途中、この便の機長であるレンツォ・ガスパリーニさんが上空で私のインタビューに応じてくれた。パイロットの交代の時間になり、キャビンに顔を見せたガスパリーニさんは、口数こそ少ないもののとてもフレンドリーなイタリアン。アリタリアひと筋に26年間勤務を続け、社内でもみんなから信頼されているベテラン機長だ。
「MD-8やDC-10を始め、エアバス機やボーイング767など、これまでいろんな機種のコクピットを経験してきた」と、ガスパリーニ機長は言う。「その中でもこのトリプルセブン(777)は、私にとって間違いなくナンバーワンの機材だね」
上空で高度を上げたり、左右に旋回しようとコクピットで操作した場合、パイロットの意思が機体に伝わるまでに多少のズレ(タイムラグ)が生じる。けれども、777にはそれがない。まるで自分の手足のようにリアルタイムに、過不足なく忠実なパフォーマンスを発揮してくれる──そうガスパリーニ機長は言うのだ。
アリタリア-イタリア航空は現在、777を長距離国際線の中心機材として運航している。ガスパリーニ機長もこれまで、その777を操って欧州域内はもちろん北米や南米、アジアなど世界の空を飛んできた。
では、自分で操縦していて一番好きな路線は? 私のそのちょっと意地悪な質問に、彼は間髪を入れずに答えた。
「日本だよ。当然ね。だって食べ物はおいしいし、知り合う人がみんな親切でやさしい。彼らが暮らす国へまた飛んでいけるという日は、前の晩からワクワクする気持ちを抑えられないよ。ミスター・アキモト、日本のみなさんに私からよろしくって伝えておいてくれるかい?」
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