ビジネスPCの選定は、情報システム部門の担当者(情シス)にとって重要な業務だ。これまでの選定基準は、とにかく「価格」や「処理性能」に偏りがちだったが、コロナ禍を経てPCの使われ方が変化した今、そうした要素だけを考慮して選定すると、思わぬ落とし穴にはまりかねない。
重要なのはPCの性能だけではない? 今まで見落としがちだった“バッテリー駆動時間”
アフターコロナの現在、ビジネスPCを選定する上で非常に重要なポイントは、ずばり「バッテリー駆動時間の長さ」である。
コロナ禍前は、オフィスに出社して対面で業務を行うのが主流であり、利用するアプリもMicrosoft Officeなどが中心だったため、バッテリー駆動時間はさほど重要視されていなかった。しかし、コロナ禍を経てリモートワークが拡大すると、会議の主体は対面からZoomやMicrosoft TeamsといったWeb会議中心に移行した。
現在までに対面業務を再開させた企業でも、事業所間や取引先との会議ではWeb会議が多用されており、業務に占めるその比重は、依然として大きいままだ。
さらに、生成AIの台頭により、既存のアプリケーションにもAI機能が実装され始めている。これは業務効率化につながる一方、PCの消費電力を増大させる要因となっている。
こうした状況の中でバッテリー駆動時間を伸ばすには、PC本体に大容量バッテリーを搭載することが有効ではあるが、それにはトレードオフが伴う。PCの重量が増し、本体サイズも大きくなるため、携帯性が損なわれてしまうということだ。
こうした背景から、アフターコロナのビジネスPCには、軽量さと長いバッテリー駆動時間の両立が求められる。そんな市場の期待を受けてNECパーソナルコンピュータ(NECPC)が投入するのは、新しい「VersaPro UltraLite タイプVY」だ。
約990gの超軽量ビジネスPC「VersaPro UltraLite タイプVY」
VersaPro UltraLite タイプVY(以下、タイプVY)は、7月30日に発表、受注が開始されたばかりの最新ビジネスPCだ。
VersaProのモバイル向けモデルは、エントリー/スタンダード/プレミアムの3種類に分類される。その中で、タイプVYは最上位のプレミアムモデルに位置付けられる。
本体の大容量バッテリーは交換可能 経済合理性が非常に高い
本モデルの大きな特徴は、1kgを切る約990gの軽量ボディーに74Whもの大容量バッテリーを搭載している点だ。これにより、JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.3.0基準で動画再生時は約19時間、アイドル時は約42時間という駆動時間を実現し、1日中安心して利用できる。
1kg未満のボディーを実現するため、最新の軽量素材技術を随所に採用している。同時に、電力効率と性能に優れたCore Ultraプロセッサー(シリーズ2)と大容量バッテリーを搭載することで、従来モデルからバッテリー駆動時間を大幅に向上させた。
あわせて、NEC独自のAIを活用した、きめ細かなバッテリーマネジメント機能も搭載する。この機能は接続機器や長時間使用されていないアプリを検知し、バッテリー駆動時間を延長するためのアドバイスをユーザーに提示するものだ。
さらに、バッテリーが交換可能な設計である点も特筆に値する。これにより、バッテリーが劣化した際もPC本体を買い替える必要がなく、バッテリー単体を交換すれば済むため、経済合理性が非常に高いモデルといえる。
外部マイクを用意しなくても自分の声だけがクリアに届いて快適な会議を実現できる「ヤマハAudioEngine」を搭載
タイプVYは単に軽くてバッテリーが持つというだけではない。実利用においても利便性を大きく向上させているのがポイントだ。
例えば、Web会議における大きな課題はPC内蔵マイクの性能が不十分で、ヘッドセットなどの外部マイクを追加で持ち運ばなければならない点がよく挙げられる。
現場では従業員から情シスに対して「Web会議中に周囲の雑音を拾ってしまい、相手との意思疎通が難しい」といったマイクに関する相談が頻繁に寄せられており、悩みの種となっていることは多い。
従来のPC内蔵マイクは「最低限、Web会議ができる」程度の性能と見なされ、快適な会議には外部マイクが必須という認識が一般的だった。しかし、最近のモデルではAIの活用により、内蔵マイクの品質が飛躍的に向上している。
タイプVYもその例に漏れず、高性能なミーティング機能を搭載する。これはヤマハ製の音響技術「AudioEngine」を採用したことで、PC単体で快適なWeb会議を実現している。
この機能は、一般的な「AIノイズ抑制」に加え、ヤマハ独自の「登録話者強調」機能(事前に登録した話者の声のみを拾う機能)も備える。これにより、複数人がいる会議室などでも、Web会議の相手との円滑なコミュニケーションが可能となる。
設定画面は視覚的に分かりやすいUIを採用しており、「登録話者強調モード」と、話者を限定しない「話者強調モード」、さらには機能自体の無効化も簡単に行える。
この話者強調モードは、Web会議の明瞭度を高めるだけでなく、AIを活用した文字起こしサービスなどを利用する際の精度向上にも寄与する。不要なノイズを拾わないため、より正確なテキスト化が可能となるだろう。
NEC独自のAI「AI Plus Biz」が情シスの負担を軽減! PC利用の問い合わせを自動化
情シスの大きな悩みの1つは、従業員からの社用PCに関する問い合わせ対応に追われ、本来の業務時間が圧迫されることだ。
対策としてナレッジベースの充実が考えられるが、その作成には多大な工数がかかる。結果として、従業員のあらゆる疑問に応えられるほどの網羅性を確保できずにいる企業も少なくないだろう。そうした情シスの悩みを解決するのが、タイプVYに搭載されたAIチャット機能「AI Plus Biz」だ。
AI Plus Bizは、マニュアルやNECのサポートQ&Aに加え、PCの利用状況から学習した内容もデータベース化している。これを独自の回答エンジンと組み合わせることで、一般的な生成AIサービスでは難しい、NEC独自機能に関する質問やPCの状態を踏まえた、より精度の高い解決策をユーザーに提示できる。
例えば、従業員が「PCから音が出ない」と生成AIサービスに質問しても、「音量設定を確認する」「外部スピーカーやヘッドフォンが正しく接続されているか確認する」といった、一般的な回答しか得られないことが多い。
PCの操作に不慣れな従業員にとっては、こうした一般的な回答では問題が解決せず、結果として情シスに頼ることになる。
その点、AI Plus Bizであれば、「現在のシステム音量は5で、ミュート状態です」といったように、PCの現状を正確に踏まえた上で適した回答を提示する。これにより、ユーザーは情シスに問い合わせることなく、自力で問題を解決できる手助けをしてくれる。
従業員にとっては、トラブル発生時に作業を中断する時間を最小限にでき、業務効率が改善する。一方、情シスにとっては問い合わせ件数が減ることで、本来のコア業務にリソースを集中できる。このように、AI Plus Bizの導入は、企業全体の生産性向上に大きく貢献する可能性を秘めている。
Copilot+ PC機能を活用して、業務の生産性をさらにアップ!
タイプVYが搭載する「Core Ultraプロセッサー(シリーズ2)」は、AI処理に特化したNPUを内蔵する。これにより、Microsoftが定義する「Copilot+ PC」の要件を満たしており、1kg未満の軽量ノートPCでありながら、最新の生成AI機能を活用した高度な業務効率化を実現する。
その代表例が、PC上の操作を記録/解析し、過去の作業履歴を自然言語で検索できる「リコール」機能だ。これを使えば、作業内容をメモする必要がなく、まるで人に尋ねるかのように直感的な操作で過去の情報を探し出せる。
また、「ライブキャプション」機能も強力だ。動画を再生するだけでリアルタイムに文字起こしと翻訳が自動で行われ、海外の製品発表会や研修動画などを、言語の壁を意識することなく日本語で理解できるため、業務における情報収集の幅は大きく広がるだろう。
さらに、Webカメラ映像をリアルタイムで補正する「Windows スタジオ エフェクト」も活用できる。この処理はNPUが担うためCPUに負荷をかけず、Web会議ツール側に補正機能がない場合でも、PCのパフォーマンスを気にすることなく高品質な映像で会議に参加できる。
Copilot+ PCは、Microsoftが今後注力していくPCのプラットフォームであるため、継続的な機能拡充が見込まれる。それに伴い、タイプVYの活用シーンも将来に渡って広がっていくだろう。このように、Copilot+ PCへの対応は、本モデルの価値を長期的に高める重要な要素だ。
指紋が付きにくいノングレア液晶 ビジネス利用に適したディスプレイ設計
充実のハードウェアも見逃せない。タイプVYは、狭額縁ベゼルを備えた14型ディスプレイを搭載する。解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)より縦に広いWUXGA(1920×1200ピクセル)となっている。
アスペクト比が16:10のため、一般的な16:9のディスプレイと比べて縦の表示領域が広い。これにより、Excelなどの業務アプリで一度に表示できる情報量が増え、作業効率の向上につながる。
ディスプレイは、光の映り込みが少なく指紋も付きにくいノングレア仕様になっている。こうしたビジネスシーンでの利用に配慮した設計も本モデルの特徴だ。カスタマイズオプションとしてタッチパネルの搭載も選択できるため、活用の幅はさらに広がる。
薄型軽量ながらHDMI/有線LANポートを完備 ビジネスに必須の拡張性も十分
タイプVYは、薄型軽量モデルでありながら豊富なポート類を備える。右側面にはmicroSDメモリーカードスロット、USB Type-Aポートに加え、ビジネスシーンで需要の高いHDMI出力ポートと有線LANポートを搭載している。これにより、変換アダプターなしで外部ディスプレイに出力でき、Wi-Fi環境がない場所でも安定したネットワーク接続が可能だ。
左側面には盗難防止用のセキュリティロックスロット、USB Type-Aポート、オーディオジャックを配置している。さらに2基のUSB Type-Cポートを備えるが、その仕様は構成によって異なり、Intel vPro対応モデルではThunderbolt 4、非対応モデルではUSB4(DisplayPort Alternate Mode/USB Power Delivery対応)ポートになる。これらの充実したインタフェースにより、モバイルワークでも高い拡張性を確保している。
タイプミスを防ぐキー配列と、こだわりの静音設計
キーボードは、記号やファンクションキーも含めて癖のない素直な配列で、快適なタイピングが可能だ。また、電源ボタンがキーボードの外に独立して配置されているため、タイプミスによる意図しないスリープやシャットダウンを未然に防ぐことができる。これはユーザーの誤操作を減らしたい情シスにとって見逃せない配慮だろう。
さらに、キータイプ音が静かなキーボードを採用しているため、オフィス内でも周囲に気兼ねなく作業に集中できる。こうした細やかな点に、日本メーカーならではの配慮が感じられる。
長いバッテリー駆動時間を生かす具体的なユースケース
バッテリー駆動時間が長いタイプVYの具体的なユースケースとして、まずは外回りの多い営業担当者の一日を想定してみる。
始業後にメールをチェックして外回りへ出発。午前中に1件、午後に2件の商談をこなし、移動の合間にはPCから社用スマートフォンを充電。商談後には駅のミーティングボックスでメール確認や見積もり作成を行う、といった一日を想定する。
このような使い方でも、会社を出てから一度も充電することなく、18時の業務終了時点でバッテリー残量は約50%を維持。ACアダプターやモバイルバッテリーといった充電機器を持ち運ぶ必要がなく、身軽な状態で営業活動に臨める。
次に、出張の多い管理職の一日を想定してみよう。まず、新幹線での移動中にメール返信や資料作成を行い、目的地に到着後、取引先で対面プレゼンを実施。この時点でもバッテリー残量は75%程度あり、往路の新幹線で充電する必要はない。
夕方、帰りの新幹線でも作業を続け、さらにシェアオフィスでオンライン会議を1件こなして業務を終える。それでもバッテリーは約50%残っており、外出中に充電の心配をすることなく、一日を通して業務に集中できる。
企画から製造/検査まで 一貫した国内体制が支える高い信頼性
NECPCは、商品企画から最終組立、検査に至るまでを一貫して日本国内で実施している。これにより、国内ユーザーのニーズを深く理解した製品開発と、高い信頼性の確保を両立させている。
商品企画/設計段階では、品質向上のため評価基準や試験方法を常に見直す。そして、改良を重ねて製作した試作機が、その時点で最も厳しい社内品質基準をクリアして初めて、次の工程へ進むことが許される。
試作段階を終えた量産前の最終試作品においても、1台あたり数十項目に及ぶ検査を実施する。ここで改めて安定性と信頼性を検証し、最終的な出荷判定を行う。たとえ試作段階の基準をクリアしていても、この量産前評価で基準に満たなければ、課題が全て解決されるまで量産を開始しない。その品質管理は徹底している。
量産に用いる全部品は、製品への搭載前にロット単位で信頼性/耐久性検査を受ける。これには、温度や振動などの負荷をかけた状態での長時間連続試験も含まれる。
品質管理は出荷後も続く。「出荷したら終わり」ではなく、市場での品質状況を常にチェック。初期不良や利用中の故障が発生した場合は、直ちに原因を解析/特定し、迅速な市場対策と再発防止策を講じる。そして、得られた知見は次期モデルへとフィードバックされ、絶え間ない品質向上につなげられている。
もちろん、このタイプVYも例外ではない。過去モデルからの膨大なフィードバックと、設計から量産に至るまでの厳しい品質チェックを経て生み出された本機は、ビジネスPCとして申し分のない信頼性を備えたモデルなのである。
全国約340拠点の保守網 ビジネスPCの「もしも」に備えるNECPCのサポート体制
NECPCは、出荷後のユーザーケアにも注力している。NECグループのNECフィールディングが全国約340カ所のサービス拠点を中心とした保守網を構築しており、当日出張修理にも対応する万全の体制でユーザーをサポートする。
信頼性が高いNECPCといえども、故障やトラブルを100%回避することは不可能だ。「転ばぬ先の“つえ”」として有償の保守契約を結んでおけば、万一の際も安心である。トラブルが発生した当日に修理対応を受けられる場合もあり、業務のダウンタイムを最小限に抑えられる。
サポートは故障対応だけにとどまらない。NECPCの群馬事業場では、企業独自のマスターイメージ作成/展開や、修理後の再キッティング、予備機の保管代行といったライフサイクルマネジメントサービスも提供。NECフィールディングによる全国保守網と、群馬事業場による運用支援という二大体制で企業ユーザーを強力にバックアップしており、安心して導入できる点も大きな特徴だ。
従業員と情シス、双方の視点で見る導入メリット
タイプVYは、長いバッテリー駆動時間を誇る薄型軽量設計、業務効率を飛躍させる「Copilot+ PC」としての先進性、そして手厚い保守/運用サポート──これらを兼ね備えており、従業員と情シスの双方にとって満足度の高いモデルといえるだろう。
専任の情シス担当者がいない、あるいはIT関連の負荷が高まっているSOHO/中小企業にとって、2025年10月に迫るWindows 10のサポート終了に伴うPCリプレースは大きな課題だ。本記事で紹介したタイプVYは、その最適な選択肢の1つとなるのではないだろうか。
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提供:NECパーソナルコンピュータ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2025年9月28日

















