WannaCryをきっかけにWindows 7から10への移行が加速する?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
世界的に猛威を振るったランサムウェアのWannaCryに感染したPCは、ほとんどがWindows 7搭載機だった。結果として、セキュリティが強化されたWindows 10の注目度は高まりつつあるようだ。
Windows XPサポート終了騒動の教訓を生かす
現在、Microsoftはソフトウェア製品のサポート期限(メインストリーム+延長サポート)をリリースから10年と定めており、Windows 10を除けばこのライフサイクルにのっとってサポートが提供されている。実はこの10年のライフサイクルが製品全体に適用されたのは意外に最近で、Windows Vistaの延長サポート拡大が表明された2012年以降だ。
13年弱にわたってサポートが提供されたWindows XPは異例の長寿OSと言える。長年の手厚いサポートが旧世代OSのWindows XPに依存するユーザーの数をギリギリまで拡大させてしまい、逆にMicrosoftを苦しめる結果になったのは皮肉な話だ。
同社がWindows XPのサポート終了騒動から学んだ教訓としては、サポート終了直前の1年間で約30%の法人がWindows XPから移行したということ、サポート終了に伴うPC出荷台数の約半数は予算外の出費だったこと、そして中小企業や地方自治体での認知不足がはっきりと分かったことが挙げられる。
つまり、サポート終了間近と大々的に報じられてからの駆け込みラッシュでの移行が非常に多く、さらに中小企業や地方には伝わっていなかったという構図が浮かび上がってきた。これは現状のWindows 7においてもほとんど変わらないようで、このままではWindows XPの騒動が再現される可能性が高い。
そのため日本マイクロソフトは、Windows XPではサポート期間の最後の1年に集中投下したプロモーションを一気に前倒しし、同社会計年度で2018年度末(2018年6月末)までにWindows 7サポート終了の認知度を100%まで引き上げる計画を立てた。
延長サポート終了の2年半前にまでプロモーションの開始時期を前倒ししたのは、Windows XPのときに駆け込みの予算外出費が多くを占めていたという教訓にもとづく。企業での予算化には最低でも1年前からの準備が必要で、延長サポート終了前の2019年に移行作業を完了させるには、2018年中に予算を成立させて移行を始める必要があると判断したからだ。
また中小企業や地方での認知度が低いという問題に対しては、地方自治体への情報提供や商工会議所での告知など、さまざまな手段を用いてWindows 7の延長サポート終了にまつわる問題をアピールしていく。
Microsoftにとってはあまり積極的に使いたくない手かもしれないが、WannaCryなどランサムウェアの拡散によるリスクが叫ばれ、Windows 10がこうしたリスクに対するセキュリティ機能を備えているという説明は、企業で単にコスト増と認識されがちなクライアントPCのOS移行を後押しするだろう。
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