14ナノ世代SoC「Broadwell」の実働デモをIntelが公開:Atomより省電力な「Quark」も(2/2 ページ)
米国で開催されているIDF 2013の目玉は、14ナノメートルプロセスルールの「Broadwell」アーキテクチャや、Atomの次世代プラットフォームである「Bay Trail-T」の詳細だ。現地からリポート。
新しい領域への挑戦
タブレット市場では比較的食い込みに成功しているIntelだが、現在トレンドをけん引しているスマートフォン市場ではその限りではない。それはx86とARMというアーキテクチャの違いだけでなく、Qualcommが提供しているような通信モジュールとのチップセット環境を十分に提供できていないなど、さまざまな要因があると考えられる。
こうした状況に対して、Intelは22ナノメートル製造プロセスという業界でも最先端のプロセスを使ったスマートフォン向けSoCの高パフォーマンスに加え、同社としては初のLTE対応で対抗する。来年以降は14ナノメートル製造プロセスも視野に入れるほか、キャリア・アグリゲーションで現行の倍の通信パフォーマンスを実現する「LTE Advanced」への対応もうたっている。
そしてARM対抗としてさらにIntelが打ち出してきたのが「Quark」という新プロセッサファミリーだ。「Quark X1000」はPentiumの技術をベースに、Atomよりもさらにコンパクトで省電力駆動を可能にするSoCだ。ARMのCortex-Mシリーズに該当する制御系プロセッサの位置付けになっており、主に組み込みやウェアラブル機器での利用を想定する。
Intelは今回のIDFで「Internet of Things」という標語を掲げ、何十億ものデバイスがネットで相互接続される世界をアピールしているが、Quarkはまさにこれを実現するピースの1つということになる。
このように、ハイエンドのデータセンター向けプロセッサからPC向けプロセッサ、ウェアラブル・コンピュータ用の制御チップまで、幅広い領域を最新の半導体技術でカバーできるのがIntelの強みだという。
キーノート後半を担当した米IntelプレジデントのRenee James氏は、これまでのムーアの法則の推移とプロセスルール縮小についての説明を行い、今後の可能性について言及している。これまで何度も「不可能」との評価を受けながら、数々の技術的バリアを突破しており、今後のロードマップ実現でも何らかのブレイクスルーが期待できるとの見方を示している。
また、ムーアの法則が続くことで実現できる成果の1つとして、医療機器の例を紹介した。患者の健康状態を把握する測定機器は、従来であれば専用の大型装置が必要だったものが、技術の進化で体に身につけられる程度のサイズにまで縮小し、さらに将来的にはセンサーを内蔵したシール状のデバイスにまで変化していくという。その点で、技術の進化の可能性と市場の広がりはまだまだ無限に広がっているといえるだろう。
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