Snapdragon搭載のフルWindows 10マシンは2017年のいつ登場するか:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
Windows 10 Cloud(仮称)にARM版のWindows 10。2017年のWindowsデバイスはこれまでと違った展開になりそうだ。
2017年のWindowsデバイスは大きな転換期にある。
それを象徴するのが、「スマートフォンなどに幅広く採用されている定番ARMプロセッサのQualcomm Snapdragonで、(Windows 10 MobileやWindows RTではない)フル規格のWindows 10が動かせるようになる」というトピックだ。2016年12月初旬にMicrosoftとQualcommが発表し、PC業界が騒然となったことは記憶に新しい。
これまでARM版のフル規格Windows 10と、それが動作するSnapdragon搭載機がいつ登場するのかは公式に発表されていなかったが、新情報が入ってきたので紹介したい。
QualcommのCEOが製品投入時期を明言
2017年4月19日(現地時間)に開催された米Qualcommの2017年度第2四半期(1〜3月)決算を報告するカンファレンスコールにおいて、スティーブ・モレンコフCEOは「2017年第4四半期にSnapdragon 835を搭載したWindows 10デバイスが市場投入される」とコメントした。
Microsoftを含むどのOEMメーカーから搭載製品が出荷されるのか、あるいはどのようなデバイスになるのか、といった詳細情報は依然不明だが、少なくとも2017年後半には実際の製品がユーザーの手元に届くようなスケジュールで開発が進んでいることが明らかになったわけだ。
あらためて、この新デバイスについて考えてみたい。まずはSnapdragon 835という現行最高クラスに位置するARMプロセッサの搭載が明言されたことで、これを載せたWindows 10デバイスのターゲットは安価なローエンド向けではなく、1000ドル前後のミドルレンジ以上のカテゴリーに属すると考えられる。
かつてARMプロセッサで動作するWindows RTが用意されていたころは、マシンパワーが不足していることで、利用可能なアプリケーションの限界を感じることも少なくなかった。「Surface(RT)」や「Surface 2」といったデバイスを使ったことがある方ならば、そうした経験をお持ちだろう。
しかし、今回サポートするSnapdragon 835は高性能なプロセッサであり、むしろAdreno 540クラスの内蔵GPUによる高速処理を利用し、同時期に大量の製品投入が見込まれる「Windows Mixed Reality」対応VR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)との組み合わせなども考慮されているかもしれない。
ただ、Windows Mixed Realityの利用にあたってはPC側の最低メモリ要件が8GBとなっており、主にモバイル用途を想定したタブレットではバッテリー駆動時間や本体の熱設計なども考慮して、荷が重い可能性がある。
そのため、Snapdragon搭載のフルWindows 10デバイスは「常時接続可能なモバイルPC」というアピールが中心で、2016年内に生産が終了したAtom搭載Windows 10デバイスの「Surface 3」などと比較しても「ローエンドよりはパワフルなタブレットPC」になると予想している。
これに関しては、Microsoftが「eSIM」ソリューション搭載のタブレットを準備中という情報もあるが、5月2日に発表される見込みの安価なWindows 10 Cloud(仮称)搭載ノートPCと同様、「長時間のバッテリー駆動が可能であること」をアピールしてくるかもしれない。
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