日本にも“タッチ文化”は必ずやってくる──Samsung電子の日本戦略:Mobile World Congress 2009(2/2 ページ)
2009年、Samsung電子は「タッチ」をキーワードに、タッチパネル搭載携帯電話を積極投入する。Mobile World Congress 2009では、3機種のタッチパネル端末を発表。世界で展開するという。同社のアジア、そして日本市場の戦略を聞いた。
日本市場にもタッチパネルの新機種を投入したい
── では日本の状況はいかがでしょうか。
チョ氏 日本ではソフトバンクモバイルから「OMNIA 930SC」を2008年冬モデルとして発売しましたが、売れ行きのペースはゆっくりと上がっている、という状況です。海外ではタッチパネル端末を投入すると同時に各国で人気となっていますが、日本ではほかのメーカーさんを含め、タッチパネル端末の反響はやや鈍いようです。これは従来とは異なるまったく新しいUIに、消費者の方が慣れていないということもあるかもしれませんが、やはり携帯電話の使われ方が国によって大きく違うということがあるのでしょう。日本では優れた10キー操作UIが完成されていることから、海外とは受け入れられ方が若干異なっているのだと思います。
また当社は海外メーカーということもあり、メーカーのブランド力も日本メーカーさんよりも弱いのが実情です。そのためOMNIA 930SCもまだまだ製品の特徴が認知されていないとも考えられます。でもOMNIA 930SCの「お絵かきアニメ」機能は一度使っていただくとやめられない、という声も多く聞かれています。すなわち今後は今まで以上に販売プロモーションにも力を入れ、OMNIA 930SC、そしてタッチ操作のよさを日本の消費者の方々に訴え続けていきたいと考えています。
── 日本でもタッチパネル端末は普及するでしょうか?
チョ氏 OMNIA 930SCを購入された方々からは、タッチ操作に対して好評をいただいていおります。またOMNIA 930SC利用者のARPUは、非タッチパネル端末の利用者よりも倍近く高いというデータもいただいています。すなわちタッチパネル端末の利用者の方々は、今まで以上により端末やサービスを使うようになっているということではないでしょうか。その理由はやはりタッチ操作が使いやすいからだと思います。
もちろん10キー入力やカーソル操作が好みの方も多いでしょう。おそらく今後は、タッチ操作が主流になるのではなく、UIの選択肢の中にタッチパネルがあり、そしてそれを求める消費者の方の数が増加していくのだと思います。個人的には全体の20〜30%くらいの製品がタッチパネルになるのではないかな、と思っています。海外市場を見ても、タッチパネル端末は「機能が豊富で高い」からではなく「かんたんに直感的に操作できる」からヒットしています。日本のOMNIA 930SCの反響を見ても、今後少しずつタッチパネルを求める声が高まっていくと思います。
── 今回発表された3機種のいずれかを日本市場に投入する予定はありますか?
チョ氏 これまでの当社の日本市場での経験から、グローバルモデルをそのまま日本市場にローカライズして投入したからといって、受け入れられるかどうかは未知数です。一方で日本の消費者の方々にウケる、日本らしいものを開発しても、それはようやく日本の国産メーカーさんと同じスタートラインに並ぶことができただけで、すぐにヒットモデルになるかどうかも分かりません。
ただ、当社のグローバルモデルの中には機能や質感などを極めた上位モデルも多く、それらのいくつかは日本でも受け入れられる要素があるかもしれません。そのため今回の新製品や当社のほかのグローバルモデルの日本市場への投入は、日本の消費者の皆さんの反応やご意見などをベースに考えてみたいところです。
── 日本向けのタッチパネル端末の新機種が登場する可能性もあるのでしょうか。
チョ氏 今年はできれば4〜5機種を日本市場に投入したいと考えています。その中にはこれまでにないカテゴリの製品、例えばスマートフォンも検討したいところです。また当社のグローバルなタッチパネル端末戦略を強化するためにも、日本市場には新しいタッチパネル端末を投入することも考えています。今年出す予定のモデルの何機種がタッチUIになるかは未定ですが、複数機種は出したいですね。
現在、通信事業者さんと話し合いを進めていますが、できれば上半期中、6月くらいには新しいタッチパネル端末を発売したいと考えています。
── 景気後退などで日本市場での競争も今後より激しくなると思いますが、御社の強みはどこにあるでしょう。
チョ氏 不景気の影響は当社だけではなく、日本のメーカーさんも同様だと思います。その中で当社が強みを出せるのはやはりコスト競争力でしょう。例えばグローバルモデルを日本向けにアレンジして投入すれば、価格は大きく引き下げられます。昨年投入した730SCはそのいい例で、価格の割には高い機能と質感を兼ね備えています。またローカライズに関しても日本のお隣の国の企業ということもあり、日本語化や日本人の好む操作体系の採用などは得意としています。グローバルのよいモデルを低コストで投入できるだけではなく、日本人好みの端末を開発する柔軟性を持っている、というところが当社の強みだと考えています。
── 最後に日本のユーザーにメッセージをお願いします。
チョ氏 Samsungはこれからも革新的な端末を開発し、イノベーションリーダーとして、世界のみならず日本の市場でも存在感を大きくしていきたいと考えています。日本市場は海外とは異なる面も多いですが、日本から吸収できる部分も大きく、日本市場に製品を投入することは大きな意味があります。
今後も継続的に魅力ある新製品を投入し、そしてシェアが少しでも上がるように努力していきたいと考えています。ぜひ2009年に発売予定の新製品にご期待ください。
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