海外プリペイドSIM導入マニュアル──「シンガポールLTE 2013年」編:「プリペで約50Mbps出ちゃう」海外定額データ通信(2/2 ページ)
アジア各国で続々と始まるLTEサービス。シンガポールもポストペイドサービスに続きようやくプリペイドSIMによるLTEサービスの利用が可能になった。今回は2社のプリペイドLTEを現地で購入し、その使い勝手を試してきた。
M1のデータ専用SIMは長期利用向き
さて、M1はデータ通信専用のプリペイドSIMカードも販売している。こちらは前述した「M Card」とは異なり、3G版と4G=LTE版で、SIMカードの種類も、料金も異なるので少し注意が必要だ。
データ専用SIMカードは、M1のサービスサイトより直接残高追加+プラン指定ができるので、音声通話対応機機がなくても大丈夫。SIMサイズはM1のWebサイトでは「microとnano両用」となっているが、おそらくこれはiPadなどでも利用できることを意識したもので、店頭では「標準とmicro両用」のものも販売されている。
LTEデータSIMの売価は18シンガポールドル(約1481円)で、30日/1Gバイトまでと若干長期利用に有利なプランとなっている。追加のデータプランは以下の通り。ボーナスが付いた今回のM Cardと比べると少し割高だ。また、有効期限は90日(残高追加で90日延長)と、M Cardの半分となる。
M1/データ専用の料金プラン | 価格 |
---|---|
1Gバイト/30日 | 18シンガポールドル(約1481円) |
2Gバイト/30日 | 28シンガポールドル(約2304円) |
M1/LTEデータ専用SIMのAPN設定 | |
---|---|
APN | prepaiddata |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
このLTEデータSIMは、帰国前の空港のM1のカウンターで購入した。SIMの開通作業などは不要で、そのままルータに装着して電源を入れればすぐに電波を拾い、利用できた。APNは右記の通り。
ただ、このSIMカードも最初はなかなかLTEの電波をつかんでくれず。3G通信固定にすると電波をつかむがもちろん3Gのみ、オートモード、あるいは4G固定にすると「ネットワークなし」の表示になってしまう。M1 Cardの時と同様に、しばらくは3G固定で使い、10分くらいしてから改めてオートに切り替えたらようやくLTEをつかんでくれた。ともあれ、M1のプリペイドSIMはどちらもアクティベートからLTEをつかむまで、何らかの処理のため若干時間を要するのだろう。
残高追加はM1サービスサイトのデータプリペイドSIM専用ページより簡単に行える。追加料金イコールデータ利用分となるのは単純明快で分かりやすい。SIMカードの電話番号を入力し、追加したい料金を入れていけばよいだろう。
筆者がアクティベート後すぐこの操作を行ってみたところ、「その電話番号はまだ登録されていない」との表示が出てしまい手続きできなかったが、それはその通りなのだろう。これ以外にバウチャー(Top-Upカード/残高追加プリペイドカード)を買って残高を追加する必要もある。
一応、SingtelのLTEプリペイドSIMも購入してみた
SingtelのプリペイドSIMもコレクションとして購入してみた。こちらは2013年末までLTE利用できる限定パッケージであり、2014年1月以降は別のものが販売される予定なようだが、2013年12月に購入した情報を残しておこう。通常の売価は20シンガポールドル(約1645円)で、38シンガポールドル分(約3127円)の初期残高と、別途1Gバイト/7日間のデータ通信利用分が付属してくる。
SingtelのプリペイドSIMは限定品で、そこそこお得ということもあり、空港の両替所や市内のSingtelの店舗では完売で買えなかったのだが、たまたま通りかかったBugisにある屋台のSIMカード屋で見つけたのであった。ここでの売価は定価の2.5倍となる50シンガポールドル(約4114円)と強気。“びた一シンガポールドル”もまけてくれなかったが、ほかの一般客は3Gのみ対応の安い製品を買うことが多いためなのか、このLTE対応SIMを買う筆者にはとても優しくしてくれ、アクティベートまでスムーズやってくれた。
ところがSingtelもネットワーク表示はH+、すなわち3G/HSPA+のままですぐにはLTEにはならない。この点は店員も分かっているのか「5分くらい待てばLTEをつかむさ。気長に待ってくれ」とのことである。
確かに10分ほど街中を歩いている間にLTEに切り替わっていた。通信速度はM1よりも若干速いようで、強電界の市内主要エリアで35M〜48Mbpsが出たのでほくほくだ。SingtelのプリペイドSIMもオンライン管理が可能で、残高や有効期限の確認、料金追加、データパッケージの購入手続きはオンラインでできる。ここまで通信環境が快適なら、M1のようにSingtelもすべてのプリペイドSIMでLTEが利用できるよう早く追従してもらいたいものである。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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