2012年3月7日から15日にかけて、スイス・バーゼルで世界最大級の時計・宝飾品見本市「バーセルワールド2012」が開催された。「バーゼルフェア」の呼び名でも知られ、年に一度の時計業界のお祭りとして、腕時計ファンにはすっかりおなじみのこのイベント。毎年この時期、時計雑誌では「バーゼル特集」が組まれ、会場で発表された新モデルや限定モデルのニュースが誌面を飾る。
筆者も長らく、毎年雑誌やWebの記事を通じてバーセル情報を入手していたのだが、今年は幸運にも直接会場に足を運んで取材する機会に恵まれた。せっかくなので、普段はメディアであまり紹介されることがない、バーゼル取材にまつわるあれやこれやを、何回かに分けて思い付くままにレポートしてみたいと思う。
バーゼルはチューリッヒ、ジュネーブに次ぐスイス第3の都市。当然、宿泊施設もそこそこ充実しているはずなのだが、バーセルワールドの時期にはどのホテルも予約でいっぱいだ。聞くところによると、毎年バーセルワールドを訪れる「なじみ客」が、何年も先まで開催期間中の予約を押さえてしまっているとのこと。
そこで筆者が宿泊したのが、バーセルから鉄道で30分ほど行ったところにあるドイツ・フライブルクのホテル。「なぜドイツ?」――そう思う方もいるかもしれない。
実はバーゼルは、地理的にはちょうどドイツとフランスとの国境沿いに位置しているのだ。フライブルクはドイツ南部のスイス国境にほど近い場所に位置するため、バーセル取材の拠点としては打って付けなのである。事実、筆者が宿泊したホテルにも、バーセルワールドを訪れる時計メーカー関係者やメディア関係者が多く宿泊していた。
ちなみにフライブルクの街並みは、実にヨーロッパらしい風情に満ちている。少なくとも筆者には、そのように感じられた。まあ、地元の人々にとってはごく当たり前の日常風景なのだろうが、何せ欧州を訪れたのが学生時代の卒業旅行以来という筆者の目には、すべてが新鮮に映るのだ。
伝統的な様式の建物の間を縫って、路面電車が走る。この路面電車、市民の日常の足として大活躍のようで、街の中心部ではぼやぼやしてるとひかれそうになるぐらいひっきりなしに行き来している。
またフライブルクには、ドイツ屈指の名門大学「フライブルク大学」があることでも知られる。同校には日本からの留学生も多いというが、フライブルクにはほかにも音楽大学や教育大学などがあり、古くからの学園都市としての顔も持っている。
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