シムドライブのEV「SIM-CEL」、「突き抜ける加速感」でクルマの魅力を追求(3/4 ページ)

» 2013年04月01日 12時54分 公開
[朴尚洙,MONOist]

4輪で8輪の「エリーカ」と同等の加速性能

 「突き抜ける加速感」を実現するために、インホイールモーターは大幅な改良を加えた。SIM-LEIとSIM-WILの開発では、最大トルクが700ニュートンメートルのインホイールモーターを使用していたが、SIM-CELではモーターの内部構造を見直すなどして、最大トルクを850ニュートンメートルまで高めた。「永久磁石の保持力をより高いものに置き換え、巻き線の巻き数も45ターンから65ターンに増やした」(シムドライブ)という。

SIM-CELSIM-CEL (左)「SIM-CEL」に採用したインホイールモーター。(右)インホイールモーターの改良ポイントである(出典:シムドライブ)

 これによって、4輪合計の最高出力は260キロワット、最大トルクは3400ニュートンメートルとなり、静止状態から時速100キロまでの加速時間は4.2秒、加速度は0.7Gとなった。この加速性能は、「慶応義塾大学で開発した8輪のインホイールモーターEV『エリーカ』と同等の加速性能を、SIM-CELは4輪で実現したことになる」(清水氏)という。

SIM-CEL

 インホイールモーターを含めた電動システムで興味深いのが、内燃機関車のアイドルストップシステムに相当する、停車時のインバータやモーターの待機電流を大幅に低減する機能である。これによって、満充電からの走行距離を20キロ押し上げる効果が得られた。走行可能距離324キロに対しての20キロなので、走行距離を6%程度向上できた計算になる。なお、SIM-CELのリチウムイオン電池はリチウムエナジー ジャパン製で、容量は29.6キロワット時となっている。

 ここまで説明した、高い空力性能、軽量化、インホイールモーターの効率向上によって、内燃機関車の燃費に当たる電量消費量は1キロメートル当たり91.2ワット時となった。国内で市販されているEVの電量消費量でトップを記録していたマツダの「デミオEV」は同100ワット時である。

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