2013年後半に相次いで開始予定の「100Mbps超」新サービスをおさらい:ルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(2/2 ページ)
2013年7月〜8月上旬のモバイル通信&ルータ事情で注目したい項目をピックアップ。今回は「2.5GHz帯追加割当」「ドコモの150Mbpsサービス」「ソフトバンク+イー・モバイルのハイブリッド機器」などを解説する。
SoftBank 4G&EMOBILE LTEで使える「203Z」の本体代金と料金プランが決定
2013年5月の夏商戦向けモデル発表会で発表された、SoftBank 4G+EMOBILE LTEを両方使えるハイブリッドルータ「Pocket WiFi 203Z(Softbank 203Z)」(以下、203Z)の本体価格と料金プランが発表された。
203Zは下り最大110Mbpsに対応した「SoftBank 4G(AXGP)」と、前回紹介した2013年8月より下り最大75Mbpsエリアを全国拡大を推進する「EMOBILE LTE」、複数のネットワークを横断して使えるポータブルWi-Fiルータ機器。SoftBankとEMOBILE LTE、4G系ネットワークのほか、ソフトバンクモバイルの「ULTRA SPEED」(3G/WCDMA 1.5GHz帯)やEMOBILE G4(3G/WCDMA 1.7GHz帯)での3G通信も行えることで、対応範囲の広さが特長の1つである。
2013年8月現在、本体価格(本体一括価格)は4万800円ほど。24カ月の分割支払い時は1700円/月で、通信料金から割引きする「月月割」は1700円。つまり2年の継続利用により当初より「実質0円」となる感じだ。
一方、料金プランは複数社のネットワークが利用できるだけに少し複雑。専用の「4Gデータし放題フラット+」(5985円/月)を用意する。別途必要となる4Gデータ通信基本料の525円/月と合計し、月の発生コストは6510円/月となる。契約期間は2年間、更新月(契約満了の翌月)以外の解約時は契約解除料として9975円が設定されている。なお、203Zを新スーパーボーナスの分割もしくは一括払いで購入する人に対し、同プランの料金を3880円/月に、4Gデータ基本料金を無料とするキャンペーンも実施されている。キャンペーン期間中に契約すれば、EMOBILE LTEやWiMAXサービスなどと同程度の3880円/月で運用できる感じだ。
ちなみにPocket WiFiはイー・アクセスの登録商標。ソフトバンクがイー・アクセスを買収し、子会社化したことは記憶に新しいと思うが、(ソフトバンクがイー・アクセスのMVNOとして提供していた「C01HW」を例外として)本機はイー・アクセス買収のシナジー効果を見込んだ初の「Pocket WiFi」と言える。
イー・アクセスが販売するPocket WiFiシリーズ(ほか同社製機器)は「SIMロック」が販売時からかけられていない仕様であった。ただ、203ZはSIMロック付きの製品である。2013年8月現在、ソフトバンクモバイルはドコモのようにSIMロック解除サービスを行う予定はなく、これまでのイー・アクセス端末で実現できた「海外渡航時に現地の通信事業者のSIMカードを利用する」という使い方はできない。この点、筆者は国内こそ対応サービスが幅広いものの、海外渡航時は……という注釈が付くのがかなり残念と思う。なお、イー・アクセスから発売される同仕様の「Pocket WiFi GL09P」も、同じく共通でSIMロックが施される仕様となる。
DTIの低価格SIMカードサービス「ServersMan SIM 3G 100」が料金据え置きでLTEに対応
8月1日、ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)が提供する490円/月の低価格SIMカードサービス「ServersMan SIM 3G 100」が料金据え置きでLTE通信対応「ServersMan SIM LTE 100」に生まれ変わった。
同サービスは、LTE対応後といえど通信速度は最大100kbpsと低く抑えられている。ただ、LTE対応により通信レスポンス向上効果による体感速度の向上や、対応端末の拡大といったメリットがあり、速度制限を一定量のみ有料(追加料金)で解除するオプション「ServersMAN SIM Unlimited」により一時的にLTEの速さを望むシーンにも対応できる。
なお、このServersMAN SIM Unlimitedサービスも使い勝手が向上していた。オプションの申し込みにより、通常の100kbpsサービス使用中でも(切断作業などを行うことなく)速度制限を解除できるようになり、かつ特定のソフトウェアが起動中のときは強制的に高速化した状態を保つとった使い方も可能になるようだ。
通信速度が高速化し、快適な通信速度が得られるようになる流れを比較的低価格に実現できるサービスは、モバイラーとしてもちろん大歓迎だろう。このほかに、目立たないながらもこういったオプションも使い方に応じて高いコストパフォーマンスが得られたりする。「過度な通信速度は不要だが、広いエリアで通信できる環境が重要」という方は、こういったオプションサービスや機能の有無も今後の選択ポイントに据えてみてはいかがだろう。
NTT西日本が、LTE対応+SIMロックフリーの「光ポータブルLTE」レンタル開始
NTT西日本が、同社が提供する光ファイバーサービス「フレッツ光」契約者向けに、LTE対応ポータブルルータ「光ポータブルLTE」のレンタル提供受付を8月1日に始めた。レンタル機器はこれまで3G対応の「光ポータブル」が提供されていたが、新たにLTE対応機機も加わったかたちだ。
光ポータブルLTEは引き続き「SIMロックフリー機器」として提供される。利用できる通信サービスとして、NTTドコモのXi/FOMAネットワークを利用したサービスのほか、イー・アクセスのネットワークを利用したサービスも利用可能と案内されている。
機器の対応周波数帯は公式サイト上では詳細を確認できなかったが、イー・アクセスのLTEサービスも利用できるとなると、イー・アクセスのLTEサービスと同じ周波数帯(LTE Band 3)を利用可能と想定され、こちらはNTTドコモが2013年10月に開始予定とする下り最大150MbpsとするLTEサービスでも利用できるのではと予想される。ただ、機器そのものの仕様は下り最大100Mbpsとなるため、仮に最大150Mbpsエリアで利用できるとしてもフルスペックで利用できない点は少し注意が必要だ。
今月のモバイルWi-Fiルータぷち検証──公衆無線LAN接続機能が速いルータはどれ?
このコーナーでは、モバイルWi-Fiルータの気になるスペックや使い勝手をゆるーく検証していく。今回は、最近はほとんどのポータブルWi-Fiルータが対応するようになった「公衆無線LAN接続共有」機能について検証しよう。
自宅のWi-Fiルータを公衆無線LANサービス代わりにし、無線LAN−無線LANルーティングのパフォーマンス/ロスがどの程度か、機器ごとに調べてみた。自宅回線は実測値で下り平均54Mbps/上り平均7.1Mbps前後は出る光ファイバー回線である。実速度そのものではなく、同機能で無線LANルーティングを行うとどれだけロスがあるか──についてを見ていただければ幸いだ。
さて、ポータブルルータの「公衆無線LAN接続」機能使うと、下りは12.5M〜28.5Mbps、上りは4.3M〜5.9Mbpsと、下り速度は半分ほどと相応のロスがあることが分かる。一応、その中でもロスが少なかったのは「GL04P」だった。
公衆無線LANは、利用できるエリアではLTE/3Gより「安定して高速」に通信できる可能性が高い特長がある(半面、エリアはやや限られる)。ルータに公衆無線LAN共有機能があれば、使用するルータは1つのまま、LTE/3GやWiMAXネットワークに加えて公衆無線LAN接続もシームレスに切り替えつつ、複数台の機器で共有できるようになるのがメリットだ。
ただ、この機能は速度のロスが意外にある。速度を望むノートPC単体利用時は、ルータを介さず直接公衆無線LANサービスを利用する方がよいシーンもある。利便性か速度か、適宜使い分けるようにしたいところである。
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