新iPadだけじゃない Appleが教育現場でGoogleと大きく違うこと:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)
Appleはコンピュータシステムを用いたハードウェア製品の企業であり、Googleは検索エンジンをスタート地点にした広告事業の企業といえる。スマートフォンやテレビ向け端末などでも、そうした立ち位置の違いが垣間見えることが少なくないが、教育市場においては、さらに違いが明確になっている。
教育現場の行動履歴をどのように扱うべきか
iOS端末には、1デバイスに1ユーザーが結び付けられ、パーソナライズされるという制約があるが、クラスルームやスクールワークを通じて扱うiPadは、サインインした生徒ごとにカスタマイズされた環境で動作するよう改良された。これにより授業で使うデバイスを複数の生徒で共有可能になる。
そしてここが重要なことだが、ClassroomやSchoolworkは、アプリ間のプライベート通信で機能するということだ。前述したようにiCloudのストレージに文書や素材を保存することはあっても、教師と生徒の間に発生するさまざまなプロセスはクラウド側、すなわちAppleには送信されない。
AppleとGoogle、それぞれのソリューションで「できること」「できないこと」については、今後、さまざまな情報が教育現場から出てくるだろう。しかし、今回の取材を通じて最も強く感じたのは、授業における教師と生徒の行動履歴がどのように扱われるかという部分だ。
学校における教師と生徒のやりとり、課題をこなす様子。それらの履歴は、もちろん個人にひも付く形で残るわけではないだろう。しかし、匿名性が保たれているとしても、それらが1社の企業が提供するサーバで動くとしたら、そこに疑問を感じざるを得ない。
これが大人が道具として使うクラウド型サービス、あるいは企業が使うサービスならば、それぞれの責任において経済合理性や機能に応じた選択をすればいい。しかし、教育現場……つまり、子どもたちの学習の場における行動履歴なのだとしたら、さらにもう少し慎重になるべきなのかもしれない。
もちろん、そのようなデータなど価値はない、という意見もあるだろう。しかし、現在のGoogleの成り立ちを考えるならば、そこに思いをはせざるを得ないというのが正直な感想だ。
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