カリフォルニア州ナパバレーで“ワイントレイン”に乗った秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/6 ページ)

» 2012年05月08日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

1900年代初期に造られたレトロ車両

 ランチ・トレインのチェックイン開始時間は午前9時30分だが、早めに到着したのは、車両と機関車の整備を行うメンテナンス基地やホームに入線する前の車両を取材・撮影させてもらうためだ。ナパ在住の日本人スタッフ、曽志崎友里さん(通称ユリちゃん)が現地で私を出迎えてくれた。

 前述したように、私はもともと鉄道も大好きで、1900年代初期に製造されたアンティークな車両にも興味があった。現在走っているのは、当時の車両を完全復元したもの。列車はグルメ車両やラウンジ車両、窓を開けて風を感じながら走るオープンエア型のシルバラード車両、そして1952年に製造されたドーム型の天窓を有する2階建てのビスタドーム車両の4つのタイプに分かれている。

飛行機と空と旅 1900年代初期に製造されたアンティーク車両は鉄道ファンの注目の的

 料金は、グルメ車両ランチが109ドル(2012年5月現在のレートで約8700円)で、展望車両ランチが139ドル(同1万1000円)。これはディナー・トレインも共通だ。私は入線前の列車に先頭車両から乗り込んで順番に車内を歩き、ひと通り撮影して最後方の車両で降りた。その後、列車の脇の線路を歩きながら見つけたのが、いくつもの車輪である。

飛行機と空と旅飛行機と空と旅 グルメ車両(左)とラウンジ車両
飛行機と空と旅飛行機と空と旅 シルバラード車両(左)とビスタドーム車両

ストックされた3軸ボギー台車の車輪

 ワイントレインは土台部分に、いまでは珍しくなった3軸のボギー台車を使用している。当時は「乗り心地がよい」と盛んに造られたが、現在はもう製造されていない。案内してくれたユリちゃんは「車輪などが消耗しても、替えのものはもういっさい手に入りません。だから調達できるものはできるだけ集めて、こうしてストックしているんです」と説明してくれた。

飛行機と空と旅飛行機と空と旅 製造が終了している3軸ボギー台車を使用しているため、予備の車輪をストック

 なるほど、その向こうのメンテナンス基地の近くにも、大きな鉄の車輪がまとめて置かれているのが見える。これらをすべて使い終えたとき、ワイントレインの歴史にも幕が下ろされるのかな? 事前取材を終えて駅舎に戻り、出発時間を待ちながらそんなことを考えていたら、これから始まる体験に胸の鼓動がにわかに高鳴った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.