米Appleが毎年開催している「WWDC(Worldwide Developers Conference)」。2017年は6月5〜9日に開催と発表されました。このところサンフランシスコでの開催が続いていましたが、久しぶりにサンノゼでの開催です。
WWDCは開発者向けカンファレンスで、ハードウェア製品よりもソフトウェア関連の発表が中心となります。それでも、今回は「tvOS」のアップデート(多分バージョン11)と一緒に第5世代の「Apple TV」を発表(発売は秋)するのではないか、といううわさがあります。
新しいApple TVについてのうわさとしては、ようやく4K対応になるとか。また、「Planet of Apes」(Appleが制作するアプリ開発者が主役のリアリティ番組)のようなオリジナルコンテンツがApple TV独占配信になるのかもしれません。
Appleはこのテレビ向けSTB(セットトップボックス)を、10年以上も前から販売していますが、なんだかいまいち売れていません。
Apple TVはうちにもありますが、WWDCなどのAppleの基調講演を見るときくらいしか使ってません。HuluやNetflixの会員なら使うかもしれませんが、AmazonプライムビデオはApple TVで見られませんし。うちのテレビがAndroid TVなので、そっちでYouTubeとかプライムビデオを見ています。
テレビに接続してネットコンテンツを大画面で見る、いわゆる「デジタルメディアストリーマー」市場自体が盛り上がっていないということもありますが、Apple TVは後発のChromecastやAmazon Fire TVに少しずつシェアを奪われています(Strategy Analyticsの調査より)。
第5世代のApple TVも4K対応になるだけでは、いきなり売れるようになるとは思えません。Apple TV(税込1万7064円から)より安い「Fire TV」(税込1万1980円)と「Chromecast Ultra」(税込9720円)は既に4K対応です。
Apple TVがうまくいかない原因の1つは、Appleの伝統であるハードウェアの利益率確保の方針を譲れないところにありそうです。Amazonはハードウェアを、コンテンツを買ってもらうための道具としか考えていないので、Fire TVは大赤字の大安売りです。でも、ハードウェアとソフトウェアの両方を同等に扱うAppleは、それは絶対にしたくないでしょう。
例えばiPhoneの場合、Android陣営が軒並み利益をほとんど出していない中、2016年の粗利益率は驚きの約40%でした。iPhoneはブランドとして確立されているので、高くてもユーザーは買ってくれます。
でも、Apple TVはただでさえイマイチ(ごめんなさい)なので、高性能だけど(必然的に)高価格にしたら、余計売れなくなりそうです。ではコンテンツで勝負できるかというと、スティーブ・ジョブズ氏亡き後、海千山千なコンテンツプロバイダー(テレビ局とか)とうまく交渉できるのでしょうか。
このままApple TVを続ける意味があるのかと思うくらいです。ジョブズ氏の念願だったので、やめるにやめられないのかもしれません。ジョブズ氏は生前、2010年9月1日のスペシャルイベントでApple TVについて「大きなヒットにはなっていないけど、ユーザーはみんな愛してくれている」と語っていました。
まだまだ諦めないであろう証拠に、Appleは1月、AmazonのFire TV部門ディレクターであるティモシー・ツウェイダル氏を引き抜き、Apple TV担当副社長に迎えました。ツウェイダル氏のLinkedInによると、NetflixとRokuでも幹部を歴任しているこの業界のベテランです。
FacebookがApple TV向けアプリを公開したり、大画面でのYouTube視聴が日常的になったりと周辺環境が整いつつある今、Appleはせっかく10年も続けたApple TVでリビングルームに踏みとどまってほしいものです。
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