」について考察、確認する予定だ。

(次回に続く)




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