「ビジネスよりも安全」「中国企業だからこそプライバシー重視」――中国Huaweiが考える品質のあり方(1/4 ページ)
スマホをはじめとするモバイル通信機器の世界で存在感を高めつつある中国Huawei(華為技術)。同社は「品質」に対してどのような考え方を持っているのだろうか。最高品質責任者に話を聞いた。
モバイルルータや携帯電話・スマートフォンの世界市場で、大きな存在感を示す中国Huawei(華為技術)。昨今ではモバイルPC事業にも参入し、その業容を拡大している。
Huaweiは170を超える国・地域に進出している。それぞれの国・地域には端末の安全やプライバシーに関する基準があり、世界規模で事業を展開するに当たって基準を順守することは非常に重要である。
同社は品質面でどのような取り組みをしているのだろうか。CQO(最高品質責任者)を務める馬兵(マー・ビン)氏が、日本メディアとのグループインタビューでその取り組みを語った。
バッテリー回りの不具合を未然に回避
―― Samsung ElectronicsがGalaxy Note8を発表しましたが、発表会の冒頭で先代の「Galaxy Note7」で発生したバッテリー問題について改めて謝罪していました。バッテリー回りを含む御社の品質管理の取り組みについて教えてください。(筆者注:インタビューは中国時間の8月24日に実施した)
馬氏 (少し間を置いて)全ての問題点には背景があります。弊社は同業他社の教訓から学び続けています。
実は、弊社でも(Galaxy Note7と)似たような問題に(開発過程で)直面したことがありますが、幸いに事前回避して事無きを得ました。
これを実現できたのは弊社の理念と関係があります。弊社のCEOは常に「ビジネス(上の成功)よりも安全を第一に掲げなければいけない」と言っています。ここでいう安全は「人の健康」と「ユーザーの個人情報保護」の2つを指します。
その理念に基づいて、バッテリーには最も保守的な安全措置を施しています。現在のバッテリーは、技術に大きな躍進がない限り、現時点の技術においてほぼ「完全」に発達しきっています。極限を追い求めるように、現在のバッテリー技術において「チャレンジ」をする動きを取るメーカーも見受けられますが、弊社はあくまでも(安全面で)保守的な考え方を持っているので、そのようなことはしていません。弊社としてはソフトウェアとシステム設計で省電力性を高めるように努力することでバッテリーの持ち時間を延ばすことに力を入れています。
バッテリーの開発期間は非常に長く、少なくとも9カ月はかかります。ですから、その開発期間においてさまざまな試験を行い、いち早く潜在的な問題点を見つけようと努めています。(本社のある)深センにはバッテリーの検査専門のラボもあり、そこでバッテリーの品質保証を行っています。
Samsungは(Galaxy Note7に関する)事故発生後に改善対策を公表しました。それを鑑みて、弊社でも管理能力をさらに向上させています。「安全管理委員会」を設けて、バッテリーのさまざまな部品の品質を管理し、バッテリー自身のリスク評価も行える体制も整えています。
品質面での事故というものは、品質管理がおろそかになることによって最終的に起こるものです。ですから、リスク管理を通して早い段階で問題を見つけて回避しているのです。
―― スマホの急速充電技術について、全体的に「高電圧・低電流」で安全を担保しようという流れがありますが、Huaweiの急速充電技術「SuperChage(スーパーチャージ)」は「電圧そのまま(低電圧)・高電流」と独自の動きを取っています。安全面において、どのような考えから低電圧・高電流としたのでしょうか。
馬氏 実はSuperCharge自体は「高電圧・低電流」と「低電圧・高電流」の両方に対応していて、後者を主に採用しています。急速充電における安全性を高めるために、設計上の工夫をさまざま行っています。
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